一般質問、無事?終了 [議会]
昨夜、とてもしらふでは見れそうもない自分の一般質問を、徳之島高岡醸造の「神酒50」をオンザロックであおりながら、NCVの録画で見ました。(議場での発言はマスク着用のままというお達しなので、「口だけマスク」で語らせていただきました。)
「22年ぶりに議会にもどってみて、ずいぶん立派になってるなと驚いています。以前はわれわれも当局も議場に入るときは、ねじり鉢巻にたすき掛け、そんな気持ちで臨んだものです。そういう昔の気分が残っているので、こりゃあなんだという質問になるかもしれませんが、ご容赦ください。」と前置きして始めました。とりあえず、登壇して読んだ原稿を載せます。
* * * * *
1、最初の質問は「南陽市総合計画基本構想(案)」についてです。
世界中新型コロナで大騒ぎですが、冷静になってみると、コロナ自体については、日本人はさほど恐れる必要もないように思えます。
まず、現在の新型コロナ感染者は17,000人、亡くなった人が922人ですが、2018年に日本でインフルエンザにかかった人が1200万人、インフルエンザで亡くなった人が3300人でした。また、アメリカの死者数が10万1000人ですから、日本の922人は、1%以下です。人口10万人あたりにしてもアメリカの2.4%にすぎません。アジアでは、モンゴル、ブータン、ラオス、ベトナム、カンボジアの5ヶ国が死亡者ゼロということで、欧米人種とアジア人種の遺伝体質の違いも話題になっています。また、統計が出た今年1月から3月の全国の死者数を最近5年間の平均と比べると、今年は0.7%下回っています。自殺者にいたっては9%も減少しており、ひとりで大変な思いをすると死にたくなるが、みんな大変なので、おのずと励まし合い、助け合いの気持ちになれるのです。
問題は、新型コロナが引き金となった世界あげての大変動です。150年前の明治維新は「小維新」、75年前の敗戦は「中維新」、そして今回は「大維新」ともいわれます。まさかこんな時代が来るとは思わなかった。今まで突っ走ってきた世界に急ブレーキがかかったのです。つんのめって今にも倒れそうです。コロナ以後の「新しい生活様式」とはどんなものか、いまみんなが模索している最中なわけです。
こうした中、5月25日に振興審議会が開催され、第6次南陽市総合計画基本構想(案)が市長に手渡されました。これから10年間の南陽市を方向付ける最上位の計画が、コロナ以前のデータ、発想に基づいたままというのはいかがなものか。この度の答申を一年延長して、これからの世の中の流れを十分見極めた上で答申すべきではないかと会議の中で発言しました。
あらためて基本構想骨子(案)の「南陽市の現状と課題」にそってみてみます。
まず「人口減少の加速」ということにつきましては、コロナ以後においてはむしろ首都圏から地方への人口移動を想定すべきなのではないか。そうなれば、増え続ける「空き家」問題についても、邪魔者扱いでなくむしろどう生かすかの方向で考えねばなりません。
「グローバル化の進展」ということを考えると、これからは、世界全体トランプ大統領の「アメリカファースト」的な保護主義感覚に重きが置かれるようになるはずです。したがって「外国人材の受け入れ拡大」についても、まず日本人の仕事をどうするかを主眼に考え直さねばなりません。グローバリズム的経済第一主義が、足元重視に変われば、おのずと食糧も自給率向上に向かいます。農業が見直されます。「耕作放棄地の増加」についても、これまでとはちがった見方が必要になるはずです。
先行き見えない中で出された南陽市の今後10年を方向付ける「総合計画基本構想(案)」を、市長がどう評価されたかをまずお聞きします。
つぎに、今回答申の「南陽市総合計画基本構想(案)」と、これから1年間審議される「南陽市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に目を通して残念に思ったのは、そこから南陽市のビジョンというか、「夢ある未来」を感じ取ることができなかったことです。「総合戦略」の結論として「人口の将来展望を実現に向け・・・若者等の各世代が市内に住み続けながら働くことのできる環境を実現するとともに、女性が住みやすく安心して子どもを産み・育てることのできる環境や利便と安全を備えた地域づくりにより住みたくなる環境を実現する。」と掲げてありますが、わざわざ言うほどのことでもないあたりまえのことです。若者であれ、だれであれ、南陽市に住みたいと思う気持ちになってもらうには、まず根っこに「ワクワク」感が必要です。「総合戦略」と銘打つなら、なんらかのワクワク感が伝わってくるものであってほしい。そこで、ワクワクするような南陽市の将来イメージはどんなものか、市長お持ちでないのかどうかお聞きします。
