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農業をめぐる重要な議論(放知技板) [現状把握]

放知技板で、農業をめぐるとびきり貴重な議論が展開されました。

①食糧自給率が低い大都市消費を当て込んだら海外の安い農産物には敵わない。それなのに全国の農家が大都市消費を目指して生産する。この堂々めぐりから脱けだすには、地方ごとに自給率100%を目指すこと。まずは地産地消。余り物を大都市に呉れてやる発想に切り替えよ。→地方の自立。

②実践的棚田論。読んでいて胸迫るものがあります。ひとつの「営み」が、その歴史的背景とともに結晶化された文章として胸打たれました。

③従来通りの化学肥料による農法にあってはその原料はほぼ100%輸入依存、有機農法にしても、牛糞、鶏糞、馬糞を生み出す飼料の半分は輸入。学肥料の原料の輸入と有機肥料の飼料の輸入が止まったら、たちまち日本はお米も野菜も作れなくなってしまう可能性が大きい》。自然農法に取り組むわっぱさんの指摘に対するmespesadoさんの反応もすごい。化学肥料として重要な窒素化合物、リン、カリのうち原料についていちばん問題なのがリン。mesさん、この問題解決のための「下水汚泥からのリンのリサイクル」に着目。財務省も無意味にカネをケチるのをやめて、世界の食糧危機を救う日本の技術にカネをどんどん注ぎ込んでほしいものですね。》さらにそれを受けてのわっぱさんの自然農法論、その行き着いたところは土壌微生物の構成は腸内細菌とほぼ同じ》。最後は自らを振り返ることになりました。農業は体と地つづきです。

*   *   *   *   *

466 名前:堺のおっさん 2020/06/30 (Tue) 10:42:36
メッさん、
思考に関する興味深い視点の提示、面白いですね。
私の場合は漠然と頭に残っているファクトを
直感的に整理していくタイプなので、かなりいい加減だと思います。
大した思想や理論なんかまったく持ち合わせていません。
自分が感じたことやファクトの裏を組み立てるだけです。

少々長い前置きになりましたが、
農業の端くれに位置する立場で最近思うことがあります。
国家の食糧自給率のことです。
これもカロリーベースと生産額ベースとでは率が違う。
生産額ベースでは66%です。
http://search.yahoo.co.jp/r/_ylt=A2Ri0Iw0kvpeazIA4FSDTwx./SIG=11s7ll5io/EXP=1593580532/**https%3A//smartagri-jp.com/agriculture/129
しかし、これも慰めにしかすぎません。
やはり100%を目標に置くべきでしょう。
ここで、日本においてはどちらでもいいけれども自給率は
地域格差があることは想像できます。
自給率を高めていく道筋は実は地方の自給率を100%
まずは上げていくことから始めるのが
地方の自立に沿った方策であると思います。
誰でも自給率が低いのは東京をはじめ大都市での
自給率が低いからだとわかります。
そして、そこでの消費を当て込んで農産物の生産を計画する。
この枠組みではより安い海外の農産物には価格で勝てません
そこを堂々めぐりしているのが現状。

もう一つ。
地方の自立ってなんだということですね。
その指標の一つに地産地消での自給率がどれくらい100%に近いのか?
この評価基準で地域の農業を評価することです。
生産の多い地方でも如何に大都市依存の構造を前提としているか。
浮かび上がるでしょう。
江戸時代の藩体制であれば自給率100%でなければ成り立ちませんから
そんなの当たり前だったんでしょうが
現在はこの視点がすっぽり抜け落ちている。
地産地消での自給率100%をいかに実現するのか?
私はこれが達成できない地方の自立はあり得ないと思います。
そして、その余り物を大都市には呉れてやればいいのではないですか。
地方活性策を結局電通に丸投げする浅はかさ…
自立できないのは当たり前です。
逆に地産地消による自給率が100%に近ければ、
これほど安心なこともまずはないでしょう。
データーがそもそも無いのでなんですが、
もしこれがかなり高い地方は、堂々と自立していると
宣言しても良いかとも思いますね。
現実ではかなり低い数字になると予想しています。
地産地消による自給率を調べてみようという
地方の担当者がいましたら、ぜひトライしてみてください。
地方の自立度と大都市依存度は相反する数字のはずです。

