大きく時代は動いています [田中宇]
田中宇氏の「国際ニュース解説」、1日に2本というのははじめてです。大きく時代は動いています。
《570:堺のおっさん :2023/03/16 (Thu) 14:31:28 はいはい、次はクレディ・スイスです。/アラブ筋が前面に出てます。》とありましたが、田中宇氏:《クレディスイスの最大手の株主は9.9%を保有するサウジアラビアのナショナル銀行だ。同銀行は、クレディスイスから追加の金融支援を頼まれたが断った。この断りは、クレディスイスにとって最期の一撃になったかもしれないと言われている。本当にそうなのかどうか、1-2週間以内にわかる。》田中氏の判断は、《サウジやイランなど産油国や、インドやブラジルなど大市場の国が次々と中露主導の非米側に入っている。米国側と非米側は断絶しているので、米国側の金融危機が非米側にあまり波及しない。サウジの銀行はクレディスイスの大株主として大損するが、サウジ全体はこれからの非米化と多極化で安定と繁栄を得る。そちらの利益の方がはるかに大きい。》
会員版なので、一部ピックアップ ↓
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「中露が世界を動かし始めている」(田中宇) [田中宇]
《中国共産党の上層部は習近平になるまで、トウ小平以来の親米派(経済面の対米従属派)が握っていたので、習近平はまず自分の独裁を強化して党内の親米派を無力化する必要があった。そうしないと、習近平が世界を非米化しようとしても党内の親米派に邪魔される。それで習近平は、まず昨年秋の党大会で自分の独裁体制を確立した。その直後にサウジを訪問し、サウジが希望するイランとの和解を中国が仲裁することを決め、サウジとその傘下のアラブ産油諸国が産出する石油ガスをすべて中国側(中国と一帯一路の諸国)が買い占め、欧米側に売らなくて良いようにする話もした。サウジ側から中国側への石油ガス販売はドルでなく人民元などで行い、米覇権の根幹に位置していた石油のドル決済体制(ペトロダラー体制)を破壊する策も決めた。》
自立の要諦:《サウジを安保的に対米自立させる早道は、サウジと周辺諸国との対立や緊張関係を全部解決してしまうことだ。周辺との対立がなくなれば、サウジは米国の兵器を配備する必要がなくなり、米国の諜報に頼る必要も低下する。そして、イエメン戦争やカタールとの対立、国内シーア派の反政府運動など、サウジと周辺との対立のほとんどは、イランと和解することにより解消できる。ISISやアルカイダなどイスラム主義のテロ勢力もサウジの内部的な脅威者たちだが、これらは米諜報界の支援がないとしぼんでいく。サウジとその子分であるアラブ諸国が対米従属をやめると、米諜報界や米軍がアラブ諸国に駐留してISカイダを支援する構図も消失し、ISカイダはしぼむ。イスラエルも以前はサウジにとって脅威だったが、トランプがイスラエルとサウジの仲を仲裁して以来、イスラエルはサウジの敵でなくなっている。イランと和解すれば、サウジは対米自立しても自国の安全を維持できる。》→平和
中露に視点をおけば、世界はダイナミックに「まとも」に向かっている。《中国は、ロシアと連携してこの戦略を進めている。中国はイランとサウジの和解を担当し、ロシアはシリアと周辺諸国の和解を担当している。3月14日、シリアのアサド大統領がモスクワを訪問し、今後のことをプーチンと話し合った。シリアには最近、エジプトなどアラブ各国から外相らが次々と訪れている。サウジが盟主のアラブ諸国で構成するアラブ連盟は一昨年あたりからアサド政権のシリア政府を連盟に再招待したいと考えてきたが、アラブは対米従属なので、米国の反対を受けて延期してきた。それが今回のサウジとイランの和解、サウジの対米自立により、アラブ諸国の全体が対米従属から解放される流れになり、いよいよアラブ連盟がアサドのシリアを再招待できる状態になっている。》
《米国が英国やイスラエルに入り込まれずに米国好みの覇権運営をやれていたら、中東はもっと安定していたはずだ。米中枢の暗闘のせいで、中東の人々は1970年代から50年以上、ひどい目にあい続けてきた。無数の人々が無駄に死んだ。米国の隠れ多極派と中露とが推進する今の多極化でその惨事が終わりそうだが、本当にそうなっていくのかどうか。これからの展開が興味深い。》
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