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mespesadoさん講義(150)「地銀再編」の意義 [mespesado理論]

①菅首相とアトキンソン氏の関わりをどう考えればいいか。氏の「中小企業論」は至極真っ当。ただし、貨幣の理解が家計簿脳》。したがって菅さんが貨幣についてどこまで理解し、またアトキンソンに従うのはよいが、この貨幣論の間違いに対してどう対応していくのか。そこは注目のポイント》

②「地銀再編」の目的は、銀行の業務を「企業支援」に向けることであり、そのことによって経済の活性化を図ることである。今まさにそれが求められている。《反緊縮の正しさが「バレ」る前の今こそ、困窮化した企業の「中身を」立て直すことに「新しい地銀」が知恵を絞って活躍し、中小企業が「底力」を付けるように体質改善し、しかる後に、貨幣の正しい理解が普及する方が、生産者・消費者共にWin-Winの関係になるんじゃないか》

③「地銀再編」→銀行の役割として「企業支援」重視→基準緩和や弁済猶予期間延長の程度を金融庁が指導》→企業への貸付増加→信用創造によってマネーストックが増える》→地銀の通貨発行権拡大→地方にオカネが増える→東京一極集中緩和→デフレ解消→「地銀再編」策は大成功》

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930 名前:mespesado 2020/10/01 (Thu) 07:01:37
生産性を上げるために日本は何をなすべきか──デービッド・アトキンソン
(小西美術工藝社社長)【佐藤優の頂上対決】
https://news.yahoo.co.jp/articles/15f3849d37c7e737650713f39c66905c045dc98d?page=1

↑菅さんが師と仰ぐ(?)アトキンソン氏のインタビュー記事。
 三橋さんらによってボロクソに言われるアトキンソン氏ですが、意外にも、言っていることは、後半の3~4頁の部分に関する限り、すべて真っ当です。
 ただし、2ページ目で、日本の「高度成長」が中小企業の技術力のたまものだとする俗説に対し、アトキンソン氏が「そうではなく、人口ボーナスのおかげだ」と主張しているのは間違いですね。人口が増えたから成長したのではなく、逆です。成長したから人口が増えたのです。これは現在の少子化を考えれば明らか。高度成長の真の原因は、私が何度も指摘しているように、生活必需家電が普及途上だったからに他なりません。ただし、日本の技術力それ自体は「高度成長」の直接原因ではなくても、経済に大きな影響を与えたのは確かであり、それは「貿易黒字」の原因にはなっています。なぜなら工業力が強ければ、品質面で輸入品より国産品の方が売れ、輸出超過になるからです。
 それから、同じ2頁の最後の

> アトキンソン 日本もフォローの風が吹いている時はいい。でもアゲイ
> ンストになると、いまの社会を維持することができません。人口減が急
> 速に進む一方、長寿社会になりますから、いまの状態のまま、年金をも
> らい、医療を安く済ませ、社会インフラもきちんと整えてもらうことは
> 無理です。維持するには生産性を上げる必要があります。

というところは明確に誤りです。これは貨幣の理解が家計簿脳で完全に間違っており、そこは三橋さんの言うとおりです。
 菅さんが貨幣についてどこまで理解し、またアトキンソンに従うのはよいが、この貨幣論の間違いに対してどう対応していくのか。そこは注目のポイントだと思います。

931 名前:mespesado 2020/10/01 (Thu) 07:20:52
銀行業界はまだ知らない…? 菅首相が「地銀再編」に動き出した「本当の狙い」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75893

↑これは鋭い考察です!

 私は、菅さんの中小企業の再編と地銀の再編を同じレベルの「再編」話くらいにしか捉えていなかったのですが、この記事の筆者の橋本さんによれば、

> そもそも何のために地銀再編を進めるのか。「地銀の経営体力を強化す
> るため」ではない。これもまた目的を達成するための手段に過ぎない。

真の目的は、コロナ禍で産業構造の転換という未曽有の事態に挑まなけ
> ればならない企業を支援し、経済の活性化に貢献することだ。氷見野良
> 三長官率いる金融庁が8月末に公表した金融行政方針に明示されている。

> だからこそ金融庁は、再編で「経営体力をつけて終わり」では許されな
> い。企業支援の実効性まで目を光らせなければならない。

> 地域が疲弊し、大きくなった銀行だけが生き残る「国破れて銀行あり」
> などというふざけた話は国民の誰もが望まない。本丸は企業支援だ。手
> 段に目がくらむと、ろくなことにはならない。