467 名前:堺のおっさん 2020/06/30 (Tue) 10:55:14
>>466つづき
こんなことを考えたのは、武漢ウイルスで給食がストップ。
大量の食材が行き場を失った。
堺のお店で「熊本県農家支援特価」と称して
ニンジンやタマネギなどが通常の1/5の価格で売られていました。
給食用なので形も悪いけどこれは運送費などを考えれば
ほぼ無償で引き取ったものだと分かります。
そもそもなんで熊本産の野菜を熊本で消費できないのか?
そんなにタマネギやニンジンが過剰生産されているのか?
そんなことは無いです。
給食用の材料は量が基準なので、思いきり形が悪い。
ああ、これじゃスーパーでは扱わないなとすぐ分かります。
つまり地元でも扱えないと断られたということです。
タマネギなんて刻んでしまえば同じなのにねえ。
そのタマネギを買いながら、熊本の落ち込んだ顔の農家を想像し、
やりきれなくなりましたよ。
結局地産地消の重大な意味がほとんど分かっていないから
起きていることではないかと見えたのです。
だって、本当は熊本のこども達のおなかに入るものだったんでしょにね。
農産物の流通に根本的な欠陥が地方にもありますよ

468 名前:堺のおっさん 2020/06/30 (Tue) 11:08:38
ついでに余談。
先日かんだいネットショップで私が乳酸菌農法で生産した島ニンニクを
販売してもらいました。
生産量の50%を地元で消費。
来年の種用に10%。残りの40%を昨年も扱ってもらいましたので
カンダイさんで扱ってもらいました。
文殊菩薩で取り上げていただいたところ即日完売。
お買い上げいただいた皆様にはこの場を借りてお礼申し上げます。
えらそうなこと言いながら…
私の島ニンニクの地産地消率はわずか50%であったと。
100%を目指していきたいと思います。
でも、大きな壁だな。
農家にとって、生産物を売るということが最大の壁であることは事実ですね。


474 名前:堺のおっさん 2020/07/01 (Wed) 02:19:13
>>470 猿都瑠さん
明日香の百姓さんが扱う田んぼは棚田が多そうですね。
ほとんどそうかな。
棚田と言うと何やら日本の原風景みたいで
絵面としてはとても魅力的ですが
実際にコメ作りをやってみるとかなり高度な技術が必要ですね。
それでも正味の面積で同じ平地の大きな田んぼと比較すると
棚田での生産力は良くても8割あたりではないかと
労力は10倍かかるでしょう。
堺でも、田んぼで放棄されていくのはまずは棚田からです。
やってみてつくづく「こりゃ放棄するはずだわ~」と実感。
絶滅危惧種みたいなもんです。
昔の人は良くやってたなとつくづく感心するばかりです。
重機もない時代に棚田を作ること、そして維持していくことには
何世代もの時間と果てしない労力が投入されていることを
知る人はあまりいないでしょう。
特に水の引き方
コメは水なくしてはできません。
ため池なんてどうやって作ったのか私も知りませんわ。
空梅雨でため池の水が足りないと、雨乞いをした気持ちも想像できます。
でも、そんな先人の遺産とでもいうべき棚田を引き継いだ以上、
なかば強制的にどうしたら不利な条件の棚田でも
生産性を上げるのか考えさせられます。
イネは一般に地温25度以上の積算時間で出来が決まります。
特に、初期育成と分けつ期には地温の高さが重要です。
一本でも多く増やしたいですから。
棚田の場合、上の田んぼから下の田んぼへと水をかけ流しにします。
すると、水温はほんの少しづつですが下の田んぼのほうが高くなる。
下の田んぼほど生育が有利なはずですね。
しかし、問題は根っこのはえている地温。
水温が高いだけではだめなのです。
水温をできるだけ上げて、地温を上げる。
そのために天気の良い日はあえてかけ流しを止めて
1度でも水温を上げるようなことも必要になります。
せっかく30度後半まで上がった水温を捨てるのはもったいないですから。
しかし、そうすると棚田のどこかでモグラの穴などを通して
水位が下がりすぎてしまう田んぼが出てきたりします。
地面が露出すると今度は草が瞬く間に生えてくる別の問題が出ます。
特定の田んぼだけ水位を上げられないのが棚田の仕組み
上から順番に落として水位を回復させていく必要がある。
かけ流しを一時止めるときは抜けやすい田んぼはあらかじめ高めに調整する。
しかも、毎年問題の生じる場所が変わっていくので
水を入れてから落ち着くまでの10日ほどの間に
田んぼのくせをつかんでおかないと訳が分からなくなる。
結構毎年田んぼのクセが変わってくるものです。
棚田の一枚一枚、センチ単位で効率の良い水位が違うのですね。
今年はこの辺りの修正のコツがわかってから、
日当たりのよい平地の田んぼまではいきませんが
昨年以上の生育を確認できています。
棚田を切り開いた先人の努力を思えば、
こんなの大したことありません。
平地の田んぼも同じ発想の水位調整ををやっていますが、
過去最高の生育になっています。
ミリとまでは言いませんが、センチ単位の水位調整ができるかどうか。
温度計を田んぼに差し込んで地温を計ってみると
かけ流しを止めたり、流したりするタイミングも分かってきます。
晴れ間の少ない梅雨時。
晴れの日はかけ流しの流量を止めて水位をギリギリまで下げる。
そうすることで徹底的に水温を上げる。
地温を可能な限り上げておいて冷える夜間少し戻しておく。
この調整が成功すると、あとはかけ流しの水量で
地温を調整することも可能となってきます。
これはおそらく途絶えてしまった稲作りの知恵の一つであろうと思います。


