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「マスク禍」 [コロナ危機]

山極寿一.jpg今朝の山形新聞に、国際霊長類学会会長で京都大学長の山極寿一氏「マスク外せる環境不可欠 共感力「対面」が鍛える」の記事。

《最近就任した職場の同僚たちの顔が浮かんでこない。考えてみたら、昨年4月に就職してからずっとマスクをした顔ばかり見てきた。だから、私はまだ同僚たちの顔を知らないのである。》笑ってはいられない深刻な問題だ。私も同じ経験をしている。昨年春以来、身近であるべきはずの人の顔を知らないまま年を越そうとしていた。かろうじて開催にこぎつけた忘年会の席で対面した時、願ってマスクを外してもらって初めて拝顔することができた。

《人間はサルにない共感能力を十分に発揮して、仲間との関係を縦横無尽につくり変える社会技術を持っている。それが、これほど大規模で複雑な社会を構築する原動力になったのだ。》ではその「共感能力」をどうやって身につけることができたのか。《言葉は人類の進化史の上では新しく、まだうまく使いこなせていない不完全なコミュニケーションである。時と場を共有し、対面して、相手の表情や態度から気持ちを推し量ることが、いまだに最善の方法である。》まちがいなくそう思う。《であれば、何とかしてマスクを外せる環境を整備しなければ、従来の社会環境を築くことができなくなる恐れがある。・・・とくに成長期にある子どもたちにとって、共感力を鍛える場をつくることが不可欠であると思う。》

さらに危惧することがある。マスクをつけて暮らすことは、自分を半分隠して生きているに等しい。その気楽さがマスク社会許容の世の中になっていることへの「危うさ」を思う。それでいいのかどうか。思えば人は、ひたすらタコ壷に潜り込むことを志向して進化を遂げてきたともいえるのではないか。子供の頃の町のざわめきはもうない。そのあげくのマスク社会。「マスク禍」といいたい。

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