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故 青木精志君へ [弔辞]

青木精志君遺影.jpg昨日(6日)の午後、「5日に亡くなった」との報が入り、宇津木理事長と弔問した。葬儀に参列することにして、弔辞を読むことになった。コロナ以来弔辞を読むこともなくなっていて久しぶりだった。朝書くことにして9時過ぎに床に入ったら、1時ちょっと前に目覚めてあれこれ考え出し、あと結局眠れなかった。訃報が本当にショックだった理由も含め、心のままに書くことにした。

私の前に、エヌデーソフトの相棒佐藤廣志くんの弔辞だった。日東電子時代の苦労と東証2部上場の時の喜びを語った。遺影は上場の時の記念写真ということだった。いい顔だ。青木くんが廣志くんに「二人は全く性格がちがうからかえっていい」と語ったそうだ。その言葉が力になったと語ったのが心に残った。外目にも役割分担が明確だった。喪主挨拶は長女志麻ちゃんだった。娘としての思いの丈を語り尽くしたいい挨拶だった。家庭的にも幸せだったと思う。青木くん結婚当時については私はまだ帰っていないので全く知らないが、弔詞で「奥さんを射止めた」と言った。きっとそうだったのだと思う。

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        弔 詞
 
 突然の訃報に言葉を失いました。もう一歩段階が進んだところで、どうしても相談しなければならないことがあったのです。今から六年前、私が宮内の地区長会長として公民館改築問題でバタバタしだしていた時、さりげなく言ってくれた「宮内のごどでなにかさんなねごどあったらゆってな」の言葉が私にはずっと大きな支えになっていました。その後、宮内公民館改築は、青木くんの力を借りることもなく市の事業として順調に進展しています。ところがつい最近、くすぶっていた課題に急展開の兆しが生まれ、なんとか打開の道をさぐらねばならなくなっていたのです。「青木くんの力で道が開けるかもしれない」、私ひとり密かに思っていたところでの訃報でした。
 顔を見た瞬間、一瞬目が開いたように思えました。呼吸をして胸が動いたように思えました。四十年以上にわたって普通に健康な人とはちがう生活の中で普通の人以上の力を出してきた青木くんでした。病とともにする生活は、健康な人には考えられないほど「死」が身近だったのかもしれません。生と死を隔てる壁の上を綱渡りのように歩き続けるような日々だったのかもしれません。それだけに、安らかに安らかに死を受け入れている、そんな顔に見えました。
 平成二十年から今年の三月まで十四年間、現在の宮内認定こども園を経営する学校法人南陽学園の理事を務めていただきました。佐藤廣志くんや私と同じく、当時キリスト幼稚園と言われていた宮内幼稚園が開園した昭和二十七年に二年保育で入園した第二期生でした。その縁から始まって平成十七年から私が理事長の任にあたっていたのですが、地域の人口減少や少子化に加え、核家族化が進む中、早くからお母さんが働かねばならないことから保育年齢がどんどん下がり、三歳児以上を原則とする幼稚園経営は極めて厳しい状況でした。そうした中での青木くんへの応援要請であり、理事就任でした。
 平成二十三年の東日本大震災後、昭和五十二年建設の園舎は、耐震診断の結果、倒壊崩壊の危険があるとされ、園舎改築が喫緊の課題となりました。ちょうどその時、文科省管轄の幼稚園と厚労省管轄の保育園を一体して認定こども園とする動きが出ており、その流れに乗ることができました。しかし総工費の半分は公的負担があるもののあと半分はなんとか用意せねばなりません。一億近い借金が必要となりました。まさに青木くんの力の見せ所でした。平成二十六年新しい園舎が完成して、宮内認定こども園として今に至ります。数え上げればキリがありませんが、陰に陽に子どもたちのために惜しみなく力添えをいただいてきました。ほんとうにありがとうございました。
 幼稚園から高校まで一緒で、数えれば七十一年前からのつきあいでした。普段はおだやかでもいざとなれば底力を出してくるのが青木くんでした。高校受験の時もそうでしたし、おそらく奥さんを射止めた時もそうだったのだと思います。佐藤廣志くんとの二人三脚でエヌデーソフトを育て上げる中でもそうした場面が多くあったに違いありません。直江兼続の一統が宮内に入る以前からの地侍で、長谷堂の戦いに出陣した北条十八騎のひとつ青木家嫡流としての宮内への思いはただならぬものであったはずです。この思いを後進に繋げてゆくことがわれわれの務めと考えています。私もいつまでできるかわかりませんが、残された人生やれるだけやります。幽明界を異にしても、肉体の苦労から解き放たれたところでの、青木くんのさらなるがんばりを期待したい、今はそんな気持ちです。
 昨日青木くんの顔を拝しての気持ちをそのまま述べさせていただき、弔詞らしからぬ弔詞になってしまいました。
 ほんとうにありがとうございました。

   令和五年七月七日

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