471 名前:わっぱ 2020/06/30 (Tue) 17:26:40
>>466
堺のおっさん、お久しぶりです(^_^;)
以前に乳酸菌・アミノ酸農業を語るにも投稿しましたが、

日本の食料自給率についてですが、確かに生産高(生産額)ベースでは66%です。
その内訳ですが
野菜は89%、米は100%なんですね。
生産高ベースに換算すると日本は諸外国に比べても見劣りはしないと思います。

但し、ここで一番気になることは、現在、日本の農業の主流は慣行農法です。
慣行農法は化学農薬と化学肥料がないとどうしようもありません。
化学肥料の原料はほぼ100%輸入に頼っています。

ちなみに有機農法は動物性有機肥料が主体となっています。
また、平成29年度の実績では有機農地は全体の0.5%しかありません。
ただ、この数値もあくまでも有機JAS認証農家の数値のはずです。
有機JASを取得していない農家は基本的に有機農家と名乗ってはいけないのですね。

動物性有機肥料には牛糞、鶏糞、馬糞などがありますが、
その畜産物はカロリーベースで61%でそのうちの輸入飼料が46%です。
ここは生産額ベースよりカロリーベースで考えるほうが妥当かと思います。
なので国内自給率15%なんですね。(計算の仕方、考え方が間違っていたらごめんなさい<(_ _)>)

こういったことを考慮すると日本の食料自給率は、
ほぼ0%と言ってもいいのではないでしょうか!

要するに化学肥料の原料の輸入と有機肥料の飼料の輸入が止まったら、
たちまち日本はお米も野菜も作れなくなってしまう可能性が大きいです。
海外依存度が大きすぎてどうしようもないです!

私は元々311の放射性物質の拡散がきっかけでIT関連事業者から自然農農家に転身しました。
なぜ自然農かと言うと「子ども達が安心して口に入れられる野菜作り」をしたいがための選択でした。

畑に何も入れなかったら、土壌が安全だったら、種が安全だったら、
安全な野菜が作れるだろうと思っての事でした。
安全な野菜が作れたら自然農にはこだわっていません。

ただ、いろいろ考えてみると玄米乳酸菌農法も原料がいるわけです。
玄米、黒糖(糖蜜)、粗塩(岩塩)の原料が入手できなかったらどうなるのか・・・
まあ、ほぼないと思いますがコロナや自然災害などの影響で輸入や物流がストップしたら・・・

ただし、自然農は如何に土壌微生物を活性化させるかがポイントになりますし、
収量的に期待できない場合があります。

今、私が考えていることはもちろん玄米乳酸菌も利用しますが、
もっと自然の中に存在して国内でも手軽に入手できるものを
原料とした農業ができないか考えています。
その一つがです。
実は私の畑は京都の洛西なので竹林に囲まれています。
だから竹が有り余るほどあります。
この竹からでる乳酸菌(竹を切った部分からでる白い液状のもの)、竹を粉砕した竹の粉末、
竹を燃やした竹炭を利用して土壌微生物の活性化を考えています。
竹には竹にしかない独特の乳酸菌があるらしいです。
この方法を既に取り組んでいるグループもあります。

私もタケノコ農家さんから粉砕した竹の粉をもらって土壌に播いたりしています。
それがかなり効果を発揮します。
しかもタダですwww

この竹と玄米乳酸菌を使った農法の経過報告については「乳酸菌・アミノ酸農業を語る」にて!

