SSブログ

ウイルス統計の裏を読む(田中宇) [現状把握]

昨日の記事のつづきです。

積極検査する国がある一方で、日本のように検査せず隠す国も多いのに、検査数と比較しないまま統計上の感染者数だけが独り歩きし、それをもとに「専門家」がしたり顔でテレビとかで解説している。全く(笑)な状況だ。国際政治的に、意図的な歪曲がありそうだ。》《病院での死後検査のさじ加減を変えるだけで、死者統計をいかようにも操作できる。どの国が、どんなさじ加減でやっているか不確定だ。コロナ統計がインチキでないと言い切る人は、専門家のふりをした詐欺師(さじ加減を決めている集団の要員)だ。》

冷静に事態を見つめるための必読記事です。

*   *   *   *   *

ウイルス統計の国際歪曲

2020年4月6日   田中 宇

米政府は、今週が新型ウイルス感染の山場・最も苦しい1週間になると宣言した。米国の感染者数は世界一で、ニューヨークを中心に感染者や死者が急増している。しかしこの急増は、必ずしも事態の急激な悪化を意味していない。というのは、米国ではウイルス感染に関する検査がものすごい勢いで行われているからだ。米政府は、3月中旬からPCR検査を急増しており、今や総検査数は176万件で、世界的にダントツの第1位だ。検査数が急増したら、必然的に感染者数が急増する。米国が世界一の感染者数なのは、事態が世界一悪いからでなく、検査数が世界一多いからにすぎない。統計数字は「米国の事態の悪さ」を示しているのでなく「多数検査という米国の政策」を示しているにすぎない。このからくりは、ほとんど報じられていない。 (Live tracker: How many coronavirus cases have been reported in each U.S. state?

米国の統計上の感染者数は33万人で、検査数に占める感染率が19%だ。米国に次いで検査総数が多いドイツは、100万件の検査に対して10万人の感染なので感染率は10%だ。韓国では24万件の検査に対して感染者1万人、感染後治癒が6千人で、治癒含む感染率が6%だ。米国の健康保険制度が劣悪で、ドイツの医療体制が世界有数であることを考えると、米独の感染率は妥当な感じだ。韓国も医療体制が良いし、BCGも関係しているかもしれない。英国では検査15万件、感染者4万人で、感染率が27%で米国より高い。これら以外の国々の検査数は、ざっと調べた範囲でわからなかった。検査数の統計は、世界的にほとんど整備されていない。各国の検査数を列挙した頻繁更新のまとめサイトもない。前提が国によってものすごく違う(積極検査する国がある一方で、日本のように検査せず隠す国も多い)のに、検査数と比較しないまま統計上の感染者数だけが独り歩きし、それをもとに「専門家」がしたり顔でテレビとかで解説している。全く(笑)な状況だ。国際政治的に、意図的な歪曲がありそうだ。 (Germany conducting more than 50,000 coronavirus tests a day

統計上の死者数も、別の意味で要注意だ。世界的に、イタリアの致死率が非常に高い(感染者の12%が死亡、百万人あたり263人が死亡)。スペインも似たような数字だ。しかし、イタリアの死者の99%は、他の病気を持っている「持病持ち」で、死者のほとんどが高齢者だ。新型ウイルスの死者統計は「新型ウイルスが原因で死んだのかどうか」が重要だ。今のイタリアのように医療体制が満杯で、院内感染が避けがたい状況だと、他の病気で入院している死ぬ間際の免疫が低下している人は大半が新型ウイルスに感染した状態になる。病院で死んだ人に対して死後のPCR検査を積極的にやると陽性がどんどん増え、それをそのままコロナ統計に載せると死者数や致死率がすごい数字になる。どこの国でも、毎日何万人もの人々がいろんな病気で死んでいるのが昔からの日常だ。病院での死後検査のさじ加減を変えるだけで、死者統計をいかようにも操作できる。どの国が、どんなさじ加減でやっているか不確定だ。コロナ統計がインチキでないと言い切る人は、専門家のふりをした詐欺師(さじ加減を決めている集団の要員)だ。 (99% of Those Who Died From Virus Had Other Illness, Italy Says

イタリアやスペインは以前から財政難で、いろんな口実を考えて、ドイツや北欧などEU内の財政緊縮が好きな諸国を説得・加圧して、EUとして財政難な諸国を支援する政策を出させようとしてきた。リビアから地中海をわたって欧州に難民が流入した時も、イタリアは裏で難民(違法移民)の流入を加勢して難民危機を醸成し、危機を理由にEUがイタリアにカネを出す構図を作ろうとした(ドイツが頑強に反対した)。同様の構図で今回、EUでは、ウイルス感染と都市閉鎖に苦しむ諸国に財政支援する案が出ている。ドイツがカネを出すのでなく、ユーロ圏全体としての「コロナ国債」を発行し、それを欧州中央銀行がQE(造幣)によって買い支える案も出ている。これらを実現する際に、イタリアやスペインでウイルスの感染者と死者が急増し、医療崩壊がひどくなっているという構図がとても役に立つ。イタリアやスペインの政府は、コロナ統計にすごい数字を載せるため、意図的にどんどん死者を検査している疑いがある。Majority of EU countries want corona bonds – Germany wants to help differently

