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故鈴木信一さんへ(元獅子冠事務所総取締役) [弔辞]

鈴木信一さん葬儀.jpgまさに”好漢”でした。

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      弔  辞 

 故鈴木信一さんの御霊前に謹んで弔意を捧げます。
 公立置賜総合病院の外科の待合室で会ったのが十月三十一日でした。二年ぶりでした。奥さんの引く車椅子で、だいぶ痩せてはいましたが、満面の笑顔とはずんだ声は、重い病いを感じさせない、元気な頃そのままでした。私も手術の日ダチが悪く家内に連れられての診察で、「お互い元気でな」と手を握り合って別れました。それから二ヶ月足らず、そのうち顔見にと思っているうちの訃報でした。
 昭和五十九年に亡くなった親父さんに代わって獅子冠事務所に入ったということで、代々の通称「あひるや」のまま、三十代半ばから七十まで三十五年に及ぶ獅子冠事務所歴でした。十年近く遅れて私が入った頃は、貫禄からして押しも押されぬ中堅的存在でした。
 獅子冠事務所にとって、おくまんさまのお祭りはかなり激しいお祭りです。しっかりお精進をして神様の力をお借りしなければなりません。箱バヨイでも御神輿でも、獅子冠事務所と若い衆の間で激しいせめぎ合いが繰り広げられます。そうしたせめぎ合いをのり越えて納まるべきところに納まるのです。宮内熊野に探る「祭り」の意味 (8)https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2014-12-21-4
 獅子冠事務所の中にあって、口数は少なくても、見るべきところをしっかり見、押さえるべきところをしっかり押さえる揺るがぬ存在として、存在感を示してこられました。
 十年前須貝さんに代わって総取締役を引き継ぎ船山さんに引き継ぐまで、頭取とともに獅子冠事務所を率いられました。若い頃からその風貌はまさに絵になる姿で、獅子冠事務所の看板的存在でした。総取締役として一層その風格に磨きがかかっており、退任が惜しまれたものでした。
 獅子冠事務所も高齢化が進み、新たに入ってくれる人もなく、これからどうなるか心配な状態ですが、八十七歳の頭取を先頭に、われわれ残った者、これまで通りのお祭りをつづけてゆくためにがんばるつもりでおります。
 これまでの獅子冠事務所へのご功績に感謝を捧げつつ、獅子冠事務所がこれからも存分にその役割を果たし、お祭りが無事斎行されてゆくことを、しっかり見守っていただきたく、獅子冠事務所一同心よりお願い申し上げ弔詞とさせていただきます。
 衷心より御冥福をお祈り申し上げます。

   令和五年十二月三十日           
           

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