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人口動態統計の死亡増の原因を探る④「自殺」と「老衰」 [mespesado理論]

大規模な感染対策や自粛に伴う経済活動の萎縮に伴う失業のような社会的要因を原因とする考察があります。まあ、普通に考えて「そうだろうな、気の毒に…」という感想を持ちますが、男性は女性ほど自殺が増えておらず、リストラや採用の調整が女性に対して行われる程度が大きいことを表しているのかもしれません。/ ところが、このような社会的要因だけでなく、純病理学的な要因に原因を求める考え方もあります。》

《70代前半と、実年齢はまだ若いのに、例えば10歳ほど老けてしまうと80代と同じ体になる。それなら80代であれば老衰死は別に不思議なことではない、ということになりますよね。実際、ツイッターなどでもワ〇チ〇を打ってから異様に老けたという話もちらほら見かけます。ただ、もちろんワ〇チ〇による老化もあるでしょうが、統計でみる限り、老衰死のピークがワ〇チ〇接種のピークではなく新型コロナ流行のピークと対応しているところを見ると、ワ〇チ〇よりは、新型コロナによる老化の方が統計上は、より顕著に表れているということになるのではないかと思われます。》

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死因別超過死亡指数.jpg
 まず、超過死亡の内訳としてどの死因が増えているのかを調べてみます。添付画像は、人口動態統計で使われている34種類の主だった死因について、それぞれの死因別に死亡率の超過度合いを棒グラフにして比較したものです。一番下に「全死因」とありますが、これが死因を問わないすべての死亡についての死亡率の超過度合いで、既に解説したように、男女ともに2%となっています。
 そこで、この全死因の超過度合いと比べて、これよりも高い超過度合いを示している死因について、男性はブルーの枠で、女性は赤の枠で、死因を表す名称の部分を囲っておきました。
 まず男性の方を眺めると、全死因より死亡率の超過度合いが大きい死因は「自殺」「老衰」「腎不全」、それに「脳血管疾患」と、それの内訳の一つである「脳梗塞」、心疾患の内訳である「不整脈及び伝導障害」「急性心筋梗塞」の計7種類となっています。
 次に女性の方は、「脳血管疾患」を除く男性のそれらを全て含み、それらに「糖尿病」「白血病」、「胆のう及びその他の胆道の悪性新生物〈腫瘍〉(要するに胆のうガンですね)」、「食道の悪性新生物〈腫瘍〉(要するに食道ガンですね」を加えた計10種類となっています。
 この中で、女性の「自殺」が突出して目立っています。あとは「老衰」「腎不全」、それに脳と心臓の血管系の疾患による死亡が目立ちます。それから女性に限って一部の消化器系の悪性新生物が高くなっているのが目立つところです。
 先ほどは「新型コロナはただの風邪」と言いましたが、もし風邪系統の病気で死者が増えたのなら真っ先に肺炎のような呼吸器系の死因が増えていてもよさそうですが、死因の中の「肺炎」はグラフの上から9段目にありますが、これは男女ともにむしろ超過死亡率は逆にマイナスになっています。この理由は、既に解説したように、季節性インフルエンザが消失したことによる効果が大きいと思われますが、それに対して脳や心臓の血管系、つまり循環器の死因が逆に全死因平均の超過度合い以上に増えているのは、この新型コロナ関係の循環器系疾患による死亡率がインフルのそれよりも高いことを意味しています。ただし、今「新型コロナ関係の」と言いましたが、これは単に新型コロナに罹患したことによる直接死亡+間接死亡のことだけを意味するとは限りません。私が何を言おうとしているのか訝しがるかもしれませんが、種明かしは、最後の循環器系、特に心疾患系の死亡の分析の所できちんと解説したいと思っていますので、楽しみにお待ちください。
 本連載では、上で言及した死因の中から「自殺」と「老衰」と血管系の疾患に注目して分析することにし、まずは最初の「自殺」から分析していきたいと思います。       (続く)

500:mespesado :2022/11/07 (Mon) 20:11:11
https://bbs6.fc2.com//bbs/img/_409100/409098/full/409098_1667819471.png   
>>499
 まず、>>490 で貼り付けた、男女別、年齢別の超過死亡度合いを比較したグラフを再度ご覧下さい↓
https://bbs6.fc2.com//bbs/img/_409100/409098/full/409098_1667645865.png

m495.jpg
 これを一瞥した際、明らかに目立つのが、女性の35歳未満の突出した超過死亡です。そこで、女性のこの前後の年齢、つまり、20~24歳、25~29歳、30~34歳、35~39歳のそれぞれについて、死因別に超過死亡の度合いを横軸に月(つまり時間の経過)を取って表示したグラフを、本発言の添付画像の左側に掲げておきます。

世代別・死因別.jpg
 20歳代の左の二つのグラフでは、もう明らかに「自殺だけ」が突出して増加していることがわかります。30歳以上でも、30代前半では女性固有の癌も増え、30代後半では脳血管系の死因が増えていますが、やはり自殺の増加が突出しています。
 また右の円グラフは、全死因に占める各死因の人数割合を表していますが、20代ではもともと死因の過半数を自殺が占めているうえ、その自殺による死亡が突出して増えているのですから、最初の女性の若年層の突出した超過死亡のほとんどの死因が自殺の急増で占められていることは明らかです。
 では、なぜ女性の若年層で2021年の自殺が突出して増えたのか。これについては、

型コロナ禍による自殺の増加を確認 ~失業率と連動し、若年女性で顕著~
https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2021/20220330horitanobuyuki.html

