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森元総理をどう見るか [現状把握]

裏金問題で”悪の総元締め”的扱いを受けている森喜朗元総理。捜査の手がそこまで届くかどうかが大きな関心事のようだ。《「森さんは『お山の大将』じゃないと気が済まないタイプ。安倍さんがいなくなって事実上の派閥ボスですから、みな従わざるを得なかったでしょう。執念深いので敵に回したら大変ですし、逆に任せておけば人事のポストなど『よしなにしてやる』という空気だったのではないか。かつて清和会に所属していた議員から、『森さんは集金力拡大にとりわけ熱心だった』と聞きました」》http://www.asyura2.com/23/senkyo292/msg/863.html

しかし、先に「安倍派潰しの真相https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2023-12-29」の記事で、ウクライナ支援への政策変更(6500億円拠出)のために、プーチンと良好関係にある森元総理をはじめとする安倍派勢力排除が必要だったという、山口敬之氏の論をとりあげた。今朝のQuoraダイジェストに、その議論を補強する、なるほどと思える森喜朗元総理論が出た。2014年クリミア危機に際し、日本のアメリカ及びEUとの協調的(同調的)対ロ経済制裁の時は総理や閣僚はもちろん、高級官僚なども一切伴わずモスクワに渡航して直接プーチンに事情を説明、事なきを得ています。経済制裁してきた国の人間とプーチンは笑って会談に応じてくれたんですね。・・・まず第一は日本のロシアへの窓口が塞がれないようにしていると考えるのが妥当でしょう。プーチンは猜疑心の強い人物のように見えますがそんな人物からも森氏は信頼されている。信頼とは好き・嫌いの彼岸にある感情でこれが無いと話も出来ないし、話が出来たとしてもその言を信用しては貰えません。・・・

そして「ロシアとウクライナ、どっちが悪でどっちが善だ、どっちが勝つとか負けるといった問題ではないぞ 。ウクライナの戦争がどんな結果になって世界がどう変わろうとも、その後の日本と日本国民が困窮せず苦しまない為に何が出来るか、何をするべきなのかをもう一度能く考えておけ」と警告しているのです。/政治家の本分は例えいっとき有権者に批判され、嫌われたとしても自分が禄を食んだ国家の平和と国民の安寧を実現しこれを守ること。/彼は自分の役どころを”わきまえている”のです。》

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私の知る限り、彼自身が権力を志向したり獲得しようとエゴをむき出しにした過去はありません。

総理大臣就任も小渕さんが急死した後の代理政権(短命が宿命)の首班だったので自民党内では誰もやりたがらなかったところを仕方なく・でしたし、東京オリンピックの大会組織委員会長職にしても何度も断ったけれどもどうしてもやって欲しいと周りから詰められて「無報酬」を条件に引き受けたという経緯があります。

(※無報酬でなければ会長職を引き受けなかったことに関して、多くの人が森さんのボランティア精神に依るものだと考えられるかもしれませんが実際はそのような美しい理由では無いと考えています。無報酬で無ければ会長職なんてとても出来ない、あるいは無報酬であることがその職責を全うするに最適だ・ということを森さんは着任する前から解っていたのでしょう。高額の報酬を貰っている人間に頼まれて素直にハイと言えない人でも1円も貰わずに癌を患った老体にムチ打って訪ねてきた森さんから「どうか今回はこの森の顔に免じて」と言われて断れる人はそうそういないですから。)

(※ちなみに後任の会長にはちゃんと報酬が出ています)

大量の企業や組織、人の欲が数百億、数千億円という金額をかけてコンフリクトする巨大な渦中のようなオリンピック開催事業をまとめ上げることのなんと困難で恐ろしいことか。

おそらく森氏はいかなる相手も決してないがしろにしない人なのでしょう。利害が衝突した際に彼の進言を受け入れて折れてくれた人、妥協してくれた組織、引いてくれた企業などには後日必ず他のことで余りあるフォローをすることを決して欠かさず、我を通したところは別の案件で妥協あるいは諦めさせる等など、納得して貰えるだけの”徳”があるのです。

