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mespesadoさん講義(99)正しい「国家財政式」 [mespesado理論]

《国家財政の(誤れるPB論ではない)正しい式》として、
《(国家支出)-(国家税収)+(信用創造)=(経済活動量)+(国民貯蓄)》が、提示されました。

じっくり眺めています。

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604:mespesado :2020/07/24 (Fri) 08:56:50
池戸万作さんの興味深い記事↓
日本政府はZOZOTOWNの前澤友作元社長になれ~日本国民全員に100万円のお年玉を~
https://note.com/researcherm/n/nbf3a7a83488c

 今年の1月だからコロナ前の記事なのだが、国民全員に国債発行を財源にして100万円配ったらインフレ率がどうなるかのシミュレーション。
 結果は一気に配れば直ちにインフレ率が2%くらいになり、その後段々インフレ率は下がってしまう、というもの。
 後半の「下がってしまう」は感覚的にもピッタリくる。でも前半のように、本当に2%も上昇するのか?
 上の計算は、内閣府の試算結果を単純に22倍とかして、要するに比例計算で補外予測しているのだが、ちょっと乱暴な気がする。
 それよりも、定性的に考えると、今、度重なる消費増税で消費を控えている消費者にとって一番控えている大きな買い物は、家や車などの大型消費財だろうから、もしも一人100万円配られたら、それらの消費が増えるだろう。しかしこれは、今回の現実の給付金のように10万円配られた場合の消費行動を単純に10倍すれば得られる結果ではない。
 数値的にはどうなるか、私もデータが無いのでわからないが、「急に」高額の給付が行われると、確かに「高額商品」の需要は急増するが、「在庫」の範囲内と「今の」設備のままで増産できる範囲で対応できる限り、価格は全く上昇しないだろうし、そこからのシミュレーションは、国民への給付が1回ポッキリか、持続的に行われるかによって異なり、前者だと企業も消費増は一過性だと考えて設備投資をしないだろうから企業の借金による信用創造も増えず、従って配布したオカネの「乗数効果」も無く、世の中はデフレのままになり、給付されたオカネは最終的には誰かの貯金や内部留保に消えてしまうだけだろう。つまり、オカネが継続的に増え続け、消費増が将来も継続するだろうと見込まれたとき、初めて企業は設備投資に本腰を入れるのだから、今のようなデフレ傾向を解消するためには、給付金のような制度は「継続的に」行い続けないと実現できないことになる。
 そして更に注意すべきことがある。それは今回のコロナ禍で大企業が意外にタフだったことが明らかになったこと。観光業の一部にはボーナスの廃止やら大量解雇などの悲惨なニュースが出て来ているが、大企業には「在宅勤務でこと足りる」ことがわかってしまったとして、今後恒常的に出勤3日体制とか、企業によっては週休3日制に踏み切るところも出てきたが、こんなことが余裕でできるのも、大企業を中心に、内部留保を天文学的に増やしてきたからだろう。ということは、ウラを返せば、今後消費が恒常的に増えるとなった場合に設備投資する際も、借金などせずに、自前の資金で十分設備投資ができるだろう、ということだ。そうなると、たとえ継続的な給付金を国が支給したとしても、消費者は豊かになるのだからそれでよいが、企業がとにかく借金をしなくて済むので信用創造は増えず、従って経済活動の活発化による資金不足を補えるのは国家の通貨発行だけとなる。つまり、財政出動は継続した給付金を払い続けてもずっと続くということになる。つまり、「財政赤字」は永遠に続き、しかも「物価上昇」は全く起こらない。
 そもそも国家財政の(誤れるPB論ではない)正しい式:
  (国家支出)-(国家税収)+(信用創造)=(経済活動量)+(国民貯蓄)
において、右辺の「経済活動量」が観測不可能な数値なので、仕方ないからインフレ率を観測することで、最適値かどうかを判断する、というのが「インフレターゲット」という財政政策のはずだったのだが、上に述べたように、いくらオカネを配ってもインフレにならないのであれば、肝心の「経済活動量」の推計それ自体ができないことになる。だからインフレ率に代わる新たな指標を作ることが経済学の重要な目的の一つになる--- こんな話、もし皆が納得して政治がその方向に走り出したら、財政規律を金科玉条とする財務省と、貨幣商品論を当たり前の前提にしている今の主流経済学者は発狂するだろうけれど、論理的に考えたらこうならざるを得ないわけです。
 ただ残念なことは、上のような「明るい未来」のシミュレーションの前提が、あくまで「政府が国債を財源とした継続的な給付金政策を行う」と仮定した上でのシミュレーションであること。
 ちょっと補正予算組んだくらいで財務官僚が敗北感に打ちひしがれたり自民党内では人数的には少数派であっても「借金はいかん」という勘違い道徳派が国家財政を牛耳っている現状では、このシミュレーションの前提条件が満たされる日は永遠に来ないんじゃないの、と絶望的(でもないんですけどね。いつか気付くと思うから)な気持ちになります。