あともう一つ、農家がある程度の収入を確保する方法もいろいろ考えています。
私は昨年ぐらいから徐々に収入が増えて、今年になってやっと、まあまあ人並みに暮らせるようになりましたwww

473 名前:mespesado 2020/06/30 (Tue) 22:30:56
>>471
> 但し、ここで一番気になることは、現在、日本の農業の主流は慣行農法
> です。慣行農法は化学農薬と化学肥料がないとどうしようもありません。
> 化学肥料の原料はほぼ100%輸入に頼っています。

 わっぱさん、貴重な情報ありがとうございます。そうかぁ、食糧そのものも問題だけど、そもそも肥料を輸入に頼っていることの方が深刻だ、というわけですね。そこで、化学肥料の何が輸入に頼っているのか調べてみました↓
http://www.jaf.gr.jp/faq.html

「日本アンモニア協会」というところのサイトですが、次のような記述があります↓

窒素肥料の大部分はアンモニアが原料です。アンモニアは大気中の窒素
> と水素を高圧下で反応させて作ります。窒素は無尽蔵ですが、水素を作
> るためにはエネルギーが必要です。今は天然ガスが主な原料です。石炭
> ・石油・余剰電力などを使うこともできますが、コストが問題です。
>  リン酸肥料の主原料はリン鉱石です。日本にはありませんので、すべ
> て輸入しています。これまでアメリカ(フロリダなど)からの輸入が多
> かったのですが、資源が枯渇してしまい最近ではアメリカからの輸入は
> できなくなりました。今はモロッコ、中国、ヨルダンなどから輸入して
> います。リン鉱石については、資源の枯渇産出国が限られているのが
> 問題です。
>  カリ肥料の原料はカリ鉱石です。日本にはカナダからの輸入が多くな
> っています。これも産出国が限られるのが問題ですが、資源の量につい
> てはリン鉱石ほど問題はないようです。
>  有機質肥料も輸入が多く、ナタネ油かす骨粉などの輸入依存度は高
> くなっています。リサイクリングの見地から有機質肥料をもっと利用す
> ることが望まれていますが、コスト、品質などに問題があります。

 要するに、窒素化合物、リン、カリが重要だ、ということのようですが、窒素化合物は、原料は空気中にあるが、合成するのにエネルギーが必要だということなんですね。しかしこれはエネルギー問題に含まれるので、農業プロパーの問題ではない。すると農業プロパーな問題としては、リンとカリということになり、どちらも輸入に頼るしかないが、特にリンが問題だということですね。しかもその主要な輸入先に登場するのが「中国」!しかも世界的に資源が枯渇しているという…。
 しかし、資源が枯渇するといっても、地球からリンが消滅するわけではなく、要するに環境にバラ撒かれてしまっているというだけのこと。そこでリンの回収技術の話になってくる。それに関連した論考がこれ↓
リン資源枯渇の危機予測とそれに対応したリン有効利用技術開発
https://www.jseb.jp/wordpress/wp-content/uploads/04-02-087.pdf

 この論文は次のように締められている↓

> リンは食料生産など人間活動にとってなくてはならない物質である。そ
> のリンのもとになるリン鉱石が今世紀後半には危機的状況になる予測
> ついて述べた。国内でのリンのリサイクル技術の開発はまだ始まったば
> かりであるが,下水汚泥からのリンのリサイクルは深刻な富栄養化問題
の解決にもつながる重要技術であると大変期待されている。もし,わが
> 国がリンのリサイクルシステムを逸早く確立すれば,地球的規模でのリ
> ン資源枯渇の危機を回避することに貢献できる。【後略】

 財務省も無意味にカネをケチるのをやめて、世界の食糧危機を救う日本の技術にカネをどんどん注ぎ込んでほしいものですね。
475:わっぱ :2020/07/01 (Wed) 06:22:53
>>473
mespesadoさん、そうなんですね。

