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田中宇 ロシア報告(承前) [田中宇]

要約:《【2023年12月8日】この四半世紀、米国は敵視や制裁や戦争を多発し、世界を不安定化するばかり。それはまずいので、露中など米傀儡でない諸大国が集まり、別の安保システムを作ることにした。それが多極型世界だ。極の策は政治支配でなく、経済と安定化だ。「安保」が持つ意味も、米覇権下での「脅威誇張・戦争・敵視・制裁・不安定化」から、「現実直視・交渉・和解・相互繁栄・安定化」へと大転換する。》

ダイジェスト:日本は、早めに動き出せば極になれる。今のように多極化を無視して対米従属のみに固執し続け、極になる準備開始が遅れると、確定した体制下に入っていくのが難しく、日本は中国極の傘下(中国の属国)になる。/日本では、中国を嫌う人ほど多極化を無視して対米従属に固執する傾向だ。中国を嫌う人ほど、日本を中国の属国へと引きずり込んでいる。対中和解派を売国奴呼ばわるする人こそ、日本を中国の属国にする売国奴。無自覚は最大の失策だ。》

日本が極になるなら、それは東アジアの海洋地域としての極だ。日本から米領グアム、フィリピン、東南アジア、インドネシア、豪州、NZへと続く西太平洋。それから、ロシア、北朝鮮、韓国、中国の環日本海圏。日本は、これらの地域と特に親しくして、経済や地域安定の策をいろいろ考えるようになると、極になる。/極の策は政治支配でなく、経済と安定化だ。「安保」が持つ意味も、今の米覇権下での「脅威誇張・戦争・敵視・制裁・不安定化」から、「現実直視・交渉・和解・相互繁栄・安定化」へと大転換していく。それが多極化の良いところだ。》

強国が弱い国に対して一方的に影響力を持つのが覇権(隠然)や支配(顕然)だが、多極型世界の極の国の行動は、他の国々との合意に基づく相互のものなので覇権でない(傀儡政権を作って合意させることがあり得るので覇権の要素は残る)。支配でなく、他国に対して経済や安保での貢献をする国が極だ。/この定義で考えると、極になる国は世界に30ぐらいありそうだ。日本に国際貢献してもらったと思っている国はけっこうあり、この点で日本は極だ。》

戦後の米覇権体制は当初、米国が世界の紛争を仲裁して安定化する役目だった。だが、この四半世紀、米国は敵視や制裁や戦争を多発し、世界を不安定化するばかりだ。米国側のマスコミは善悪歪曲の意図的な誤報を流布し、米国側の人々に「米国は良いことをしている」という大間違いな妄想を軽信させている。//この事態は、放置すると永久に続く。それはまずいので、露中など米国に傀儡化されていない国々が集まって、別の国際安保システムを作ることにした。それが多極型世界だ。》

私自身の見立てで言うと、(英国系に牛耳られているのを嫌がる)米国自身が単独覇権を壊して多極化したいので、わざと敵視制裁戦争を多発して露中に多極型世界を作らせた、という話だ。どちらにしても多極化は、世界の安全確保のための「世直し」である。》

日本との関係についても、北東アジアについての 7.8. に少し書いてある。それは「残念ながら、日本のナショナリズムは、日本の対米従属を終わらせる試みにつながっていない」という一文だけだ。/ロシアは、欧州各国の反EUナショナリズム・いわゆる極右が、欧州を米傀儡から離脱させて非米側に入れてくれると期待している( 3.3. )。だが日本のナショナリズムは反米でなく、逆に米傀儡の中露敵視屋なので期待できない。この一文はそういう意味だ。(日本には真のナショナリストがほとんどいない。反米親露派も不必要に反中国) /日欧とも、世界を不安定化するばかりの米国に従属する傀儡である限り、世界を安全にするための非米側の動きに参加できない。》

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