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新・mespesadoさん講義(29)ベーシックインカムへの道筋 [mespesado理論]

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↑ 今朝の眺陽桜です(北から/東から/南から)。満開まであと一息。

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「ベーシックインカム(BI)の実現は社会保障制度全廃と一体だから反対」というのは、BIを「ゼニカネ感覚」でしか考えられない人の言い草です。BIのいちばんの眼目は、「ゼニカネ感覚から解放される」ということにあります。そのことで、仕事の第一義は「人に役立つこと」になり、人間関係の第一義は「人との共感」になるのです。→「mespesadoさん講義(69)「究極の本質」を理解した社会」https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2020-06-04

mespesadoさんの今回の議論は、「屈折した心情(ルサンチマン)」からの解放と、「貨幣についての正しい理解」によってBIへの道筋は開けてくる、というものです。よくわかります。

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218 名前:mespesado 2021/04/14 (Wed) 08:49:21
『前進』という、昔ながらの「資本家対労働者」の対立のもとでの「労働者」の立場を未だに貫くサヨク雑誌がある。その「用語辞典」より↓
知る・考える 用語解説
ベーシックインカム-「所得保障」のペテンで社会保障解体
http://www.zenshin.org/zh/f-kiji/2019/05/f30390206.html
>  「全ての個人に雇用や収入とは関係なく無条件で一律に決められた最
> 低所得を給付する」という制度。それと引き換えに「最低所得が給付さ
> れるのだから」として、これまでの長い闘いの歴史の中でかちとられて
> きた社会保障制度は一掃され、生活保護、失業手当、基礎年金、児童手
> 当、障害年金などは全廃。資本に義務付けられていた最低賃金制度や解
> 雇規制などの労働者保護法制も廃止される。
>  給付される金額はごくわずかであり、今の生活保護の水準にも満たな
> い。日本で現行の社会保障費の全額を充てた場合、1人あたり毎月6~
> 7万円になるという試算が出ている。2017~18年にフィンランド政
> 府の行った実験でも支払われた額は7万円程度だった。そのわずかばか
> りの金を使いきれば、病気になろうと失業しようと「自己責任」として
> 切り捨てられることになる。
>  実験的に導入したフィンランドやカナダ・モンタリオ州は財政負担が
> 大きいとして早々と打ち切った。日本で18歳以上に月10万円、17歳以下
> に半額を給付する場合には消費税率を49%に上げる必要があるとする試
> 算もある。
>  新自由主義の危機が財政破綻(はたん)と貧困を深刻化させる中で、
> これへの幻想をあおり、公約に掲げる政党も出てきた。しかしあくまで
> 資本主義のもとでの労働者からの搾取・収奪を前提にした制度であり、
> まやかしでしかない。むしろ労働者使い捨てと大増税のための道具とな
> る。

↑まさに竹中式BIの説明そのものであり、初めてBIという言葉をこのページで知った人は、そりゃベーシックインカム反対論者になるだろうな、という内容。
 別にBIを払う見返りに現行の社会保障や年金を廃止する必要があるかというと、別にそんな必要は無い。
 それなのに、こういう論者はなぜBIを社会保障の廃止とセットにして考えるのか?給付に財源が必要だという「誤った貨幣観」が原因なのか?
 もちろん表層的にはそうであるかもしれないが、根っこは別にあると思う。彼らは「貨幣は人工的な約束事に過ぎず、経済の発展度合いに会った貨幣を国は刷って増やさなければならないし、実際に増やすことができる」という正しい貨幣観をいくらこちらが説明しても、訊く耳を持たないであろう。 
 なぜなら、彼らにとっては、根っこに「働かざる者食うべからず」という思想があり、この思想の下では、「働かなくても」収入を保証するBIの存在そのものが忌まわしいものだからだ。
 資本家対労働者。資本家にとっては、一見すると、三橋さんの言うように、BIが支給されたら「ラッキー!BI分だけ給料を下げることができるぞ」とBIに賛成すると思うかもしれないが、一方で、強欲な資本家なら、逆に労働者をブラックな環境で低賃金で働かせようと思っているのに、BIなんぞ支給されたらブラックな企業にあえて就業したいという人はいなくなるからそんな制度はやめてくれとなる。どちらの力学がより本質的に働くのか?
 そもそも経営者が今のようにドケチになって給料を下げたいという方向になびくようになった最大の理由は、右肩上がりの経済が終焉し、売上を増やすことができなくなったので、それでも企業の宿命として利益を上げなければならず、そのためにはコストの方をカットして利益を出すしかなく、しかも最大のコスト要因が人件費だからである。そして、売り上げが伸びない最大の原因は、もちろん生活必需家電の普及による需要減もあるが、諸外国のGDP増加率と比べて日本が一人だけGDP増加率がゼロであることや、給与水準に至っては、増加どころか減少しているというオバカな現象が生じている最大の原因は、「貨幣が足りなくて、モノが買いたい消費者がオカネを持っていない」からだろう。そして、それは誤った貨幣観によるPB黒字化という誤った政策が原因である。実際、このPB黒字化目標を捨てて、社会保障は現状を維持したままで、貨幣を刷ってBIを支給すれば、消費者は買いたいものが買えるようになり、企業も売り上げが伸びるから、もしセコい経営者がBI分だけ給料を下げようとしても、逆に思慮深い経営者なら、そんなセコい給料引き下げなどをしませんよ、と宣言すれば、良質な労働者はみなそっちに就業するのでかえって有利になり、その結果、セコケチなブラック企業は淘汰されるようになる。つまり、冷静に考えれば資本家にとっても(竹中式のような社会保障の廃止とバーターでない)BIはメリットになるはずなのだ。
 しかし、仮にそんな強欲な資本家でなくても、彼らのような「社会的成功者」というものは、「努力して今の地位を築いた」という意識が強いので、「楽して生活できる」ようなBIのような制度に対する生理的な反感を持つ者は相変わらず多いだろう。
 さて、対する労働者の方。普通はタダでカネを貰えることで困る人はいないはずなのに、実際は、最初に上げたマルクス主義バリバリの左派連中はBIに反対する。それは、最初に説明したように、彼らも資本家と同様に「働かざる者食うべからず」という思想を持っているからだ。ただし、彼らにとって、「働かざる者」とは、「怠けもの」の意味ではなく貴族や資本家のことである(働かざる者食うべからずという格言の本来の意味はこっちだった)。つまり、彼らの思想の根っこは「ルサンチマン」。つまり、金持ちが羨ましくて仕方が無いのだ。自分が得することよりも、カネ持ってる連中を引きずりおろしたいという意識の方が勝つからだ。
 そういうわけで、日本では特にそうだが、「資本家」の「自分の辛かった苦労を正当化したい心」と「労働者」の「羨ましい金持ちを引きずりおろしたい心」で、左右どちらもがBIに、ひいては積極財政に、ひいては正しい貨幣観の受容に反対しているのだ。昨今「民主主義」に対する批判をよく目にするようになったが、そのきっかけは実はここにある。金持ちから貧乏人まで、国民全員が、単に「屈折した心情」に支配され、「合理的な考え」によらないでBIなどの積極財政策に反対している以上、「国民が主権者」である民主主義体制のもとでは「正しい政策」が実施されることは期待できない、という境地に至るのは当然の成り行きではないか。から、正しい貨幣観による国民経済の正常化までの道のりは前途遼遠であると言わざるを得ない。 

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