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「屈託」がどこから生ずるか [日記、雑感]

孫の写真・動画が毎日送られてきます。生まれて9ヶ月、送ってくるのはいい写真ばかりです。屈託のないまさに天真爛漫です。見るたびに気持がほぐれます。幸せな気分になります。こんな子どもも、育つにつれて「屈託」を身につけ、「天真爛漫」から離れてゆくのでしょうか。屈託とは? ( 名 )気にかかることがあって、心が晴れないこと。ひとつのことにこだわって、くよくよすること。》天真爛漫】 飾らず自然のままの姿があふれ出ているさま。 生まれつきの素直な心そのままで、明るく純真で無邪気なさま。 ▽「天真」は純粋な性格、「爛漫」は自然のままに輝き現れる様子。》

書きかけの記事が二つありました。「屈託」がどこから生ずるか、に関わります。「屈託」の起源、そのひとつは「損得感覚」、もうひとつは「勝他の心」です。以下、それを思わされた二つの山形新聞記事です。

*   *   *   *   *

①教育現場に押し寄せる「損得感覚」
内田樹 山新1.12.12.jpg教育現場における残業問題ですったらもんだらさせられる。労働行政感覚では、教育現場も工場労働も同じだ。「労働者は経営側に時間を売って賃金をもらう」的発想で一律化しようとしている。「働くことが喜び」、日本古来の労働観がどんどん壊されてゆく。「働く→人のために役立つ→喜び」的発想が「働く→金を得る→楽して多く貰いたい」的発想に変えられてゆく。その波が、幼児教育分野にも容赦なく押し寄せる。幼児教育・保育の仕事は、「働くこと自体が喜び」と言える仕事のトップクラスなのに。
12月12日の山形新聞にいい記事が載った。内田樹(たつる)氏の発言、「教育現場 工場ではない」。
・学校教育は工場生産とはちがう
《学校を出る子供たちを待っているのは「市場」ではない。子供たちを待っているのは「集団」である。彼らをそのフルメンバーとして迎え入れ、その共同体の未来を託そうとしている人々である。子どもたちに何よりも求められているのは、「市場のニーズ」に合わせて自己形成することではない。いずれ共同体をその双肩に支えることのできる「まっとうな大人」に成熟することである。》
・「成熟」とは
《「成熟」というのは、言葉を換えて言えば、「複雑化」ということである。生物の「進化」と同じである。成熟するにつれて」、子どもたちの思考や感情は複雑になり、多彩になる。表情や話し方が豊かになり、陰影が深まる。立場や状況が変わるごとに果たすべき役割に最適化できるようになる。「いるべきときに、いるべきところにいて、なすべきことをなすことができる」それが「成熟」ということである
・「自分らしくあれ」はむしろ有害
《日本の集団は「同質化圧(みんなと同じようになれ)」が強いと言われているが、私はむしろそれ以上にこの「自己同一化圧(常に自分らしくあれ)」の方が有害であるように思われる。》
男が引きずる《嫉妬心や競争心の影》

(山形新聞「気炎」2019年12月20日)

女性の<無私>    
天見 玲

 《とても敵(かな)わないな》と思う。女性の、とくに老女の〈無私〉の笑顔に出会った時である。
 先日、3歳の孫を連れてレストランに行った。家内がレジで支払いをしていると、同じく食事を済ませた老夫婦がゆっくりとレジにやってきた。奥方が孫を見つけて「あら、ほんとにめんごいごど(かわいいこと)」と声をかけた。その笑顔表情、声音(こわね)、態度に疑心や私心が少しもなかった。心の底から素直に〈めんごい〉と思ってくれていると感じた。この時も老女に《敵わないな》と思った。
 私に偏屈なところがあるからだろう、私を丸ごと相手が受け入れてくれているかどうか、直感で分かる気がしている。あるがまま受容してくれていると直覚するのは相手が女性の時である。〈無私>という良質を持つ女性が私を丸ごと受容してくれるのである。
 男は年を重ねてもなかなか〈無私〉になれない。 どこかに往年の嫉妬心や競争心の影を引きずっていて、生の生々しさから抜け出し切れない。一方で、差恥心がいつまでも消えず見知らぬ人にく無心>に向き合うことができない。 要するに男性の多くは幾つになっても自分を勘定に入れてしまう。 宮沢賢治が「雨ニモマケズ」の中で〈ジブンヲカンジョウニ入レズニ》 と言ったのはそれがいかに難しいかを知っていたからだ。
 女性はよく笑う。声を出して笑う。笑う回数や笑い声の大きさは男性の比ではないだろう。これも瞬時に〈無私〉になれるかが影響しているのではあるまいか。
 男性は「生かされている」という感覚よりも「生きている」という感覚のほうが強く、女性は逆に「生かされている」感覚が男性より強い気がする。これも〈無私〉と関連するだろう。この見方にさしたる根拠はない。経験や性差にとらわれすぎた私の偏見かもしれない。

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