自分の権力欲の為だったり自己栄達や自己顕示欲の為に動いて最後は逃げてしまったり約束を反故にするような相手の言うことを誰が聞くでしょうか。相手を納得させられるだけの配慮が出来て、約束を守る、信頼に足る人物で無ければとてもあのような大事業は成し得ません。

今の彼が権力を持っているとはとても思えませんがもし、そう見えたのだとしたら周りが彼に権力を持たせているのでしょう。

そしてウクライナとロシアのことで森氏がああいった発言をしているのもロシアと彼がここ20年以上少なからざる交渉と調整を続けてきた経緯があるからです。

森氏は総理を辞任し平議員になった後、2011年に政治基盤を引き継ぐかもしれなかったご子息の長男を交通事故で失われると2012年に国会議員の椅子も後進に譲って代議士に戻らず、政治家としては第一線からあっさり退いてしまいました。選挙に出れば必ず当選する盤石の地盤があったにも関わらず・です。

小泉純一郎が自民党内に定年制を導入して引導を渡し、ムリムリ引退させるまで国会議員の椅子にしがみついたかつての中曽根元総理や宮沢元総理、

政界実力者の「引退劇」
【読売新聞】編集委員 吉田清久 どんな実力者でも政治の表舞台から退場する時が来る。思い起こすのは、野中広務・元自民党幹事長の引退劇だ。 2003年9月の自民党総裁選。再選を目指す小泉純一郎首相に対し、野中は反小泉陣営の頭目として挑ん

選挙の時に党内の金と人を割り振る絶大な権限(幹事長職)を手に入れてそれを長期間手放さず、周りが自分に傅(かしず)く万能感・優越感に酔いしれている権力者達とは違うということです。

二階幹事長、なぜこれほど強大な力を持つに至ったか 角栄超えた在職日数、その出世と実力と「GNP」 | JBpress(Japan Business Press)
経営者層やマネジメント層など、日本の未来を創るビジネスリーダーのための総合メディア。国際情勢、最新ビジネス動向、イノベーションなどに関する深く本質的な論考を毎日更新。自民党の二階俊博幹事長の在職日数が歴代最長になった。二階氏はこの点で政治の師匠である田中角栄を抜いた。安倍首相の辞任表明によって突如始まった党の次期総裁レースで、「菅氏優勢」の流れを作ったのも二階氏だった。気が付けば政界きっての実力者にのし上がった二階氏。その力の源泉とは--。(1/4)
コトバJapan! - 都議会のドン・内田茂 -
小池百合子新都知事が誕生した。初の女性都知事だが、石原慎太郎元都知事が“厚化粧”と失礼な表現をしたが、清新というよ

ところが無職になっても周囲は相変わらず彼に頼み事をし続ける。さらに民主党から再度自民党政権になった後の第2次安倍内閣発足以来、総理や閣僚が表立って動けない外交特使としての役割を担うことが多くなりました。

2年前の台湾元総統、李登輝氏死去に伴う葬儀にも現職総理や閣僚ではなく森氏が弔問団筆頭として訪台し、現総統である蔡英文氏と会談しています。(対中強硬派で親日だった李登輝氏の葬儀に現職が行くと差し支えがあるのでその代理)

李登輝氏死去 日華懇が弔問団を台湾に派遣へ 団長に森喜朗元首相 コロナ対策徹底
 台湾の李登輝元総統の死去を受け、超党派議員連盟「日華議員懇談会」(日華懇)の会長を務める自民党の古屋圭司元国家公安委員長らが7日、国会内で記者会見を開き、弔…

特にロシア…ありていに言えばプーチンとの交渉あるいはメッセンジャーとしては唯一の窓口となっていました。

日本はアメリカとの同盟関係がある以上、表立ってロシアと共同で動いたり協調したりすることは出来ない。ずっと日本の現職総理の代わりに何度も密命?を帯びてロシアと交渉を重ね、人間関係を作ってきたのです。

プーチン大統領が北方領土問題の進展に意欲、森氏との会談で
[モスクワ 21日 ロイター] 安倍晋三首相の特使としてロシアを訪問した森喜朗元首相は21日、モスクワのクレムリン(大統領府)でプーチン大統領と会談した。

