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副島隆彦『有事の金。そして世界は大恐慌へ』 [本]


第4章「 世界史の軸が動いた」が白眉。《4月21日にあったG20の財務省・中央銀行総裁会議(議長国インドネシア。ワシントンで開催)で、ロシアの財務相と中銀総裁が登場した時、このうちのG7先進国のメンバーが一斉に抗議の退場をした。示し合わせた上での抗議のデモンストレイションだった。walk outと言う。ところが、G7のメンバーである日本の鈴木俊一財務相と黒田東彦日銀総裁は、立ち上がらなかった。そして会議室から出てゆくことをしなかった。他の13カ国の非白人の新興国と共にそこに残った。》(172p)《このG20財中会議で起きたことは日本の戦後史で、画期的なことである。この時ついに世界史の軸が動いたと言える。日本はアジア諸国の一国として新興国側に付いたのである。その前にインドネシアのジョコ・ウィドド大統領が議長国としての権限で「G20からロシアを排除(追放)することに反対する」と明確に意思表示していた。日本はついに動きだしたのである。英と米の意志(指図、命令)に公然と逆らうことを開始した。》(175p)そして言う。《このあと英と米が、日本の政治家たちをどのようにイジめに来るか、知らないが。来るなら来い。日本人の本来の、土性骨を見せてやる。いつまでも英と米に卑屈に土下座しているだけが日本人ではない。》(176p)一昨日の記事の、田中宇氏に通ずる。《コロナや温暖化といった超愚策関連でも、ドイツやEUは大間違いの都市閉鎖やワクチン強制や化石燃料廃止などをガンガン本気でやって自滅している。日本は「無能な小役人」をうまく演じ、ドイツに比べて超愚策を不真面目にしかやっていない。日本の方がましだ。ドイツなど欧州が困窮するのは自業自得だ。早く非米化した方が良い。 》https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-05-31-1

第5章「国債のデフォルトが怖ろしい」は、金融専門家村川達也氏にとのやりとり。肌理細かく説得力ある。《村川:国債金利が0.3%まで上がったら日銀はデフォルト(203p)。《副島:小室直樹先生が言ってきたとおり、NATOはもう潰れる。偉そうに30カ国までNATOを拡大してロシアの周辺を削りまくった。プーチンのロシア政府は、彼らを許さない。生半可な覚悟で帝国はできていません。/村川:仮面をかぶった列強政治が終わるわけですね。》(217P)《副島:中国は、国内の金融市場を1ヶ月止めてもなんともない。市場を止めて「売らせません」「買わせません」というのを平気でやる。それが「中国の特色ある社会主義経済」です。自由市場経済(これが資本主義)を標榜していない国家の強さです。・・・アメリカは今回、(ロシア財産の没収という形で)この手法に手を掛けてしまった。自分も独裁国家(統制国家)になった。/村川:マーケットがあってあたりまえということ自体が間違っている。すべては政治が決める。市場の存続を許すかも国家が決めるということですね。/副島:・・・マーケット原理とか言っているうちはだめだ。その外側がある、と分からないと。「預金封鎖」や「統制経済(配給制度)をする」とか、国家はいざとなったら平気でやります。》(221p)マドモアゼル・愛さんの見解https://ameblo.jp/mademoiselle-ai/entry-12741087930.htmlを思う。「時代の射程はここまで及ぶ!」と驚き、戦慄した。習近平対江沢民一派の最終決戦的な面がありはしないでしょうか。習近平が求めている中国は、アメリカDS勢力と組んで発展した江沢民一派が成すこれまでの中国とは違います。自立独立を強固にし、腐った経済勝組を犠牲を払ってでもつぶし、新しい中国を作ることを画策しているのかもしれないです。》https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-05-11-1) 時代は大きく動き出している。かつての常識は通用しない。

西側情報にどっぷり浸かった日本の経済人が、国際会議に出席して戸惑っている記事最後に載せておきます。

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G20財務相会議、日本は退席せず 米英などと別の対応

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鈴木財務相は途中退席した米英などに同調はしなかった

【ワシントン=江渕智弘】20カ国・地域(G20)が20日に米ワシントンで開いた財務相・中央銀行総裁会議で、鈴木俊一財務相は途中退席せずに最後まで参加を続けた。イエレン米財務長官など米英とカナダの参加者はロシア側の発言が始まる前に席を立っており、主要7カ国(G7)でもロシアへの対応で足並みが乱れた。

ウクライナへの侵攻を続けるロシアはシルアノフ財務相がオンライン形式で参加し、財務省高官が現地で出席した。G7各国は事前にロシアの欠席を求めていた。ロイター通信によると、イエレン氏と英国、カナダの参加者がロシア側の発言が始まる前に席を立った。

サキ米大統領報道官は20日の記者会見で、イエレン氏がG20財務相会議で一部の会合を欠席したことについて「明確に支持する」と表明した。「プーチン大統領とロシアが国際舞台でのけ者になっている事実を示すものだ」と指摘した。

日本の財務省関係者によると鈴木氏は同調しなかったという。G20会議の終了後、G7は別に財務相・中央銀行総裁会議を開いた。

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深刻な亀裂 世界経済に試練

十字路 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB255080V20C22A5000000/

先日、ロシアが参加するアジア太平洋地域の国際会議に出席した。現在の国際社会が直面する三つの困難があり、予想以上に深刻なことを痛感させられた。

第一は世界経済の基盤である国際秩序に生じた亀裂の深さだ。ロシアの会議参加が証左である。ウクライナに侵攻したロシアは力による現状変更を試み、国際秩序を揺るがした。だが、同国には世界や地域の経済の安定を目的の一つにする会議への参加資格はないと断じた国は日米など少数の同志国のみである。多数の国はロシア批判をためらうこれが世界の現実だ

第二はロシアの参加を容認した国々は経済が何より大事でグローバル化を止めたくないと考えていることだ。驚くべきことにロシアも同じ考えである。米中対立とロシアの侵攻が脱グローバル化に流れを変え拍車を掛けてしまったと認識し、それに応じた世界や地域の協力体制の修正が必要だと認識する同志国との距離は広がる一方である。

第三は国際協力の枠組みの多くが参加国・地域の協力は続き、国際秩序に挑戦する国など現れないという性善説を下敷きにしていることだ。20カ国・地域(G20)やアジア太平洋経済協力会議(APEC)に特定国を排除するルールはなく、今年のそれぞれの議長国インドネシアとタイはルールに従ってロシアを閣僚会議に招待する方針を示す。反対する同志国にも議長国を説得できるすべがない。しかしロシアが参加する会議はまとまらない。国際秩序の修復や世界経済の安定へのメッセージを打ち出せないで終わる可能性が高い。2008年の金融危機の際、世界は団結して危機を乗り越えることができた。

しかし、国際協調は揺らぎ、G20もAPECも機能不全に陥り抜け出せなくなる恐れの方が強まっている。冷戦、いや第2次世界大戦以来の試練に直面している。世界景気と国際金融市場の先行きには悲観的にならざるを得ない。

(丸紅執行役員経済研究所長 今村 卓)


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