↑「本丸は企業支援」!思わずうなりましたよ。「そうか!その手があったか!」という感想です。この記事の前半にもあるように、生活必需品が普及し尽くし、高度成長のような設備投資が要らなくなったことに加えて企業も内部留保を貯め込み、企業貸し付けという最大の業務が不要になり、地銀どころか、銀行業務そのもの、いや金融機関自体の存在意義すら無くなっていく中で、地銀は一体何を本業務にしていったらよいのか。それに対する答が「企業支援」だ、と。これは今までのような左うちわな仕事ではないが、世の中に必要とされるのはむしろこちらの方。しかも肝心なことは、世の中で貨幣の正しい仕組みが常識になってカネが当然のようにバラ撒かれるような風潮になってからでは、この「企業支援」という業務は成り立たない。「儲からないなら国からカネを貰えばいいさ」なんて企業が考え出したら、安きに流れ、今度こそ日本の貴重な供給力が毀損してしまう。だからこそ、反緊縮の正しさが「バレ」る前の今こそ、困窮化した企業の「中身を」立て直すことに「新しい地銀」が知恵を絞って活躍し、中小企業が「底力」を付けるように体質改善し、しかる後に、貨幣の正しい理解が普及する方が、生産者・消費者共にWin-Winの関係になるんじゃないか。そんな気がします。

932 名前:ひとことじーさん 2020/10/01 (Thu) 18:44:53
>>931:mespesado 様
「地銀再編」について、私の「やぶにらみ」を少々述べさせてください。
前提は、やる気のある「地方企業」が存在しているとしてです。
地銀の問題点は、①投資的融資のスキルが無いことと、
②投資的融資を実行するには「バーゼル規制」をクリアーする「自己資本比率」の向上が困難であること、
に尽きるように思います。
金融庁が掲げる「コロナ禍で産業構造の転換という未曽有の事態に挑まなければならない企業を支援」する。
このことは大いに賛同しますが、上記2点の問題点を解消するかが重要であると考えます。
現状知りうる限りではでは、
① の投資的融資スキルを持っているであろう「SBIホールディングスの地銀統合」には、かなり解消出来る可能性を感じます。
但し、金融庁が望む方向に行くという保証は無いですけどね。w
次に②の自己資本の拡充の問題点の解消ですが、これは国が決断すれば案外簡単かも・・・。
今の地銀が普通に「株式市場」で増資しようとしても、応じる投資家は皆無じゃないでしょうか。
しかし、唯一「地銀への投資」が可能な組織がありますね。
まさに、言い出しっぺの「金融庁」を指揮している「財務省」です。
国家が「国策」として「地銀への資本投下」を行えば済むことです。
まさに「貨幣観」のコペルニクス的転換も期待できるんですがね。
様々な「利権」の横車を押しのけて実施出来れば、残るは「銀行員」の教育だけですがネ。
担保主義と地縁血縁の信用調査に頼っていた地銀マンが早急に変身出来るか?

934 名前:mespesado 2020/10/02 (Fri) 01:15:28
>>932
 私が >>931 で紹介した地銀の新しい役割である「企業支援」について、実際にコロナで困窮した企業を今の地銀の実力で果たして「支援」することなんてできるのか、という根本問題に対し。財務省自身が直接資本投下するのはどうか、というご意見だと思います。
 ただ、あのドケチな財務省がそんなカネを出すのか、という問題があるし、金融庁は一応財務省と独立してしまったので、何で「本体」の財務省が金融庁の施策にわざわざ協力せにゃならんの、という財務官僚のメンツの問題もあるでしょう。
 じゃあ、財務省の協力が得られないとしたら、地銀には一体何ができるのか。そもそも企業の「支援」と言うけれど、地銀現実にどんな「支援」が可能なのかということを具体的に考えると、別に地銀に企業経営のノウハウがあるわけじゃないんだから、「経営指導」みたいなソフト的な支援ができるわけではない。結局「銀行」である以上、できることといったら、「融資」することだけですよね。ただし、「支援」というからには、通常の融資より+αの要素が求められる。その+αの要素といったら2つくらいしかない。一つは今までなら貸し出せなかったようなリスクの高い企業にも融資を行うように貸出しの信用リスク評価の基準を緩めること。今一つは貸付の期限を延長すること、です(ほかに貸付金利を下げるというのもありますが、事実上のゼロ金利下ではあまり下げる余地がありません)。この基準緩和や弁済猶予期間延長の程度を金融庁が指導することになるのではないか(ちなみにバーゼル規制は国際的に活動する銀行に対して課せられるので、地銀については絶対ではなく、そこも金融庁の匙加減次第です)。
 で、この結果何が起きるかというと、もちろんそれによって救われる企業が増えるというのは当然ですが、もう一つマクロな観点で重要なことがある。それは、銀行による企業への貸し付けが増えるのですから、信用創造によってマネーストックが増える、というメリットが発生します。これは地銀が追加で通貨発行権を持ったのと同じことになりますよね。しかも、東京中心の「メガバンク」ではなく「地銀」が持つ通貨発行権ですから、地方でオカネが増える。これにより東京一極集中の弊害が、貨幣の増加という観点から見れば緩和される、というメリットもあるわけで、企業救済、貨幣追加発行、地方優先という一石三鳥が期待できるわけです。
 財務省がテコでもカネを刷ることを拒否する中、「もういい!財務省には頼まん!かわりに地銀さんにオカネを刷ってもらう」と、もし菅さんが考えた上での作戦だとしたら、すごい策士だと思いますが、まあそこまで勘繰らなくても、政治は結果がすべて。もし上のような機序でデフレ解消ができるのなら、この「地銀再編」策は大成功、ということになりますね。

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