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新・mespesadoさん講義(31)「評価脳」からの解放こそ [mespesado理論]

mespesadoさんが「超優良記事」というサンデル教授のインタビュー記事を読んでメモしたところです。

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◆無意識に労働者を「見下している」
エリートに対して怒りや恨みを持っている労働者が働くうえで何を大切にしているか
リベラルを標榜する知人何人かにこの話をしましたが、彼らはリベラルが意図せず労働者を見下している可能性がある、という事実を受け入れようとしませんでした。
◆レースは本当に「平等」なのか
能力主義の問題は何なのか。それは、成功者における謙虚さの欠如、つまり、人生における幸運や、親や教師、コミュニティ、国といった成功を可能にしてくれた人やものがあるということに対する理解の欠如です。
そもそも能力主義の問題は、社会の中に「勝者」と「敗者」を作ってしまうことです。
◆対話をしないと分断はもっと進む
社会的・政治的レベルでは、コミュニティセンターなど、違うバックグラウンドや異なる人生を歩んできた人たちを集める場所
◆トランプ支持者とアンチが4時間語り合った
自分の意見の殻を破って、自分とは違う人と意見を交換する時間を作ることが必要
能力主義による競争を助長するのではなく、仕事の尊厳を取り戻すこと
◆コロナが変わるきっかけになるかもしれない
私たちは自分の能力やスキルが向上することで満足感を得ます。その能力を生かして、自分の家族だけでなく、社会全体に貢献できるということは喜びなのです。
共通善への貢献度がお金で測られるのではなく、生活のために真面目に働き、社会の発展に貢献できることが尊重される社会
◆社会への貢献度は1つの指標で測るべきではない
家族を作って子供を育てることの充実感は、お金では図れません。社会、家族、そして個人にとって何が重要かを測ることができる数字などない
◆公の場での議論や対話が必要だ
公の場でいい社会やいい生活・人生とは何なのかを議論し、対話すること

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mespesadoさんはこのレベルからさらに踏み込んで問題の本質に迫ります。要するに何らかの基準で「評価」をする行為自体に問題の根幹がある》ということです。このことに関連する議論を「移ろうままに2」から拾い上げてみました。

・新・mespesadoさん講義(2)「評価意識」からの解放
https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2020-11-11
・mespesadoさん講義(108)金言! 
https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2020-08-10
・「評価意識」からの解放
https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2020-06-14
・mespesadoさん講義(73)〈対自性〉から〈即自性〉へ
https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2020-06-13

〈対自性〉から〈即自性〉へ」とありますが、そもそも「評価意識」は、〈対自存在〉としての人間の〈業(ごう)〉なのではないか。としたら、ここから解放されることは果たして可能なのかどうか。根源的課題です。

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223 名前:mespesado 2021/04/16 (Fri) 06:07:54
サンデル教授が語る「大卒による無意識の差別」
「努力すれば成功できる」という発想の問題点
https://toyokeizai.net/articles/-/422935?display=b

「能力主義」の何が問題なのかを指摘する超優良記事。
 国家運営を牛耳るエリート連中がBIなどの積極財政に否定的なのも、すべてこれが原因と言っても過言ではない。
 それどころか、仮にスピ系の人が理想とする「貨幣が必要なくなった世界」が訪れても、この「能力主義」が蔓延している限り、人々、特にエリート連中は、貨幣に変わる、別の指標を見つけ出して、その指標「主義」を振りかざして自分たちの特権を維持しようと「無意識に」画策し続けるに違いない。


224 名前:mespesado 2021/04/16 (Fri) 06:27:50
>>223
「東大生を見世物にしてあざ笑う」TV局の軽率
コミュ障、変人、アスペいじりはもう要らない
https://toyokeizai.net/articles/-/376471

↑これなんか、指標が「貨幣」のかわりに「学歴」に置き換わった場合の非エリート側からの屈折した心が引き起こす問題点に他ならない。
 つまり、いずれにせよ「幸福度や人生の意義を一つの指標によって評価する」行為、いや、もっと言えば、仮に「指標」を作らなくたって、何らかの基準で「評価」をする行為自体に問題の根幹があることを理解しないと、真の問題解決には至らないだろう。

