「共産主義トラウマ」からの脱出→野党共闘 [田中宇]
田中宇の国際ニュース解説「北朝鮮とロシア」要約:《【2023年12月27日】ロシアが北朝鮮との交流を突然復活した今夏は、ちょうど露主導の非米世界システムの構築が軌道に乗りだした時期だった。ロシアは、ウクライナ戦争での武器弾薬不足や、経済成長で人手不足が深刻化したので、武器弾薬や出稼ぎ労働力を北朝鮮から買っただけ、と考えるのは多分近視眼的だ。ロシアは、もっと巨視的・長期的に、北朝鮮を非米的な世界システムに招き入れるために、武器弾薬や労働力の購入を皮切りに北朝鮮に接近したと考えられる。》
ダイジェスト:《米国が北朝鮮やイラン、シリア、キューバなどを極悪視して制裁・転覆画策し続けるのは誇張歪曲だらけで理不尽だが、世界最強の覇権国だから黙認するしかないと考えている国は多い。ソ連崩壊からウクライナ開戦まで、ロシアもそうだった。ロシアは、米主導の国連の北制裁に賛成し、北への協力も最小限にしていた。
だが米国は、覇権が衰退しつつある中で、ウクライナ政府を傀儡化して国内ロシア系住民を殺し続ける策を2014年からやり続け、ロシアを正当防衛的なウクライナ侵攻(特殊作戦)に誘導し、猛烈な対露制裁を開始した。》
だが米国は、覇権が衰退しつつある中で、ウクライナ政府を傀儡化して国内ロシア系住民を殺し続ける策を2014年からやり続け、ロシアを正当防衛的なウクライナ侵攻(特殊作戦)に誘導し、猛烈な対露制裁を開始した。》
《ウクライナ開戦から1年以上が経ち、政治経済の両面で非米的な世界システムの構築が進んでいる。政治面はBRICSを拡大し、米国側と非米側が衝突して機能不全の傾向である国連安保理の機能を代替しそうな勢いだ。経済面は、BRICS諸通貨での貿易決済やユーラシア内陸部の貿易路建設など、米国側と断絶した状態で非米諸国が経済活動できる態勢が、簡素だが形成されている。》
《北を孤立させ、日韓を対米従属させるためのものだ。北制裁は極東を安定させない。米覇権は、これから崩壊が進んで日韓から撤退していくのだから、北制裁でない戦略が必要だ。ロシアはそのため(日韓のため??)に北に接近したともいえる。》
《北が安定したら、南北和解が近づく。ロシアが北を非米システムに誘ったのは東アジアの安定策である。》
《今年ロシアは、中国と協議しながら北との関係を強化している。これは中露合同で北を非米側の仲間に入れる策だ。かつて中国は「市場主義」を北に勧めたが、今ロシアが北(やアフリカなど非米諸国)に勧めているのは「国家主義」「国家主導」の経済戦略だ。北朝鮮の金家は、自分たち(=国家)が中心でなければならず、国家主義は大好きだが、金家より市場(もしかすると米諜報界の「見えざる手」)が偉い市場主義は嫌いだ。北朝鮮には、トウ小平式よりプーチン式が似合う。》
《今のロシアの前身であるソ連も、英米の覇権体制とは別の世界システムを、国際共産主義体制として百年前に作ろうとした。今のロシアの非米世界システムの構築提案は、百年前からのロシアのお家芸を継いだものだ。ロシアが世界システム構築の才能を持っているというよりも、内陸側のロシアが、海洋側の英米と地政学的に対立する存在なので、非英米的な世界システムの提案をロシアが担当している感じだ。/この見立てに沿って、ロシア革命から現在までの世界史の裏の流れを再構築してみようとしたのだが、途中で頓挫しているのと、今回の北朝鮮の話からかけ離れていくので、それは改めて考えて書くことにする。》
《今のロシアの非米世界システムの構築提案は、百年前からのロシアのお家芸を継いだもの》に、ソ連発信の国際共産主義運動を思った。日本共産党はこの流れを汲む。このトラウマが、野党統一行動を妨げている。(「岸田内閣崩壊の好機に野党共闘を拒否する連合・芳野友子会長“共産党嫌い”の原点 」https://jisin.jp/domestic/2278036/)このトラウマから脱け出すことができるかどうかは、日本に新しい政治の流れをつくることができるかどうかのカギになると思う。できる!と思う。田中氏の次稿に期待。
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