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「ロシアのアフリカ進出は、裏で中国と組んで展開している」(田中宇) [現状把握]

《サヘルの行き詰まった事態は、2019年ごろからロシアの登場によって変わり始めた。ロシアは2015年に、米軍を使いたくないオバマに頼まれてシリア内戦に軍事介入し始め、2017年ごろまでに内戦をアサド政権の勝利で事実上終わらせた。米国が壊したシリアをロシア(とイラン)が救った。安保面でロシアの信用が上がり、近隣の中東やアフリカの国々が「うちも米国に壊されているので救ってほしい」とロシアに頼み込んできた。 米国の自滅的なテロ戦争の結果、中東からアフリカにかけての諸国が、破壊的な米国を敬遠して、ロシアに覇権拡大を頼むようになった。》

ワグネルについて:米国側マスコミはワグネルについて、アフリカなどで虐殺や犯罪行為を頻発する無能な傭兵団だと喧伝するが、ワグネルはロシアがアフリカ諸国を傘下に入れる覇権拡大活動のために派兵されており、地元の人々に嫌われる犯罪行為をするはずがないし、無能でもない。逆に言うと、ロシアとしては「ワグネルは無能な犯罪者集団なのでロシアの中東アフリカ支配が成功するはずがない」と米国側が思い込んでいた方が、米国に妨害されずに覇権拡大できるので好都合だ。/6月末にプリゴジンがプーチンに反逆して大騒ぎになり、「これでワグネルを使ったロシアの中東アフリカ支配も失敗するぞ」と米側専門家たちがぬか喜びしたが、あれはプーチンが米側にそう思い込ませるための茶番劇だった可能性が高い。 さらに言うと、ワグネルは昨年から兵力不足を補うためにロシアの監獄で囚人たちに募集をかけて入隊させていると喧伝され、ワグネル自体もそれを認めているが、これも事実であってもなくても、「ワグネルは質が悪い」というロシアにとって好都合な米国側の歪曲喧伝を補強する目的があるかもしれない。》

英国系の世論調査によると、ニジェール人の78%が今回のクーデターを支持し、60%が最も頼れる外国はロシアだと答えている。米仏が最も頼れると答えたのはそれぞれ5%未満だった。》

ロシアは、ナイジェリア、アルジェリア、南アフリカといったアフリカの中の大国群が、自国周辺の地域を安定化する「極」として機能することを望んでいる。ロシアは、ナイジェリアが今のような米国覇権に従う国でなく、対米自立した国になってもらいたい。ナイジェリアの??大統領がクーデターで倒され、ニジェールやマリのように米仏と縁を切って親露な国に転換してくれた方がロシアにとって好都合だ。 /ロシアはアフリカを非米化している。だが、アフリカの非米化が加速化するには、ロシアの策略だけでは足りない。世界最大の経済大国となった非米側の雄である中国の姿勢や戦略が重要だ。》《米国がテロ戦争を自滅させてアフリカの治安を悪化させても、以前の中国はあまり対策できなかった。それだけに、近年ロシアが地元諸国に頼まれてアフリカに軍事面で進出し、米国が破壊した治安をロシアが回復してくれるのは中国にとってありがたい。ロシアのアフリカ進出は、中国にもアフリカにも感謝されている。》《アフリカでは全ての国(55)が参加して「アフリカ連合」を作り、アフリカ内部を安定・統合させ、国際政界でアフリカとして統一的な動きをして影響力を増そうとしている。エチオピアにあるアフリカ連合の本部ビルを援助活動として作ったのは中国だ。多極型世界を望む資本家だったロックフェラーが戦後、ニューヨークに多極型国際組織である国連本部ビルを作って寄贈したように、中国(中共)は、アフリカを多極型世界の極の一つにするためのアフリカ連合の本部ビルを作って寄贈した。 習近平の中共は、衰退している米国覇権体制に替わる、多極型の世界体制を作ろうとしている。アフリカ連合は、国連安保理やG20の中に、自分たちの場所を設けようとしている。 アフリカは極の一つになる。そのことはプーチンも、最近のロシア・アフリカサミットの挨拶の中で宣言した。この件で、ロシアと中国は組んでいる。ロシアのアフリカ進出は、裏で中国と組んで展開している。》

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