私は自然農ですから、畑には肥料も堆肥も入れません
なのにどうして作物が育つのかと言うことなのですが、
窒素は空気中の窒素(気体)をマメ科の植物にくっ付いてる根粒菌が土中に固定(窒素固定)してくれます。
ただし、逆に微生物が増えすぎると今度は微生物が増えるときに窒素を使ってしまうために窒素飢餓になります。
というふうに、実は窒素、リン、カリは土壌微生物が作り出しているのです。
土壌微生物は大きく分けますと、
蛋白質分解菌群
セルロース分解菌群
油脂分解菌群
デンプン分解菌群
に分けられます。
端的に言いますと、
こういった土壌微生物たちが有機物をエサにしていろんなミネラルを作ってくれます
ですので、自然農で一番大事なことは、この土壌微生物を如何に活性化させるかなのです。
玄米乳酸菌はこういった土壌微生物のエサにもなります。
多量元素である窒素、リン、カリ
微量元素であるマンガン、鉄、銅、ホウ素、亜鉛、モリブデン、カルシウム、塩素、マグネシウム等
作りだされた微量元素はキレート作用によって土を構成する砂粒にくっつきます。
こうして土は団粒構造へと変化していきます。
また、微量元素が不足すると、味の低下、栄養素の低下、抗酸化作用の低下、抵抗力の低下などを引き起こします。
そして、微量元素の偏り連作障害を引き起こす原因の一つになります。
ちなみにこの土壌微生物の構成は腸内細菌とほぼ同じようです。
土壌微生物の話しはセミナーなどでしていますが、
この部分だけでも2時間~3時間ぐらい話します(^_^;)
文章にするとかなり長くなるので、今度お会いした時でも機会があればお話ししますね(^_^)
【追記 2.7.18】「②実践的棚田論」につづく堺のおっさんの発言です。

475 名前: 堺のおっさん 2020/07/02 (Thu) 07:56:45
地元の農家の言い伝えにへえ~と思うものが。

「水不足の時は稲は豊作」
何を言ってるのかさっぱりわかりませんでしたが、

稲の生育は地温25度以上の積算時間で決まります。

もちろん肥料の差や他の条件、
ジャンボタニシや
イネ青虫、一文字セセリ、カメムシなどの害虫もありますが

なによりも稲がどれだけ分けつするのか。

ため池から水を取ることが多い泉州地方では
雨が少なく、水が少ない時は簡単に水争いが起こる。

たっぷりとは田んぼに水を張れない。

しかも晴れの日が多い。

すると、地温を上げようなんて考えなくても…
強制的に地温がぐんぐん上がってしまう。

結果、その他の条件は置いといて、稲はグングン成長する。

なんだそういうことだったのか、と。
今年はどうでしょうか。

雨は多い。晴れの日がやや少ない。

おそらくよくて平年並み。
地方によっては悪いでしょう。

稲作の水管理。
もっと言うと、水位管理の徹底による地温確保

これがわかれば、よほどの日照りか雨続きでもない限り
それなりの収穫ができる第一歩です。

ほとんどの農家が春先の荒起しから田んぼの準備を始めますが、

水位管理の重要性がわかっている農家は秋の収穫後から
田んぼの凸凹を修正し、
水漏れ箇所をこまめに修復したり
来年の準備をキチンとやっていました。
稲は実際ほとんど肥料をやらなくても育つ作物の代表です。

ほとんどの農家が肥料で育つものだと思っている。
水位管理のきちんとできる手入れの行き届いた田んぼでは
無肥料でも稲は育つ。

それがわかれば、化成肥料が輸入できなくなっても
おコメは作れます。
ただ…
手間ですが(笑)
476 名前: 堺のおっさん 2020/07/07 (Tue) 10:50:02
田んぼの地温管理の基本は水位管理。

最初はめんどくさいどころか、時間はかかるは、
なかなか思う水位に調整できないは…

田植えして1カ月。
ようやく思うような水位管理ができるようになった。

すると、やはり結果は良好で遅れていた部分も分けつをはじめ、

進んでいた部分ではすでに30本を超える株数を確保できた。

いつもの悪い癖が出てきて、

ここまできたら、無農薬どころか、無肥料(ぬかや堆肥)もいれずに
どこまで収穫できるかに挑みたくなってきた。
分けつは全体にやや遅め、
しかし徒長気味(先行株はすでに40センチ)の太い株が主流。

さてどこまで行くのでしょう。

品種は山田錦ですが。


なお、分けつが遅いと何人かに相談したところ
肥料が足らないとの共通アドバイスであった。

何か入れようかなと思案中のある日…
その日は梅雨の合間のピーカン。
水温も38度。

観察していると、何やらあぶくが盛んに出ている。

いわゆる湧いたとかいうやつで、メタンなり硫化水素が盛んに出ている。

この状態で肥料を入れたら余計に湧いてしまう。


と言うことで、田植え18日目で全部水を抜いた。
中干しほどではないが水たまりからのあぶくも収まり、
3日ほどでガスが減った状態にもっていくことができた。

すると、分けつを盛んに行い始めた。

以降、12日。水を入れては抜く作業を4回繰り返す。

細い所と太い所の差はあるが平均で20株手前までリカバリー。

おコメも結局は根っこを育てなければどうにもならんと言うことでした。

そんなの常識の80歳代の古老にバカにされそうなレベルのお話。

あ、若い人はほとんど知りません。

と言うか、肥料で育つものと信じているのでピンと来ていません。ね
477 名前: 堺のおっさん 2020/07/11 (Sat) 21:38:07
大雨続きの天候。