これまで経済一辺倒で突っ走ってきた世界が一斉に一旦停止、それ以前を平常とすれば、今はたしかに異常事態ですが、むしろ今の方が正常で、これまでが異常だったという見方もあるようです。日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、スウェーデンの各1,000人を対象にした国際世論調査によると、日本は58%が「経済を元の状況に戻すのではなく、これを機に経済の在り方を根本的に変えるべき」と回答しているそうです。価値観の大変動がおこりつつあるのを感じます。世の中の仕組みも変わります。今の事態を一時的な異常事態と見て、目先のモグラ叩きで切りぬけようとするか、そうではなくて、この事態をチャンスと捉え、しっかり先を見据えて方向を定めるか、どちらを選ぶかで将来は決定的に違います。コロナ後の世界を見据えた上での基本構想(案)にするために、全面見直しが必要と思うが、どうでしょうか。
2. 次にハイジアパークについてです。
議員になっていろんな方と話して、いちばん話題に上ったのがハイジアパークでした。「公の施設である『ハイジアパーク南陽』については、令和2年度中に、民間事業者へ譲渡することも含めて継続する方向を模索し、継続することが不可能な場合は、事業を停止する。」と、3月27日に出されたショッキングな基本方針は、市民の間に大きな議論を巻き起こすことなったということで、その中身はさておいて、問題提起としておおいに評価したいと思います。
28年前の平成4年8月、私が初めて議員になった年にハイジアはオープンしました。私は文教経済委員として、なんとかハイジアをうまく軌道に乗せるための議論の中にいました。
手元に平成2年9月に出された収支計画があります。それによると、利用客は年間21万9000人を見込み、開業10年目の平成14年の売上げは6億6500万円になっています。このたびの決算書では、指定管理料収入を除けば1億2500万円ですから、当時の目論見の1/5です。10年間の利益の累積を8億7000万円と見込んでいます。当初、ハイジアの収益から5000万円が市の会計に繰り入れられるはずでした。ところが、開業早々業者への支払いも滞るようになり、その5000万円を帳消しにするか繰り延べにするかで大議論になったこともありました。開業1年を経た時点の経営診断では「当社は自力では日々の経営も賄えない段階にあり、まず事業として推進する必要性の再検討」が必要であるとまで言われてしまいます。ハイジアパークは、はじめから先行き不安いっぱいの多難なスタートだったのです。当時を知るものとして、30数年近くなんとか維持させてきた関係各位のご努力ご苦労がいかばかりであったことかを思うと胸迫るものがあります。思うにハイジアは、ずさんな計画に基づいた上の、無理に無理を重ねた不幸なスタートだったゆえ、本来の持ち味を十分活かしきれぬままここに至ったと、私は断言します。
高校卒業後家を離れ10年ぶりに戻ってあらためて故郷の良さがわかるようになりました。そのひとつが晴れた日に内原から眺める置賜盆地の風景でした。友人が来ると晴れた日には必ず赤湯宮内間を上野から内原に抜けて、その風景を自慢しました。あの地に保養の施設を計画した大竹市長の慧眼がうれしく、またたのもしく思ったものでした。あのロケーションは、南陽市民にとってのかけがえない財産です。その地に総事業費41億7000万円をかけたあの施設が市民のものとしてあることのありがたさを心底思います。それが私にとっての大前提です。
このたびハイジアについての一般質問を用意していたところ、山形出身の世界的デザイナー奥山清行氏がハイジアパークに注目しておられることを耳にしました。奥山氏がどういう方かを知りたくて、昨年11月発行の『ビジネスの武器としての「デザイン」』を読みました。「デザイン的思考」の指南書として実に説得力のある本でした。奥山氏がハイジアについてどんなお考えをお持ちなのか知る由もありません。そこで、奥山氏の視点に立ったつもりで、私なりのハイジアパークを考えてみました。
