苫米地英人『超国家権力の正体』 [本]
苫米地英人著『超国家権力の正体』。
グローバリズムの淵源が解き明かされている。「奴隷こそが資本主義の根幹」として《例えば、自動車にしてもIT機器にしても洋服にしてもいかに原価を安くするかが資本主義で儲けるための基本中の基本です。》(118p)そのために一番効率的なのが奴隷制度。それを世界に広げる魁けとなるのが、1602年設立の株式会社オランダ東インド会社(VOC)。西洋視点での「発見の時代」の始まりであり、以来「大航海時代」と言われる。《”新大陸”を発見したと騒ぎ、その土地で平和に暮らしていた人々を異教徒だと決めつけて奴隷化する。この奴隷を使役することで産物を産み出して、それをまた異教徒たちに売りつける。/こういったシステムをつくり出したのがVOCをはじめとするグローバリストたちでした。今の格差社会の雛形はすべてここから始まっているのです。》(119p)
しかし、相手が悪いというか問題なのは、彼らの所業が「悪」としてではなく「良心」に裏付けられていたということだ。《彼らはその残虐行為に正当性を持っていたのです。正しい行いをしている信念がそこにありました。》それゆえまさに、《この部分を理解しないと私たちはいつまで経っても彼らの後手に回り続けることになってしまうのです。》(161P)要するに、《彼らは神の存在を本気で信じています。本気で神を畏れ、最後の審判で地獄に堕ちることを徹底的に怖がっています。この部分を真に理解しないと彼らを見誤ることになってしまうのです。》(161-2p)「コロナワクチンの狙いは人口削減」説に対して、「そんなバカな」が正常な反応のわれわれ。しかしそれは彼らには通用しない。彼らは《「我々は他国の人口や文化・食生活にまで踏み込むことができる」と本気で思えるのです。》(172p)
著者の悲痛な叫び、《もう一度、歴史を見直してください。大航海時代といまとなにか違っているでしょうか?》(183P)手元に置いて何度も読み返さねばと思う。
↓ この著を読んでいて出会った「陥穽」の一コマ。西洋感覚の怖ろしさとその受容を迫られる東洋について、いろいろ考えさえられている。
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