225 名前:mespesado 2021/04/16 (Fri) 07:39:04
努力できる脳・できない脳があるって話
https://twitter.com/i/events/1382518643095789568
> 結論として
> 「努力できる人」は
> 何かを行うことで生じる
> 報酬や成果を感じる
> 脳の機能が高く
> 加えて
> 損得を冷静に
> 計算する機能が
> 鈍い人

> 「努力できない人」は
> 何かを行うことで生じる
> 報酬や成果を感じる
> 脳の機能が弱く
> 損得を冷静に
> 計算する人

↑だそうで、その結果、↓
> 努力できるか
> できないかは
> 脳の機能の違いであり
> たとえ努力することが
> 苦手でも
> ダメ人間ではない

> そもそも
> 努力が全てではなく
> 成果はいろいろな要素で
> 生み出されるものなの

> それは
> 自分の脳を
> 騙すこと

↑東大合格請負マンガ『ドラゴン桜2』の宣伝サイトより、同漫画のセリフの抜粋。そしてその総括↓
> 努力できない脳=成果が出ない人、では全くありません。東大生作家・西
> 岡さんによると「東大生の半分程度が努力できない脳の持ち主」ですが、
> 彼らは最低限の努力で最大の成果を出す工夫をしているそうです。大事
> なのは自分を知ること。そして自分にあった工夫をすることです。

 「努力できるかできないかは、生まれつきの脳の仕組みの違いによるものなんだから、自分が思うように勉強できないことをすべて自分の努力不足のせいだと思って落ち込むことなんかないんだよ。逆に脳の仕組みであることを利用して、自分の脳を洗脳すれば、努力できない脳の人でも成功できるんだよ」と言っているように見える。
 だ・か・ら!
 ことの本質はそこじゃぁないってwww
 成功するとかしないとかに拘っていること自体が自分を苦しめているんだって。自分の大切な脳を自分で騙してどうするよ。そんなことしたって、自分の潜在意識ではバレてるってwwww
 逆に、無意識に自分に煙幕を張って蓋をしていることに気付いて、自分の心の蓋を開けて自分の本質を素直に受け入れることの方が大事じゃないのかね。すべては「指標」を作ってその「評価」に支配されていることによる弊害にしか思えない。それに気づかせるどころか、脳科学(といっても一学説に過ぎない)まで動員してこの価値観を正当化しているけれど、それは、この価値観をあくまでも維持するという前提でものを考え、それを人にも勧めているということ。「評価」に支配されて「成功することに拘っている」ことにこそ、問題の本質がある、というところまで到達していない。

226 名前:mespesado 2021/04/16 (Fri) 08:21:18
>>225
 なんか、色々なサイトを読むと、すべて繋がっているような気がしてならない。またかよと言われるかもしれないが、三橋さんの最新エントリー↓
性風俗業であっても救わなければならない
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12668827283.html
>  新自由主義、グローバリズムという「イズム」に基づき、構造改革が
> された社会で生きる者は、勝ち組と負け組に分かれる。

>  その上で、一部の勝ち組が負け組に対し、
> 「俺は努力したおかげで、ここまで登ったんだ。下にいる奴らは、努力
> が足りなかったんだから、自己責任だろ」
>  と、自己責任論を振りかざす。

>  最後には、「政治」の世界までも自己責任論が蔓延し、本来は「全て
> の国民を救う」ことが政府の役割であるにも関わらず、
> 「国は借金まみれで、そんなカネはない」
>  ということで、自助や共助を押し付ける。
 【中略】
>  そして、日本において「成功」したとしたら、それは偶々、
> 「貴方が、運よく、日本で生まれたから、今の貴方があるんだよ」
>  というだけの話であって、個々人の能力や努力にそんなに差が生じる
> はずがないでしょ。

 完全にご尤も。「努力」という「指標」で「評価」することそのものが要らない。
 そして、後半に今回の見出しである、給付金の「対象外」とされた性風俗業者が国などを訴えた裁判において、「性風俗」を「本質的に不健全」とレッテルを張った国側の主張に対する批判が述べられ、最後に
>  性風俗業者だろうが何だろうが、国家は全ての国民を守り、救わなけ
> ればならないんだよ!