ハイジアには、奥山氏が「ブランドストーリー」をつくるための核として提示された「ヘリテージ」伝統遺産が流れ込んでいます。すなわち、「東洋のアルカディア」置賜大展望のロケーションを基本に、イザベラバード記念館、そしてギリシア神話「ヒューゲイア(健康の女神』」に由来するネーミング、世界に誇れる一流ブランドにもってゆける要素が備わっています。さらにあの地には古代古墳遺跡まであるのです。そこからは稲荷森、天神森、戸神山の置賜三大古墳が展望できます。ハイジアパークは、南陽、置賜の、まさに大艦隊をリードするシンボルとしての「フラッグシップ」になれるのです。奥山氏の言葉があります。《フラッグシップは売り上げや利益にとらわれてはいけないのだ。あくまでそのブランドの象徴としてイメージ戦略を狙い、顧客や消費者のウォンツを刺激し続ける存在でなくてはいけない。/そのフラッグシップを媒介にして、人はそのブランドに興味を持ち、ファンとなり、顧客となるのだ。》まさに、ハイジアにぴったりです。市長どう思われますか。通告書以上のことを私は言ってますので、市長も用意された答弁書以上の言葉でお答えいただきたい。奥山氏が市長と接触あったことは今朝の山形新聞からだれにもわかることなので、市長の率直な思いをお聞かせいただきたい。
さて、奥山氏によると、デザインの出発点は、顕在化した需要である「ニーズ」ではなく、まだ潜在的な需要である「ウォンツ」を掘り起こすことです。ハイジアについて言えば、ハイジアがどうあって欲しいと思うかということです。4月21日の臨時議会で、こう発言しました。「経済危機はまだ始まったばかり、まだ先月働いた分の金は入ってくるし蓄えもある。この状態がいつまで続いてどうなるか。最終的なセーフティネットを用意することが、市としてすべき役割として重要になると思う。いよいよ食べるにも事欠くようになった時「市が助けてくれる」、そういうものを用意しておく必要がある。そのことを思えば、市が処分しようとしているハイジアパークは貴重な施設に思える」と申し上げました。ハイジアのこれからを考えた時の私の「ウォンツ」はそこにあります。その後、それは「子ども食堂」を大人にまで拡大したイメージになっています。
先日、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用事例集」をいただきました。この段階ではこの額はまだ1兆円、南陽市には1億4000万円の交付が見込まれるとのことでした。その後2兆円が上乗せの方向ともお聞きします。私が考えたのは、この金をフルに活用して、ハイジアを南陽市におけるセーフティネットの一大拠点として構築することはできないかということです。
これまでハイジアを苦しめてきたのは「採算性」という足かせです。「採算性」のくびきから解放された時、ハイジアの可能性は一挙に広がります。株式会社をやめてNPOにすればいいのです。そして、市民にとってかけがえのない財産であるハイジアパークを、市民にとってほんとうに「こうあって欲しい」ハイジアパークにするのです。
あるいはここで、奥山氏の構想とはずれるかもしれません。『ビジネスの武器としての「デザイン」』という本の名の通り、奥山氏の構想はあくまでビジネスとしての構想であり、おそらく観光資源としての構想だと考えられます。そこで次の課題、奥山氏が重視されるのが「議論すること」です。デザインを形にしてゆく上で大事なのが「議論力」です。これまでハイジアをめぐってどれだけ本気の議論が展開されてきたか。ハイジアについては、市長の問題提起のおかげで、町中いろんな意見が飛び交っています。これからの世の中はどうなるのか、だれも見通せない中、南陽のこれからを考える上で、多くの市民が関心を持つハイジアは格好の材料です。議論することでそこから新しいものが生まれてきます。ハイジアに奥田氏が目をつけてくださったことは実にありがたいことです。奥山氏は、シェルター南陽を見られて「ここで講演したい」と語られたそうですが、奥山氏の一方的な講演会ではなく、奥山氏を招いての一大シンポジウムを開催してはどうかと提案します。何もないところに新たに作るのではありません。南陽市にとって素晴らしい場所にある41億もかけてつくったものを、これからの南陽市のためにどう生かすか。こんなに楽しい議論はありません。そこに世界的デザイナー奥山清行氏が参入してくれることを考えると、鳥肌立つほどゾクゾクしてきます。ワクワクできるような答弁を期待し、壇上からの質問といたします。