米国でも、ニューヨーク州でのコロナ死者の99%が他の病気を持っていたと指摘されている。米国のコロナ死者数はイタリア、スペインに次いで世界第3位で、NY(+NJ)は米国の米国感染の半分を占めている。米国も、トランプ政権の(おそらく隠れ多極主義的な)意図に基づいて事態の悪化が加速されているようなので「99%トリック」が使われているのだろう。米国の場合、検査数(=感染者数)を急増させているので致死率はあまり高くない。 (New York Data Confirms Once Again - 99% of Coronavirus Fatalities Have Pre-Existing Conditions - 94% of Fatalities Over Age 45! ) (According to CDC: 0.2% to 1.8% of All US Deaths Since February are Confirmed or Presumed to be Due to COVID-19 -- And They Want to Destroy Economy Over This?

日本は米国などと逆に、コロナ検査をできるだけやらない方針だが、毎日の検査数をどうするかのさじ加減は政府が握っている点は米国などと同様で、日々の感染者統計も操作された数字だ。五輪の延期を決めた直後から、日々の感染者数が数日ごとに100人、200人、300人と増えていくよう設定されてきた観がある。米国が「最も苦しい1週間」を宣言したのに連動するように、安倍首相はイメージだけ衝撃的な「非常事態宣言」を発しようとしている。安倍は、トランプと連動している。トランプが子分の安倍に「五輪を延期してオレと一緒にコロナ危機を醸成しろ」と命じたっぽい。トランプは米経済(中銀ネットワーク、金融界)をぶっ潰したいから壮絶なコロナ危機を扇動し始めているが、安倍はもっと現実的で日本経済を大事にしたいので「非常事態を宣言しても行動の強制はできません。お店は目立たないように開け続けてもいいですよ」みたいな感じでやっている。Coronavirus Cases Rise Sharply, as U.S. Braces for Most Challenging Days Ahead

コロナ危機は今後も延々と続く。米国では全米40州あまりで都市や地域の閉鎖(ロックダウン)が行われている。米政府当局(CDC)は「新たな感染者や死者が出なくなるまで閉鎖を続ける」と宣言した。あと3か月ぐらい(6月末ぐらいまで)は閉鎖が続くのでないか。ワクチンの開発にかかる時間は18か月でなく5-10年だ、という(常識的な)説も出てきている。来年になればワクチンができてすべて解決する、というのは幻想だ。 (The timetable for a coronavirus vaccine is 18 months. Experts say that's risky) (Corona econwar2 v!!!! Fauci Says Lockdown Will Continue Until There Are No "New Cases" Of COVID-19

危機は長期化し、失業増、人々の生活苦がひどくなる。金融の再崩壊や銀行の取り付け騒ぎ、流通ルートの崩壊による食糧難と飢餓、暴動、州政府の財政破綻などの発生が予測される。有事なので、事態が悪化しても現職の権力者であるトランプの人気は下がらない。危機は延々と続くのだから、日本は閉鎖をやるべきでない。日本は今の状況で、世界に比べたら十分に感染拡大が抑制されている。中身のない非常事態宣言でマスコミを空騒ぎさせる現状ぐらいでちょうど良い。長期戦になるのだから、早々と人々に現金やマスクを配ったりして財政を無駄遣いしてはダメだ。医療的にでなく国際政治的に、これから何が起きるかわからないのだから、お金は大事に使うべきだ。 (Looting Wave Strikes New York City Amid Coronavirus Lockdown

都市閉鎖について「閉鎖をせずに人々の行動を放置すると、多くの人が無症状や軽症のまま感染が拡大して年内にに集団免疫ができてしまい、コロナ危機が自然に解決してしまう。医薬品業界がせっかくワクチンを開発しても売れ行きが悪くなる。各国政府を支配するエリート層にとって、これは歓迎できない。だからエリート層が各国政府に強い圧力をかけ、世界中の大都市で閉鎖(ロックダウン)政策をやらせ、感染拡大つまり集団免疫への進行を阻止し、ワクチンが先に開発されるように仕向けている」といった、ある種なるほど的な陰謀論が出てきた。ビルゲイツがインタビューの中でうっかり示唆してしまった話だという。集団免疫を国策にしようとした英国のジョンソン首相はコロナに感染させられ、症状が悪化して入院し、死の瀬戸際に追いやられている。 (Did Bill Gates Just Reveal The Real Reason Behind The Lock-Downs?

この陰謀論をもとに日本政府の昨今の行動を見ると、妙に納得がいく。安倍も「東京を閉鎖しろ」「ワクチンができるまで集団免疫を形成するな」という米欧の国際エリート層からの圧力を受けている。だが、閉鎖をできるだけやりたくないので「感染爆発しそうだ。外出自粛せよ」と、首都圏の人々を脅し、恐ろしげな非常事態を宣言しつつ、同時に「日本の今の法体系では、これ以上の強制はできません。閉鎖は無理です。敗戦国ですからね。75年前に今の日本の法体系を作ったのは米欧エリート様たちご自身ですよ。わが国の国是は対米従属なので、ご無理ごもっともですけどね」と言っているのでないか。敗戦国万歳

 



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。