ここまで雨量が多いと、田んぼの水入れもほとんどやらなくていい。

それどころか、むしろ水を抜くことに気を遣わなくてはいけない。

毎日観察していて確信したことは、
ここまで日照不足の時には無肥料栽培では
水深の深いところほど稲の成長が遅れる

当然分けつにも差が出てしまう。

こうなると水深管理どころか、むしろきれいに抜いてしまうとよい。

実際に水の残るところと、抜けているところの地温を
温度計を差し込んで測ると、
1~2度もの差が出る。

稲は地温25度以上の積算温度と書いたが、

実際に曇りの日に水のたまりやすい部分も
25度以上にするには水を完全に抜かないとならない。

抜いてしまうと、除草剤も撒いていないので、雑草がチラチラ出てくるが、

それ以上に、分けつを促さないと元も子もない。


ところどころに残る水を抜くのは結構手間。
しかも毎日雨が降るので、水がたまればまた抜くの日々。

おかげで、極端な日照不足にもかかわらず昨年よりも結果が良い。

本当に目からウロコの経験だ。
稲の無肥料栽培。そのノウハウのポイントは地温管理にあり。

なお、今年の周辺の田んぼで、6月15以降に
田植えをした田んぼは、ほぼ不作決定の状態。

日照不足にもかかわらず、たっぷりと水を張り、
地温を上げる手立てをしていないからだ。
478 名前: 堺のおっさん 2020/07/19 (Sun) 04:30:02
7月の大雨と日照不足で全国的に農作物に打撃。

コメも田植えのタイミングで出来の差が歴然。

遅い田植え(私の周辺では6月15日ごろ以降)の田んぼは
未だに2~3週間遅れの様相。

さらに観察をしていて気付いたこと。

田んぼの水深の深いところほど遅れている。

日照が十分で気温、水温、地温共に高ければ稲がそろう。

しかし、日照不足と低温時には根の成長を決める地温に差が出る。

たまたま、田んぼの凸凹で水深が浅かった部分の地温は気温に近く、

特に水深が浅く露出している部分は地温も高く稲の成長も比較的進む。

水深の深い部分では、地温が低く苗のまんまで止まっている例もあった。


これは26年前(?)にあったタイ米輸入騒ぎの時以来の不作もあり得る。

8月まで梅雨がずれ込み、全国的な低温と日照不足が原因だった。

今年もこのパターンがあるかもしれない。

また、最悪そうなるかもしれないと考えて対策しないといけない。

近所の農家は「天気予報では25日には梅雨が明けて遅れは取り戻せる…」
と
楽観的な見立てをする人がほとんど。

しかし、それはあくまで希望的観測で今年の遅れはその域を超えているようだ。


対策は日照不足時でも地温を上げるために
地面が露出するくらい水を抜くしかない
低温時は化成肥料でも効き目が低いこともわかった。

予定通り7月25日ごろに梅雨が明けて日照と気温が戻ればまだしも
ずれ込んだ場合、コメの不作は決定的だ。



水を抜くと草も生えてくるが、草は取れば良い。

成長不足は取り戻せない。

何事も最悪を想定して実行する。

その上で…あとは天任せで楽観的に行く。
希望的観測は後悔を招くだけだ。
【追記 2.7.18】
479:堺のおっさん:2020/07/21 (Tue) 20:30:06
今日まで4日連続晴天が続いた。
水を抜いた田んぼで根張りのスイッチが入った遅れた苗も
この晴天で一気に成長。まことに稲はお天道様が育てる
昨日ひび割れが深くなりかけていたので、久しぶりに水を入れた。
30度を超える気温になれば、水温、地温も上がる。
10日分ほどは後れを取り戻せたと思う。
2日ほどで自然と水が抜けていくので、今度は出穂に備えて
乳酸菌を水を張る前に散布する。
なお、水を抜いたおかげで部分的に草が繁殖。
本日は歩ける田んぼで除草におわれる1日。
水を張った田んぼで除草するのは愚の骨頂だ。
根を痛めるだけ。
何より歩ける田んぼは作業効率が格段に速い
明日からまた雨模様の予報。
本格的な梅雨明けはまだ遠い。
なお、田植え直後から2週間は特に要注意のジャンボタニシ(スクミリンゴ貝)。
これからは水を張るたびに拾ってきては、田んぼに投げ込む。
彼らが新しい草を掃除してくれる。お友達待遇。
田んぼの繁忙期ももうすぐ終わりだ。
【追記 2.8.4】
480堺のおっさん:2020/08/03 (Mon) 09:10:04
今年の梅雨は、梅雨と言うよりも豪雨続き。
こうした雨の降り方は低温もあいまって、
どんな作物にも悪影響を与える。