という「叫び」で記事を締めくくっています。
 でも、この結びにも違和感があります。
 確かに「性風俗」を勝手に「不健全」とレッテルを張り、「健全」と「不健全」の2者対立に持ち込もうとする国の主張は浅ましいものがあります。でも、「性産業」だからといって「差別」せず、すべての国民を守り、救わ「なければならない」という考え方は、イデオロジカルです。
 いやね、確かに政治の結果としてすべての国民が守られ、救われることが理想ですが、評論家としては、イデオロギーに持ち込むのは得策でない。そもそも「健全」と「不健全」で分断する議論についつい乗ってしまう人間の意識の性(さが)が問題なんであって、自分がついつい二分論に乗ってしまっているということに皆が気付けば、こんなポリコレみたいな「べき論」に訴えるまでもなく、問題は解決するんじゃないでしょうかね。


229:mespesado :2021/04/17 (Sat) 09:38:14
>>226
給付金除外のデリヘル 国「性風俗は不健全」 賠償請求棄却求める
https://mainichi.jp/articles/20210415/k00/00m/040/279000c
↑案の定、この件に対して、同じポリコレ的発想でありながら、正反対の意見のやりとりがあった↓
済州島みかん@99mina_jeju
> この判決には批判的な意見が多いみたいだけど、個人的には評価したい
> な。

> 性風俗店を国庫で支援する=国が性風俗業を正業だと認めることになっ
> てしまうから、正業と認めるのなら失業者の女性がハローワークで性風
> 俗業を紹介されることも甘受しなければならなくなるよね。
 ↓ ↓ ↓
フリオ・クルス@ケケ中平蔵から国民を守る会@juliocruz_noVAT
> 済州島みかんさんはいつも鋭い論調で大いに参考にしているが、すでに
> その業種で生計を立てている人を支援することと、新規に参入すること
> を公的に斡旋することでは全く次元が違うので、このツイートについて
> は全く賛同できない。

 いつもは反緊縮で正論を述べ続けるフリオ・クルスさんだけど、そんなことを主張できるとすると、極端な話、やくざ屋さんにも減収を国庫保証しなければならなくなるけど、それはどう考えるのですかね。そこまで極端でなくても、借金の取り立て屋やマルチまがいの産業のような、社会的に存在意義が賛否両論ある職業はすべて同じ問題が発生してしまう。
 それに、そもそも生計を立ててることと新規参入かという視点を追加導入することで、元の性産業か否かの分断問題を回避したつもりかもしれないが、今度は在来従業か新規参入かという分断問題が新たに発生してしまっている。
 要はポリコレに囚われる限り、問題の箇所が移動するだけで、根本の解決にはならない。
 そして、三橋さんやフリオさんなどのように、今回の国の主張を批判する人は、どこかで風俗店を「利用する男性」の側の視点に立っていて、対する済州島みかんさんは、風俗店で「働かざるを得ない女性」の側の視点に立っているように感じるのは気のせいですかね。
 つまり、ポリコレの最大の弱点である、無自覚に自分の「感情」に支配されたうえで「論理」で考えから、ベースとなる「原点」が自分の感情によって実は規定されてしまっていることに気付かずに、いかにも論理的で客観的な議論をしたつもりが、なぜか正反対の結論が得られてしまう、という典型的な例だろう。
 これこそ、一般論で反緊縮界隈がよく主張するように、「条件を付けずに一律給付しろ」で済む話だ。「性風俗産業」という個別の事業に目を向けるからポリコレ同士の論争になるのであって、論点をそこに持ち込むのは財務省などの緊縮権力者の術にまんまと嵌っているとしか思えない。

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