「お金の仕組みのいかがわしさ」にまで射程は及ぶ [現状把握]
In Deep記事「過去数百年続いたマネーの「死」までの秒読み」。
以前『お金の秘密』(安西正鷹著)を読んでアマゾンレビューにこう書いた。《お金の仕組みのいかがわしさは「信用創造」において極まる。銀行から借金して通帳に書き込まれる数字には原価も何もない。しかしその数字が記入されるやいなや、その対価として、その数字に利息を加えて「稼ぎ」によって小さくしてゆかねばならない義務が生ずる。こうして国も企業も個人もこの幻に過ぎない数字に追いまくられた日々を強いられる世の中になってしまっている。》現下の金融危機は、まさにこの「お金の仕組みのいかがわしさ」にまで射程は及んでいるということなのだと思う。フラクショナル・バンキングシステム(フラクショナル・リザーブ・バンキング)という言葉が出てきた。《これは世界中の銀行で行われているシステムで、銀行が預金をどんどん運用して、実際には存在しないお金をローンとして貸し出しては利息や手数料、返済が遅れればそのペナルティを請求するというもの。 一般市民がこれをやれば立派な詐欺行為であるけれど、銀行が行う場合はコンピューターに数字を打ち込むだけの合法行為。 預金者が自分の財産だと思っているのはコンピューターの画面や明細書に書き込まれた数字だけ。》cubeny.comとある。実はその後、この仕組みは「信用創造」という銀行の本来業務であり、それによって経済成長が可能になったことをmespesadoさんの議論から理解した。しかし実物経済から切り離されてカネ自体が膨張しはじめた結果が現状だ。↓ 世界の債務推移を表すこのグラフ、
1971年のニクソンショックによる金本位制終焉時に4兆ドル (約 530兆円)だった世界の債務は、50年後の2021年には75倍の 300兆ドル (約 4京円)に成長、《2025年から 2030年の間に世界の債務が 3,000兆ドル (約 40京円)に達する》という。《これは、シャドーバンクシステムと現在おそらく約 2,000兆ドル (約 26京円)の未払いのデリバティブを、中央銀行が大量の紙幣を印刷するために貯蓄する必要があることを前提としている。これは明らかにハイパーインフレにつながり、その後不況の内破につながる。/センセーショナルに聞こえるかもしれないが、史上最大の信用バブルが終焉を迎えるというシナリオは依然として非常に可能性が高い。》
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