SSブログ

ハイジアパーク→四季南陽「南陽を世界ブランドにする」!(4)

「四季南陽」から感じるワクワク感について、①「四季南陽」の名称 「里山の自然」への着目を書いた。そして

南陽の食 シャインマスカット.jpg③「置賜の食文化」再認識
「施設のコンセプト」として「里山の自然」の次にあげられているのが「南陽の食」。《四季折々の美しい自然があります。日本でも有数の豊富な食材の宝庫です。丘から麓をのぞむ見晴らしの良い場所です。長く地域で愛されてきた温泉があります。》とあるだけで「食」への直接の言及はないが、これまでの奥山氏の話から果樹がメインとわかる。シャインマスカットを菊の花のように並べた写真があった。飲食事業部門の看板となる奥田政行シェフの創案と思うが見事だ。置賜の食材がどのように加工されてゆくか楽しみ。(写真は KEN OKUYAMA DESIGN)
・ 
「置賜の食文化」は「もてなしの心」に支えられているのをあらためて思ったのは、山形の日本一の芋煮会を体験した時だった。→「「日本一の芋煮会」への苦言」https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2011-09-05 ちょうど10年前、家内と娘と一緒に行った「日本一の芋煮会」で感じた満足度のあまりの低さに愚痴を並べ、もてなしの心、その心意気を感じることのできるイベントであってほしい、つくづくそう思った。あえて言えば、置賜と村山の感覚の違いかもしれない。置賜ではありえない。》と記したのだった。満足度なしにもてなしも何もありえない。
10年間外で暮らした私には、この土地の食文化の豊かさがよくわかる。私にとっての食の原点は、明治24年(1891)生まれの祖母による毎日のお賄いだ。私が小学生の頃は8人になっていたが、多い時には20人近い家族があったと思う。それを一人で切り盛りしてきた。祖母の母親の実家が魚屋だったこともあり、なんでもできた。野菜をリアカーで引き売りするおばちゃん(若狭郷屋の島貫さん)がいた。なじみの魚屋の御用聞き(サブちゃん)がいた。1週間に一度ぐらい、塩釜から仕入れた魚を運んでくるおじちゃん(赤湯の扇屋さん)がいた。応対する祖母の笑顔が思い浮かぶ。芳叔母98歳.jpgつい先日、満100歳の叔母が亡くなって火葬に立ち会ったが、残った骨の見事さにみんなが驚嘆した。そっくり残る大腿骨の太さもすごかったが、頭蓋骨があのように白く綺麗に整った形で出てきたのを見たことがない。叔母はいつも、「こうして元気でいられるのは、ばばちゃの料理がよかったから」と言っていた(→写真は数え100歳の叔母)
その祖母によるもてなし料理の定番が、我が家のオリジナルではなくて、この土地のものであったことを知ったのは、黒江太郎さんが斎藤茂吉を宮内に招いてもてなした時の料理がまったく同じだったと気付かされたことによる。→「齋藤茂吉と宮内(1)」https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2014-06-24 まさに地域の食文化が各家庭に浸透していた。
斎藤茂吉の日記に《(昭和22年)五月十七日、土曜、ハレ、クモリ、・・・(上山駅で)一時五分汽車が来タノデソレニ乗り、赤湯デ降リタ。結城哀草果、西村モ同車デアッタ。徒歩ニテ宮内町ノ黒江太郎方二著イタ。○ソノ夜、女流ノ骨折ニテ鯉ヲ主二シタイロイロノ料理ガ出タ、酒、ぶだう酒、○黒江氏の蔵ニ臥、入浴》とあり、黒江先生が残したその晩の献立表によると、《鯉の甘煮(うまに)、鯉のアライ、茶碗ムシ、煮染、豆腐の木の芽田楽、ウドの胡麻アヘ、アケビの萠(もえ)浸し、蕗の煮ツケ、トコロテン、ナメコの吸物、蕨汁・・・。当時とすれば贅をつくし・・》とある。私は子供の頃からハレの料理としてなじんでいたものばかりで驚き納得した。食糧事情の悪い中にあって、食い意地張る茂吉にいろんなお気に入りを届けていたのが黒江先生だった。この日料理を担当した高橋美子、菅野てる子、瀧澤シズカ3名の名も残る。茂吉は黒江先生にとことん気をゆるしていたようで、《先生は目をつむって、『いい歌作ったす。「道のべに‪蓖麻(ヒマ)の花咲きたりしこと何か罪深き感じのごとく」、どうだ、「何か罪ふかき感じのごとく」はいいだらう。それからこんな歌も作った。「少年の心は清く何事もいやいやながら為ることぞなき」、何事もだぞ。「いやいやながら」はいいだろう。こんなあたりまへの事だって、苦労して苦労して作ったものだ。苦労した歌はいい。』と仰言った。『おれは天下の茂吉だからな。』、先生は一段と身をそらして、恰も殿さまのやうに両肱を左右に張って見得をきった。》との記録も残る。茂吉にぐんと親しみが湧いてくる。
食の満足は心を解放する。「四季南陽」が「置賜の食文化」を通して、茂吉が宮内で味わったような「心の解放」へとつなげていってくれれば思う。



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。