世界中新型コロナで大騒ぎですが、冷静になってみると、コロナ自体については、日本人はさほど恐れる必要もないように思えます。
まず、現在の新型コロナ感染者は17,000人、亡くなった人が922人ですが、2018年に日本でインフルエンザにかかった人が1200万人、インフルエンザで亡くなった人が3300人でした。また、アメリカの死者数が10万1000人ですから、日本の922人は、1%以下です。人口10万人あたりにしてもアメリカの2.4%にすぎません。アジアでは、モンゴル、ブータン、ラオス、ベトナム、カンボジアの5ヶ国が死亡者ゼロということで、欧米人種とアジア人種の遺伝体質の違いも話題になっています。また、統計が出た今年1月から3月の全国の死者数を最近5年間の平均と比べると、今年は0.7%下回っています。自殺者にいたっては9%も減少しており、ひとりで大変な思いをすると死にたくなるが、みんな大変なので、おのずと励まし合い、助け合いの気持ちになれるのです。
問題は、新型コロナが引き金となった世界あげての大変動です。150年前の明治維新は「小維新」、75年前の敗戦は「中維新」、そして今回は「大維新」ともいわれます。まさかこんな時代が来るとは思わなかった。今まで突っ走ってきた世界に急ブレーキがかかったのです。つんのめって今にも倒れそうです。コロナ以後の「新しい生活様式」とはどんなものか、いまみんなが模索している最中なわけです。
こうした中、5月25日に振興審議会が開催され、第6次南陽市総合計画基本構想(案)が市長に手渡されました。これから10年間の南陽市を方向付ける最上位の計画が、コロナ以前のデータ、発想に基づいたままというのはいかがなものか。この度の答申を一年延長して、これからの世の中の流れを十分見極めた上で答申すべきではないかと会議の中で発言しました。
あらためて基本構想骨子(案)の「南陽市の現状と課題」にそってみてみます。
まず「人口減少の加速」ということにつきましては、コロナ以後においてはむしろ首都圏から地方への人口移動を想定すべきなのではないか。そうなれば、増え続ける「空き家」問題についても、邪魔者扱いでなくむしろどう生かすかの方向で考えねばなりません。
「グローバル化の進展」ということを考えると、これからは、世界全体トランプ大統領の「アメリカファースト」的な保護主義感覚に重きが置かれるようになるはずです。したがって「外国人材の受け入れ拡大」についても、まず日本人の仕事をどうするかを主眼に考え直さねばなりません。グローバリズム的経済第一主義が、足元重視に変われば、おのずと食糧も自給率向上に向かいます。農業が見直されます。「耕作放棄地の増加」についても、これまでとはちがった見方が必要になるはずです。
先行き見えない中で出された南陽市の今後10年を方向付ける「総合計画基本構想(案)」を、市長がどう評価されたかをまずお聞きします。
つぎに、今回答申の「南陽市総合計画基本構想(案)」と、これから1年間審議される「南陽市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に目を通して残念に思ったのは、そこから南陽市のビジョンというか、「夢ある未来」を感じ取ることができなかったことです。「総合戦略」の結論として「人口の将来展望を実現に向け・・・若者等の各世代が市内に住み続けながら働くことのできる環境を実現するとともに、女性が住みやすく安心して子どもを産み・育てることのできる環境や利便と安全を備えた地域づくりにより住みたくなる環境を実現する。」と掲げてありますが、わざわざ言うほどのことでもないあたりまえのことです。若者であれ、だれであれ、南陽市に住みたいと思う気持ちになってもらうには、まず根っこに「ワクワク」感が必要です。「総合戦略」と銘打つなら、なんらかのワクワク感が伝わってくるものであってほしい。そこで、ワクワクするような南陽市の将来イメージはどんなものか、市長お持ちでないのかどうかお聞きします。