2014年クリミア危機に際し、日本のアメリカ及びEUとの協調的(同調的)対ロ経済制裁の時は総理や閣僚はもちろん、高級官僚なども一切伴わずモスクワに渡航して直接プーチンに事情を説明、事なきを得ています。経済制裁してきた国の人間とプーチンは笑って会談に応じてくれたんですね。

日ロ対話継続で一致 森元首相、プーチン氏と会談 - 日本経済新聞
【モスクワ=石川陽平】ロシアを訪問した森喜朗元首相は10日夜、モスクワのクレムリン(大統領府)でプーチン大統領と会談し、日ロ間の対話を継続することが重要だとの認識で一致した。安倍晋三首相の親書を渡し、ウクライナ問題などについて意見を交換した。森氏は会談内容について、記者団に「安倍首相とプーチン大統領の関係は(開会式に合わせて首脳会談を開いた)2月のソチ冬季五輪まで良好だった」と述べたと説明。「

今度のロシア関係の発言もあれをそのまま受け取っては稚拙に過ぎる。

小泉郵政解散の時の彼のチーズを使った腹芸を知っていればわかることです。

「干からびたチーズ」という政治的言語 - アンカテ
郵政法案:週末の攻防 緊迫のドキュメント 森氏は、待ち受けた記者団に「はっきり言ってさじ投げたな、おれも」と怒りをぶちまけ、公邸で外国産の缶ビールと干からびたチーズとサーモンしか出なかったことまでいまいましそうに説明した。左手に握りつぶしたビールとウーロン茶の空き缶、右手にはチーズがあった。この干からびたチーズって実は高級品だったそうですが、小泉-森会談がうまく行ってたら、森さんもこのチーズと缶ビールは報道陣に見せなかったでしょう。この「干からびたチーズ」は、政治的言語だと思います。森さんは、たまたま手元にあったチーズを使って、「小泉さんは本気だよ」というメッセージを出したのです。手元にある材…

「おれに対して、こんな対応だよ」

⇒自民で先輩の俺にもこんな態度だ。常識は通用しない。

「まあ、さじ投げたな。オレも」

⇒もう誰にも小泉を止められないぞ。

「干からびたチーズ、噛むんだけど固くて噛めないんだよ」

⇒小泉の決心は硬い。あの意思を崩すことは絶対に出来ない。

「小泉にいつまでもこだわっててもいかんなという気持ちにも、まぁ、なりかねないな」

⇒反対派は怨恨を捨てて党と自分自身のことを考えろ。

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ロシアに聞こえるようにああいった発言をすることの意味。

まず第一は日本のロシアへの窓口が塞がれないようにしていると考えるのが妥当でしょう。プーチンは猜疑心の強い人物のように見えますがそんな人物からも森氏は信頼されている。信頼とは好き・嫌いの彼岸にある感情でこれが無いと話も出来ないし、話が出来たとしてもその言を信用しては貰えません。

森・プーチン 日ロをつなぐ義理人情 - 日本経済新聞
北方領土問題を巡りロシアの強硬派は米軍が島に基地を建設する懸念を反対理由に持ち出す。実はイルクーツク声明を出した2001年からプーチン大統領が言及していた。それでも交渉が続いた背景にはプーチン氏が森喜朗元首相に抱く「義理と人情」がある。イルクーツク声明は01年3月25日、プーチン氏と森氏が極東のイルクーツクで署名した。「平和条約締結後に日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す」とした1956年の日ソ共

そして「ロシアとウクライナ、どっちが悪でどっちが善だ、どっちが勝つとか負けるといった問題ではないぞ 。ウクライナの戦争がどんな結果になって世界がどう変わろうとも、その後の日本と日本国民が困窮せず苦しまない為に何が出来るか、何をするべきなのかをもう一度能く考えておけ」と警告しているのです。

政治家の本分は例えいっとき有権者に批判され、嫌われたとしても自分が禄を食んだ国家の平和と国民の安寧を実現しこれを守ること。

彼は自分の役どころを”わきまえている”のです。


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