605:mespesado :2020/07/24 (Fri) 09:31:13
>>604 でリンクを貼った記事に対する反応から↓

syn@2020年は個人開発界隈と繋がりたい@synbizmix
> こういう思考実験面白いな。もし、これが起こったら即資産を全部株や
> 土地にするべきか。

> 日本政府はZOZOTOWNの前澤友作元社長になれ
> ~日本国民全員に100万円のお年玉を~
https://note.com/researcherm/n/nbf3a7a83488c
 ↓ ↓ ↓
池戸万作@mansaku_ikedo
> 株や土地も多少は値上がりすると思います。これを持ってインフレを批
> 判する緊縮リベラル派も多々いるので、困ったものですが・・・
 ↓ ↓ ↓
ぶた侍■■【ラーメン屋から行政書士とその先へ】@Butazamurai2017
> 身の危険がある場合は答えなくて結構ですが、財務省ってみんながみん
> な緊縮!プライマリーバランス黒字化!なんですか?中には(特に私のよ
> うな氷河期世代とか)反緊縮の方がいたりしないのかなと思いまして
 ↓ ↓ ↓
池戸万作@mansaku_ikedo
> 緊縮財政のいわば「社員教育」を受けるみたいですよ。緊縮財政を是と
> するレポートを出さないと左遷されるらしいです。財務省設置法に問題
> があるのではないかと言った指摘をされていますね。財務省設置法の改
> 正は国会で議論されるべきだとは思います。

 この最後の発言、超重要!「社員教育」←これこそが「組織は構成員個人の単なる集合体ではない」ことの本質です。つまり「イデオロギーの再生産」が行われるということ。こんな社員教育、もちろん人事とか事務次官がやめようと主張すれば可能なハズなんですが、もしもこういう教育を廃止することで自分達が得をするのであれば、皆従うでしょうが、そうでない場合は、「殿、ご乱心を」でスルーされてしまう。これが組織の怖いところです(それだけじゃなく、いざとなれば介入してくるOBがいるので事務次官が最高権力者ですらないんですけどね)。そして財務官僚は政治家も取り込んでいるから、たとえ政治の、そのまた中枢である「政権」が緊縮財政をどうにかしようとしても、周りの国会議員が財務省に取り込まれているので、こちらも「殿、ご乱心を」で封じ込まれてしまう。「国会」や「内閣」も組織であるが故の残念な帰結です。
 ですが、そんな硬直性でガチガチの組織も、「空気」が変わると途端に豹変する。組織の構成員も、相変わらず従前を続けた方が得であったとしても、何となく「居心地の悪さ」を感じてくる、という臨界点があります。こんなときにトップが「鶴の一声」で「やめよう!」と言い出すと、雪崩現象を起こすようになる。こうなると、組織は個人の場合より変化は早いです。まあ、そうなるように圧力をかけ続けることと、世の中の空気の醸成にできることをやっていきましょうや、皆の衆w


606:mespesado :2020/07/24 (Fri) 10:47:22
>>605
 ところで組織の方向性を変えるのに、個人が目覚めるだけではムリで、まずは空気を醸成しなければならない…。
 これは政治でも最も重要な鉄則です。なぜなら、「政治」において、対象となる組織とは「国家」すなわち「国民全体からなる組織」であり、国民全員がその利害関係者になるからです。
 ところが「目覚めた個人」の中には、この「空気を醸成する」のにかかる手間と時間がまどろこしすぎて、とっとと結果を出そうとする人たちがいます。そう、いわゆる「革命家」と呼ばれる人たちです。じっくり空気を醸成せずに急いで結果を出そうとはやるとどうなるか、特に「国家」という組織でそれをやるとどうなるか。
 歴史は3種類の実例でその結果がどうなったかを教えてくれています。その一つは「民主革命」、次が「共産革命」、そして3番目が「新自由主義革命」です。
 最初の「民主革命」の嚆矢は、何といってもフランス革命です。それまでの封建主義を倒して近代民主主義を確立させた!などと教科書では肯定的に評されますが、その実は産業革命で力をつけた資本家が政治権力を握ろうとして大衆をルサンチマンで煽って王侯貴族を倒したというのが真相です。だからこそ「国民主権」の思想が国民の間に定着したわけでないことは、すぐその直後にナポレオンが皇帝になっちゃったことで証明されています。
 また、共産革命は対象となる国家が封建主義の場合は「貴族はたらふく食っている」というスローガンで、対象が資本主義国の場合は「資本家による労働者の搾取」というスローガンで大衆のルサンチマンを煽って金持ちを倒し、彼らから資産を奪った、というのが真相です。その証拠に、本当に「万民平等」のための共産主義であったなら、為政者も含めて「平等」を貫くはずなのに、現実には共産党という「特権階級」による「独裁政治」になっているのが世の中の現実です。
 最後の「新自由主義革命」は、革命という名前でよばれることはあまりありません。まあ「物理的暴力」を伴わないからだと言えなくもないですが、でも「産業革命」とか「情報革命」とかは普通に言いますし、これはおそらく「革命であることが悟られるとまずい」勢力による陰謀かもしれませんw それはともかくとしても、この新自由主義は、高度成長終焉の原因を「労働者が怠けているからだ」と勘違いした、いや勘違いさせたい勢力により、いくら働いても暮らしがよくならない一般大衆のルサンチマンの批判の矛先を、(真の原因は国家の貨幣供給不足なのに、それは伏せておいて)今度は「上」ではなく「下」に向けさせて「怠けものは駆逐しろ!」というスローガンで「殿様商売の国営企業を民営化して効率化せよ」の名の下で、実は「国有資産」の「私物化」を行ってきた(というか現在進行形)のがその実態です。
 で、これら3種類の「革命」に共通するのは、既にお気付きかと思いますが、いずれのケースも「大衆の妬み、ルサンチマンを悪用している」ことです。いくら理想に燃えた純粋な人でも、早急な結果を出そうとして早まる人は、必ず私利私欲を満たそうとする人たちに利用(悪用)されます。そして新自由主義革命では特にそうですが、利用された後は、単に捨てられます。
 今が旬の「反緊縮革命」も、そうならないように、ぜひ理性を以て落ち着いて、しかしチャンスは決して見逃さない、そういう賢い大衆でありたいものです。


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