さて、お米の話
梅雨が長引き、やはり全国的には不作となる模様。
8月からの晴天で後れをかなりリカバリーしたとはいえ、
平年並みのリカバリーではない。
草が生えるリスクを冒して、水田の水を約1ヶ月抜き倒し
私の田んぼでは、昨年以上の成長を達成できている。
ただ、面白い特徴があって、育つ株はトコトン育ち、
遅れている株はそれなりに育つというように差が歴然。
いわゆるマダラ状態。しかし、トータルでは前年以上。

昨日まで3日かけて、歩けるところまで乾いている田んぼで除草作業を行う。
その後乳酸菌液肥を投入。今日から久しぶりに水を張る
ここまで水を抜いたのは初めてであったが、
驚いたことに、むしろ水を抜いたほうがイネは生き生きとしている
当然ひび割れもあちこちに出来、亀裂もこれ以上はヤバいくらい。
それでも、分けつをしながら稲は育つのだ。
稲は水で育つという思い込みは強い。
陸稲ならいざ知らず、水稲であっても
最低限の水で育つことを実証できたことは収穫である。
課題は除草のみ。
これからは出穂の準備。これも水をあまり入れずにやってみようと。
いったいどんなコメができるのだろうか。
少なくとも、かなり根が深く張っているので、
倒伏の危険性は格段に低いと思われる。
台風もドンと来い、と言うところでしょうか。

余談であるが、猛暑の中での除草作業は正直キツイ
作業着が搾れるほどの汗をかき、水も2Lは飲んだだろうか。
おかげで、体が軽い!
農業は健康産業でもある。(笑)
【追記 2.8.12】
482堺のおっさん:2020/08/11 (Tue) 20:50:01
7月までの雨続きが、8月に入り一転して猛暑続き
さすがに今日の地方によっては40度超えの高温はこたえた。
稲は積算温度の原則通り、今一つだった田んぼも様子が変わる。
遅れがちだった稲の成長も急速に回復。
しかし、今度は高温障害が心配、とまあ収穫までまだまだ分からない。
そして、水も足りるのか
昨今の異常気象は、あらためて気候の極端化現象と思い知る。
つまり、真逆の気象に備えなければ農業はできないということ。
【追記 2.8.16】
483堺のおっさん:2020/08/16 (Sun) 08:24:46
西日本では…
7月は大雨。
8月は渇水。
これからコメは花が咲き始める。
水不足にならないといいのだが。
この場合、百姓は水を引くときに
必要以上に引いておく人がほとんど。
それで、余計に水不足を加速する。
ひび割れするほどの渇水は影響するけど、
湿っている限り、コメは登熟します。
今年は最低限の水加減に挑戦です。
【追記 2.10.6】
484 名前:堺のおっさん 2020/09/24 (Thu) 19:01:11
名古屋一郎会から帰宅した後…
たった2日田畑を見ていないだけで恐ろしいことが。
うんかの大発生で近隣の田んぼが様変わり。
坪枯れなんてもんじゃない。
田んぼ丸ごと全滅のところもあって、何とも痛ましい。
これほどひどいうんかの被害は初めて目撃した。
我田んぼの近くもかなりやられていて、いつ飛んでくるのか戦々恐々。
対策は風通しを良くするしかない。薬は絶対まきたくないし、
撒いたら撒いたで、抜けるのに1か月かかる。
慣行農法的にも刈り入れが遅れることになり、今さら手遅れ。
そんなこんなであたふたと草刈り作業にいそしんでいたのですが…
どうもうんかの被害には会わずに済みそうな噴霧器。
それを確信したのは、我田んぼだけ大群の赤とんぼの群れが。
それ以外にもいわゆる益虫と言われるクモやカエルの大軍
慣行農法の田んぼにはトンボが全く寄り付かない。
そりゃそうだ、捕食する虫がほとんどいないのだからしようがない。
そういうわけで、乳酸菌農法はうんかにも一定の効力があることと。
それがわかっただけでも、収穫であった。