で論じられているように、大規模な感染対策や自粛に伴う経済活動の萎縮に伴う失業のような社会的要因を原因とする考察があります。まあ、普通に考えて「そうだろうな、気の毒に…」という感想を持ちますが、男性は女性ほど自殺が増えておらず、リストラや採用の調整が女性に対して行われる程度が大きいことを表しているのかもしれません。
 ところが、このような社会的要因だけでなく、純病理学的な要因に原因を求める考え方もあります。それを示唆するのが以下の論考です↓
うつ病に12倍かかりやすくなる「ウイルスと遺伝子」の正体、最新研究で解明
https://diamond.jp/articles/-/289323

 記事の中ではうつ病を引き起こすウイルス(HHV-6)は、コロナウイルスとは種類の違うウイルスであると述べていますが、特に中枢神経の分野の医学はまだまだ分からないことが多いわけで、今後の研究が待たれるところでしょう。
(続く)
501 名前:mespesado 2022/11/08 (Tue) 11:35:58
https://bbs6.fc2.com//bbs/img/_409100/409098/full/409098_1667874958.png
老衰死亡率.jpg
>>500
 次は「老衰」の増加についてです。これを前期高齢者の中でも一番若い、70歳代前半について、2015年から2021年までの月別の死亡率を、年ごとに色分けした折れ線グラフを男女別に重ねたものが添付画像です。一見して明らかなように、2021年だけ突出しているのがわかると思います。しかもピークが4月(新型コロナの第④波に対応)と8月(同第⑤波に対応)にあり、新型コロナの流行と明確に対応しています。老衰と言えば、昔から「自宅で布団の中で眠るように亡くなる」のが天寿を全うした「老衰」として死の迎え方の理想みたいなイメージで語られることがあることからもわかるように、特に何らかの病気でもなく、病的な臓器不全でもなく、自然の摂理で衰弱して死んだ、というのが標準的な「老衰」のイメージですが、実際に死因を判定するのは死を看取った医師です。その医師の判定による「老衰」が「激増」している、というのはどういうことか?しかも、グラフに挙げたのは、70代前半という、男女とも平均寿命が80歳を超える今日では「自然に衰弱して天寿を全うした」というには余りにも若すぎる年齢層です。
 DIAMOND online に、一年以上前ですが、次のような記事が載っています。

コロナ禍でも「老衰死」が増え続ける理由
https://diamond.jp/articles/-/266994

 その中で、3頁目に以下のような記述があります↓
>  死亡診断書の死因の多くはがんや心疾患、肺炎など病名が記される。
> 大学病院や総合病院では「死亡診断書の死因欄には病名を書くのが当た
> り前。老衰は病名でないから書いてはならない。病名を突き止めるのが
> 医師の役割」とされることが多い。このため「勤務医時代は老衰と書い
> たことがない。在宅医になって初めて老衰死を書くようになった」と述
> 懐する診療所の医師は少なくない。

 この中で、「在宅医になって初めて老衰死を書くようになった」という医師の発言があることからもわかるように、自宅で死を迎えると、死を迎える瞬間に医師が立ち会っていないことが殆どですから、死因となる病名が分からなくなってしまっていることが多い。つまり、「老衰」の増加とは、すなわち「自宅での死亡」というか、「病院外での死亡」が多いことの反映ではないか、とも考えられるのです。実際、上の記事の後半では老人ホームでの老衰死が増えていて、それは入院して延命治療をすることを良しとしない最近の風潮によって、病院の中で死を迎える数が減っているということが書かれています。確かに添付画像のグラフの推移を見ても、新型コロナ以前から、徐々に老衰死が増えていますから、それはこの事実の反映でしょう。
 そして、2021年の新型コロナの流行で、「病院での死亡」が激減したと思われる理由が同記事の2頁に書かれています↓
>  老衰死の場所にも変化が出ている。コロナ禍で自宅での老衰が増えて
> きているようだ。「病院は感染の危険が高く、怖いから行かない」「入
> 院すると面会ができなくなる」「早く退院させたい」との思いが広がっ
> て、病院への足が遠のいている。

 つまり、死を間近にした高齢者がコロナの院内感染を恐れて入院しなくなってきた、というのです。コロナを怖がる度合いは高齢者ほど顕著だと言いますから、これはありそうなことです。
 さて、自殺の激増で失業のような社会的な要因が主因だろうと思われるところに純粋に生理学的な理由でウイルスが鬱病を発症させる話が合ったように、老衰についても、病院を避けるという社会的要因だけでなく、純粋に生理学的な理由で老衰が増えたのではないかという考え方があります。それが新型コロナウイルスやスパイクタンパクが人体の老化を促進するのではないか、という研究です↓
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染は細胞老化を引き起こすことで炎
症反応が持続することを発見(原研がNat Aging誌に発表)
http://www.biken.osaka-u.ac.jp/achievement/research/2022/preview-a202200991568f9278eeef64bb34b9b7cb41f58d1642898045

SARS-COV-2スパイクタンパク質は、パラクリンの老化と白血球接着内皮細胞を誘導します。
https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/34160250

 つまり、70代前半と、実年齢はまだ若いのに、例えば10歳ほど老けてしまうと80代と同じ体になる。それなら80代であれば老衰死は別に不思議なことではない、ということになりますよね。実際、ツイッターなどでもワ〇チ〇を打ってから異様に老けたという話もちらほら見かけます。ただ、もちろんワ〇チ〇による老化もあるでしょうが、統計でみる限り、老衰死のピークがワ〇チ〇接種のピークではなく新型コロナ流行のピークと対応しているところを見ると、ワ〇チ〇よりは、新型コロナによる老化の方が統計上は、より顕著に表れているということになるのではないかと思われます。
 以上、「自殺」と「老衰」の激増について解説してきましたが、次回からは、いよいよ「本丸」の「循環器系の死因増」の問題について解説していきたいと思います。                              (続く)

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