これまで経済一辺倒で突っ走ってきた世界が一斉に一旦停止、それ以前を平常とすれば、今はたしかに異常事態ですが、むしろ今の方が正常で、これまでが異常だったという見方もあるようです。日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、スウェーデンの各1,000人を対象にした国際世論調査によると、日本は58%が「経済を元の状況に戻すのではなく、これを機に経済の在り方を根本的に変えるべき」と回答しているそうです。価値観の大変動がおこりつつあるのを感じます。世の中の仕組みも変わります。今の事態を一時的な異常事態と見て、目先のモグラ叩きで切りぬけようとするか、そうではなくて、この事態をチャンスと捉え、しっかり先を見据えて方向を定めるか、どちらを選ぶかで将来は決定的に違います。コロナ後の世界を見据えた上での基本構想(案)にするために、全面見直しが必要と思うが、どうでしょうか。
2. 次にハイジアパークについてです。
議員になっていろんな方と話して、いちばん話題に上ったのがハイジアパークでした。「公の施設である『ハイジアパーク南陽』については、令和2年度中に、民間事業者へ譲渡することも含めて継続する方向を模索し、継続することが不可能な場合は、事業を停止する。」と、3月27日に出されたショッキングな基本方針は、市民の間に大きな議論を巻き起こすことなったということで、その中身はさておいて、問題提起としておおいに評価したいと思います。
28年前の平成4年8月、私が初めて議員になった年にハイジアはオープンしました。私は文教経済委員として、なんとかハイジアをうまく軌道に乗せるための議論の中にいました。
手元に平成2年9月に出された収支計画があります。それによると、利用客は年間21万9000人を見込み、開業10年目の平成14年の売上げは6億6500万円になっています。このたびの決算書では、指定管理料収入を除けば1億2500万円ですから、当時の目論見の1/5です。10年間の利益の累積を8億7000万円と見込んでいます。当初、ハイジアの収益から5000万円が市の会計に繰り入れられるはずでした。ところが、開業早々業者への支払いも滞るようになり、その5000万円を帳消しにするか繰り延べにするかで大議論になったこともありました。開業1年を経た時点の経営診断では「当社は自力では日々の経営も賄えない段階にあり、まず事業として推進する必要性の再検討」が必要であるとまで言われてしまいます。ハイジアパークは、はじめから先行き不安いっぱいの多難なスタートだったのです。当時を知るものとして、30数年近くなんとか維持させてきた関係各位のご努力ご苦労がいかばかりであったことかを思うと胸迫るものがあります。思うにハイジアは、ずさんな計画に基づいた上の、無理に無理を重ねた不幸なスタートだったゆえ、本来の持ち味を十分活かしきれぬままここに至ったと、私は断言します。
高校卒業後家を離れ10年ぶりに戻ってあらためて故郷の良さがわかるようになりました。そのひとつが晴れた日に内原から眺める置賜盆地の風景でした。友人が来ると晴れた日には必ず赤湯宮内間を上野から内原に抜けて、その風景を自慢しました。あの地に保養の施設を計画した大竹市長の慧眼がうれしく、またたのもしく思ったものでした。あのロケーションは、南陽市民にとってのかけがえない財産です。その地に総事業費41億7000万円をかけたあの施設が市民のものとしてあることのありがたさを心底思います。それが私にとっての大前提です。
このたびハイジアについての一般質問を用意していたところ、山形出身の世界的デザイナー奥山清行氏がハイジアパークに注目しておられることを耳にしました。奥山氏がどういう方かを知りたくて、昨年11月発行の『ビジネスの武器としての「デザイン」』を読みました。「デザイン的思考」の指南書として実に説得力のある本でした。奥山氏がハイジアについてどんなお考えをお持ちなのか知る由もありません。そこで、奥山氏の視点に立ったつもりで、私なりのハイジアパークを考えてみました。