486 名前:suyap 2020/09/24 (Thu) 21:54:12
>>484 堺のおっさん
田んぼとうんかの被害、ほとんど知識がなかったのでググッてみました。
坪枯れを起こすのはトビイロウンカという種類らしく、なんと日本では越冬できず毎年ベトナムや南中国から渡ってくるらしい。
そしてちょうど田植えの時期に稲の根元に住み着き、出穂期に第二世代、そして刈り入れ前頃に第三世代が坪枯れを起こす...らしい。
https://www.kumiai-chem.co.jp/pyraxalt/about_unka.html
↑↑
こちらのサイト真ん中やや後半あたりのチャートが参考になりました。
乳酸菌たっぷりで生物多様性に富んだ堺のおっさんの田んぼには、初めからうんかは住みつけなかったのでしょうね。
逆にうんかが住みつけるような環境の田んぼは、強力なクスリで殺すしかない...
今年は渡ってきたうんかが多いのでしょうか?

487 名前:堺のおっさん 2020/09/25 (Fri) 08:18:26
>>486
suyapさん
私の田んぼもよくよく観察すると…
うんかの痕跡が見られます。
ギリギリ、広がらない程度で収まっていたと。
ある意味、うんかも自然界の構成要素なのですね。
うんかの種類は確認できませんが、
おそらく渡ってきたものだろうと思います。

489 名前:堺のおっさん 2020/10/03 (Sat) 08:26:23
そろそろ稲刈りシーズン。
うんか被害は西日本で猛威を振るい、周辺でも一反丸ごと全滅も。
自然農法を名乗る田んぼにもうんかは被害をもたらした。
もちろん慣行農法での田んぼも、大いにやられた。

よく観察すると、やられる田んぼには共通項がある。
それは実り過ぎと言うこと。
株間15センチに詰めて田植えしている田んぼや、
分けつがおおいに進み結果密植状態になっている田んぼである。
私の田んぼは肥料もやらないので、分けつも30本には届かない。
しかも株間30センチの粗稙。
風通しも良いし、天敵がうんかを発見して捕食しやすい環境。
同じ自然農法の中でも明暗が分かれた原因はここにもあると。
多収を目論み、結果うんかにやられる。皮肉なものだ。

490 名前:堺のおっさん 2020/10/06 (Tue) 19:07:44
本日、棚田の山田錦を稲刈り。
不思議なくらいウンカも入らず、昨年よりも2割増収となった。

自然栽培のグループの田んぼは他にもあるがなぜか盛大にウンカが入った。
何が違うんだろうとあれこれ考えたが、やはり運が良かった?
たった一つ思いつくのは、私の田んぼは乳酸菌以外
これと言った資材を入れていないこと。
無肥料ではないが、慣行農法の農家から見れば
そんなので育つものかと言うお話。
それが育ってしまったのだから、不思議なもの。
微生物による地力は目に見えないがきちんと結果を出す。
いっぽうで、慣行農法では反収600Kgを目指すが、
無農薬・無肥料ではそれはとても無理。
そして、600kgもの反収はただの肥料太りととらえる。
地力だけで400kg取れれば万歳の世界。
過ぎたるはおよばざるがごとし?

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めい

堺のおっさんの発言、追記しました。
《近所の農家は「天気予報では25日には梅雨が明けて遅れは取り戻せる…」と
楽観的な見立てをする人がほとんど。
しかし、それはあくまで希望的観測で今年の遅れはその域を超えているようだ。

対策は日照不足時でも地温を上げるために
地面が露出するくらい水を抜くしかない。
低温時は化成肥料でも効き目が低いこともわかった。
予定通り7月25日ごろに梅雨が明けて日照と気温が戻ればまだしも
、ずれ込んだ場合、コメの不作は決定的だ。》
by めい (2020-07-19 05:25) 

めい

堺のおっさんの発言、追記しました。
《今日まで4日連続晴天が続いた。水を抜いた田んぼで根張りのスイッチが入った遅れた苗もこの晴天で一気に成長。まことに稲はお天道様が育てる。・・・10日分ほどは後れを取り戻せたと思う。》

by めい (2020-07-22 05:29) 

めい

堺のおっさんの発言、追記しました。
《驚いたことに、むしろ水を抜いたほうがイネは生き生きとしている。・・・稲は水で育つという思い込みは強い。陸稲ならいざ知らず、水稲であっても最低限の水で育つことを実証できたことは収穫である。
課題は除草のみ。》
by めい (2020-08-04 05:17) 

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