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菅井敬一郎先生への弔辞 [弔辞]

菅井先生 米澤日報.jpg選挙の前に「行かねば」と思い、結局行けなくて、終わった今こそ「行かねば」と思っていた矢先の訃報だった。まったくの家族葬でということで、式場には家族の分だけの椅子しかなく、ご焼香のみさせていただいてきた。用意した弔辞は御霊前に捧げていただいた。息子さんとの話も、千葉に住む娘さんも来られていることなので接近は避けての会話だった。消え入るようにして旅立たれた風だった。ずっと気になりつづけていた菅井先生との突然の別れだった。享年88歳。(右は「米沢日報」2013.10.11)

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         弔 辞
 お会いしにに行かねば行かねばと思っていた矢先の思いがけない訃報、驚くとともにほんとうにほんとうに申し訳なく思っています。菅井先生の幼児教育に寄せられた業績をしのびつつ、思い出をふりかえらせていただくことで、せめてもの償いとさせていただきたいと思いこの場に立っています。
 菅井先生には、「宮内認定こども園」が、まだ「宮内幼稚園」であった平成十一年に、学校法人南陽学園の理事にご就任いただきました。全国的にも地域的にも少子化の波が押し寄せてほんとうに厳しい園経営が迫られるようになっていた時代でした。理事としての責務も、それ以前には考えられないほど重くなりつつある時期にあって、理学博士でありつつ南陽市教育委員長も務められた菅井先生の存在感は、理事会にとって実にかけがえのないものでした。理事会を無視した園長の独走に対する菅井先生の強い諭しは今も忘れることができません。その菅井先生の厳しい姿勢に、理事一同、責任の重さをあらためて強く認識させられることになったのでした。
 先生が理事になられて四年目のことでした。日本キリスト教団宮内教会の牧師と兼務する宮内幼稚園の園長なのですが、若い牧師が派遣されてきてもなかなか落ち着かず、そんな中ついに窮して菅井先生に園長をお願いするほかはないということになりました。私と大友理事が襟を正してお願いに上がったときの記憶は今も鮮明です。菅井先生にとって寝耳に水のことだったのですが、二人は粘りに粘って口説き落とすことができました。その時は三ヶ月だけのピンチヒッターのお願いだったのですが、後任が見つからず結局、平成十五年四月から十八年三月まで、がんばっていただくことになったのでした。
 菅井先生が園長に就任された平成十五年、一年おくれになっていた創立五十周年事業が開催されました。地域に根ざした菅井先生のリードによって保護者会の力がいかんなく発揮された事業となりました。市民会館大ホールを満員にした、宮内幼稚園同窓生ピアノコージさんの感動的なゴスペルコンサートも菅井先生の人柄と人脈あってのことでした。
菅井先生 山形新聞.jpg 記念事業を終えて間もないこの年の十二月に山形新聞の「提言」に寄せられた文章があります。「人格形成、幼児期が大切 幼保連携、行政にも望む」の見出しで、記念事業を振り返りつつ、最後は「多くの幼児に、保護者の経費の負担の少ない幼稚園教育を受けさせたい。特に、公立私立幼稚園間の保護者負担の格差を是正し、公的負担の充実・改善の施策を、保護者とともに関係当局に切望する。」と結ばれています。以来二十年近く、時代は確実に菅井先生のお考えに沿って動いてきました。今こそ幼児教育の重要性が広く行き渡るようになりました。
 菅井園長の就任によって園はようやく落ち着きを取り戻すことができました。三ヶ月の約束が一年になり、さらに二年延びて、近藤園長においでいただくまで、結局三年間務めていただくことになりました。その後はさらに十一年間にわたって監事として園の重石になっていただきました。菅井先生がそこにおられるだけで安心できる御存在でした。
 体調を崩されて入院され、その後娘さんの元に行かれたと知りお電話でお話ししたのが最後でした。宮内の施設に移られたのを知りすぐにも駆けつけねばならなかったのに、ついぐずぐずしてお会いできぬままにお別れすることになったのが悔やまれてなりません。まさかお会いできなくなるとは思ってもいませんでした。どうかお赦し下さい。
 先生にはいつも園のことを心にかけていただいていました。私も十五年間務めた理事長職をこの四月から宇津木副理事長にバトンタッチしたところです。いろんな問題に直面しながらも地域の将来を担う子どもたちのためにみんながんばっています。どうかこれからもお見守りお支えつづけてくださるようお願い申し上げ、心残りでならない菅井敬一郎先生へのお別れの言葉といたします。
 先生、ほんとうにもろもろ、ありがとうございました。

  令和二年四月八日
    

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