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『自分だけを信じて生きる』(副島隆彦) [本]

自分だけを信じて生きるのコピー.jpg自分だけを信じて生きる.jpg副島隆彦著『自分だけを信じて生きる』。副題に「スピリチュアリズムの元祖エマーソンに学ぶ」とある。1/27の日経に大きく広告が出ていた。知識や情報を得たくてこの書に近づけば、多少エマーソンについて知ることにはなるかもしれないが、そんなことはどうでもいい。そもそも知識を伝えようとする本とはちがう。残された人生、だれにも遠慮は要らない。言いたいことを言わせてもらうし、やりたいことをやらせてもらう、そんな気合いで書かれた本だ。

スピリチュアリズムとは何か。いい答えがあった。いわく、《超越的(飛び越える。トランセンドtranscendする)とは、物的世界(マテリアル)だけでは絶対に解決しない、霊的世界を認めることである。それがスピリチュアリズムである。》(110-111p)要するに、カントの言う「即自的物自体」を第一義にする、というとよくわかる。そこでは「対自」も「対他」もないゆえに「評価」とは無縁な世界だ。したがって「自分だけを信じて生きる」世界なのだ。「一心清明」の世界へと通じてゆく。

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参考①「mespesadoさん講義(108)金言!」https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2020-08-10

《自分の得意分野で活躍するって、別に地位を得たり高収入を得ることじゃないと思うんですよね。そんな「外から」の評価なんてハッキリ言ってどうでもよい。要は自分の真の本心が、自分のやっている行動に納得しているかどうか。それがすべてじゃないですか?そんな「外から与えられた」目標を達成するためにやりたいことをガマンしたり、逆にやりたくないことを無理して努力したりするから人の足を引っ張りたくなるんですよ。もっと内面の、「本当の自分」に忠実に生きたら?と思いますよ。そういう世界では、下らん競争も嫉妬も無い。ただ、成果だけがものすごく伸びていく。今の日本って、かつては当たり前だった資源不足の問題なんてほとんど解決してその種の物理的制約なんて何も無いんだから、早くみんなで頭を切り替えればよい》

 

参考②「小田仁二郎の現在的意義」https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-12-21

(三)「同調圧力」に動じない精神の在りよう

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 「同調圧力」にいかに抗するか。小田仁二郎の在りようが心を支えてくれている。

 ニーチェは概念世界を排し、自己のパースペクティブ(自分にとっての世界)を絶対視することで実存主義の流れをつくった。メルロー・ポンティは、他者のパースペクティブ(他者にとっての世界)も無視できないとして、生きている現実を直視した。
 自分を見る他者がいる。そこには、〈自分(私①)〉で思っている〈自分(私②)〉以外の〈自分(私③)〉がある。〈自分(私③)〉が在ることによって、〈自分(私①)〉自体と〈自分(私①)〉で思っている〈自分(私②)〉は変調を来す(分裂する)。全体としての〈自分(私)〉とは、絶えざる3者の相克(絡み合い)から成り立つ。
  ①〈自分(私①)〉:私自体(即自)
  ②〈自分(私②)〉:思う自分(対自/自意識)
  ③〈自分(私③)〉:他者が見る自分(対他)
 ニーチェにおいて絶対視された〈パースペクティブ〉は、メルロー・ポンティにおいて、他者の存在によって相対化されている。それがあるがままの〈生〉なのである。「現象」学のゆえんである。

 小田仁二郎は、①〈自分(私①)〉の「私自体(即自)」を目指した。福田恆存は、「触手」にその達成をみて、日本で初めての《完全な一人称小説》と評した。小田仁二郎は「感覚」を極めることで「世界(普遍性)」を獲た。

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