ハイジアには、奥山氏が「ブランドストーリー」をつくるための核として提示された「ヘリテージ」伝統遺産が流れ込んでいます。すなわち、「東洋のアルカディア」置賜大展望のロケーションを基本に、イザベラバード記念館、そしてギリシア神話「ヒューゲイア(健康の女神』」に由来するネーミング、世界に誇れる一流ブランドにもってゆける要素が備わっています。さらにあの地には古代古墳遺跡まであるのです。そこからは稲荷森、天神森、戸神山の置賜三大古墳が展望できます。ハイジアパークは、南陽、置賜の、まさに大艦隊をリードするシンボルとしての「フラッグシップ」になれるのです。奥山氏の言葉があります。《フラッグシップは売り上げや利益にとらわれてはいけないのだ。あくまでそのブランドの象徴としてイメージ戦略を狙い、顧客や消費者のウォンツを刺激し続ける存在でなくてはいけない。/そのフラッグシップを媒介にして、人はそのブランドに興味を持ち、ファンとなり、顧客となるのだ。》まさに、ハイジアにぴったりです。市長どう思われますか。通告書以上のことを私は言ってますので、市長も用意された答弁書以上の言葉でお答えいただきたい。奥山氏が市長と接触あったことは今朝の山形新聞からだれにもわかることなので、市長の率直な思いをお聞かせいただきたい。
さて、奥山氏によると、デザインの出発点は、顕在化した需要である「ニーズ」ではなく、まだ潜在的な需要である「ウォンツ」を掘り起こすことです。ハイジアについて言えば、ハイジアがどうあって欲しいと思うかということです。4月21日の臨時議会で、こう発言しました。「経済危機はまだ始まったばかり、まだ先月働いた分の金は入ってくるし蓄えもある。この状態がいつまで続いてどうなるか。最終的なセーフティネットを用意することが、市としてすべき役割として重要になると思う。いよいよ食べるにも事欠くようになった時「市が助けてくれる」、そういうものを用意しておく必要がある。そのことを思えば、市が処分しようとしているハイジアパークは貴重な施設に思える」と申し上げました。ハイジアのこれからを考えた時の私の「ウォンツ」はそこにあります。その後、それは「子ども食堂」を大人にまで拡大したイメージになっています。
先日、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用事例集」をいただきました。この段階ではこの額はまだ1兆円、南陽市には1億4000万円の交付が見込まれるとのことでした。その後2兆円が上乗せの方向ともお聞きします。私が考えたのは、この金をフルに活用して、ハイジアを南陽市におけるセーフティネットの一大拠点として構築することはできないかということです。
これまでハイジアを苦しめてきたのは「採算性」という足かせです。「採算性」のくびきから解放された時、ハイジアの可能性は一挙に広がります。株式会社をやめてNPOにすればいいのです。そして、市民にとってかけがえのない財産であるハイジアパークを、市民にとってほんとうに「こうあって欲しい」ハイジアパークにするのです。
あるいはここで、奥山氏の構想とはずれるかもしれません。『ビジネスの武器としての「デザイン」』という本の名の通り、奥山氏の構想はあくまでビジネスとしての構想であり、おそらく観光資源としての構想だと考えられます。そこで次の課題、奥山氏が重視されるのが「議論すること」です。デザインを形にしてゆく上で大事なのが「議論力」です。これまでハイジアをめぐってどれだけ本気の議論が展開されてきたか。ハイジアについては、市長の問題提起のおかげで、町中いろんな意見が飛び交っています。これからの世の中はどうなるのか、だれも見通せない中、南陽のこれからを考える上で、多くの市民が関心を持つハイジアは格好の材料です。議論することでそこから新しいものが生まれてきます。ハイジアに奥田氏が目をつけてくださったことは実にありがたいことです。奥山氏は、シェルター南陽を見られて「ここで講演したい」と語られたそうですが、奥山氏の一方的な講演会ではなく、奥山氏を招いての一大シンポジウムを開催してはどうかと提案します。何もないところに新たに作るのではありません。南陽市にとって素晴らしい場所にある41億もかけてつくったものを、これからの南陽市のためにどう生かすか。こんなに楽しい議論はありません。そこに世界的デザイナー奥山清行氏が参入してくれることを考えると、鳥肌立つほどゾクゾクしてきます。ワクワクできるような答弁を期待し、壇上からの質問といたします。
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