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中国の長期戦略に翻弄される日本の哀れ(田中宇) [日本の独立]

田中宇の国際ニュース解説会員版「◆世界経済を中国の傘下に付け替える」


要約:《【2023年9月19日】習近平の中国は、ロシアやサウジ、イランなど(や米中枢の隠れ多極派)の協力を得つつ、これまで米欧日など先進諸国の傘下についていた世界経済を、中国の傘下に付け替える戦略・世界経済の非米化を成功裏に進めている。》

1980年代からのトウ小平路線はよく見ると「中国が十分な力量をつけるまでは、米覇権に楯突いてはならない(力量をつけてから盾突け)」という方針だ。・・・世界を非米化する中国の戦略は、習近平が始めたものでなく、少なくとも30年前からのものだ。》中国政府は福島原発からの排水を強く非難したが、それは日本国内での誇張や間違った推論を積極的に援用している。中国がなぜそんなことをしたかというと、それは世界に原発を売り込んでいる中国にとって、日本の原発がライバルだからだ。》→中国の長期戦略に翻弄される日本の哀れ。戦略なき日本・・・移ろうままにのその先には何があるのだろうか・・・絶望とは限らない。
以下、ダイジェスト。

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米国側に入っているのは、米EUなどNATO諸国、日韓、豪NZのみだ(一般に先進諸国といわれる24カ国と、経済的に新興諸国に分類されるが対米従属なので露敵視せざるを得ない韓国)。それ以外の世界の153か国が非米側だ。 /今のところ、94兆ドルの世界経済のうち、54兆ドル(57%)が米国側、40兆ドル(43%)が非米側だ。中長期的に、先進諸国の成長は頭打ちな一方、新興諸国と途上諸国で構成される非米側は成長を続けるので、いずれ比率が逆転する。/人口では、米国側が人類の2割、非米側が8割だ。非米側は人口増加も大きい。ウクライナ開戦で世界が二分された後、非米側は経済だけでなく政治安保的にも対米自立しており、これまで非米側を政治経済的に不安定にする策略を採ってきた米国による破壊策やピンはね策を受けなくなっている。/非米側は経済成長し、人口が多く市場規模が大きいだけに巨大な経済を持つようになる。非米側が世界経済の7割ぐらいを占め、世界の中心になる。

2008年のリーマン危機で米経済覇権の崩壊が見えた後、中共は対米自立へと方向転換して習近平が出てきた。

ウクライナ開戦後は米国でなく中国から資金や技術を得られるので、米国との関係を切れるようになった。/中国の資金や技術があるので、対米従属せざるを得なかった新興諸国や途上諸国は対米自立し「非米側」になれた。米国は従属諸国を支配ピンはねする傾向が強かったが、中国はそれが少ないので、多くの国が中国主導の非米側に入ってきた。》

中国はすでに米国側の技術のほとんどを習得し、他の非米諸国に技術供与できる状態だ。》

1980年代からのトウ小平路線はよく見ると「中国が十分な力量をつけるまでは、米覇権に楯突いてはならない(力量をつけてから盾突け)」という方針だ。・・・世界を非米化する中国の戦略は、習近平が始めたものでなく、少なくとも30年前からのものだ。(もっと前の1955年のバンドン会議など非同盟運動までさかのぼることもできる)》

中国が世界を非米化するにあたり、ロシアは大事な仲間だ。ロシアは、経済規模が中国の10分の1(日本の3分の1)しかない。ロシアの重要さは、経済でなく軍事安保にある。中露の世界運営は、中国が経済を担当し、ロシアが軍事安保を担当する役割分担をしている。/中国は、世界の運営をなるべく穏便・スマートにやりたいので軍事力を使いたくない。中共の上層には親米派もいるので、習近平はできるだけ米国側と対立したくない。米国側が攻撃的なことをやるので仕方なく対処する形にしたい。/ロシアは、中国がやりたくない軍事行動や、米国側への敵対扇動を、中国に代わってやってくれている。》

北朝鮮が経済から国家崩壊せぬよう、ずっと支援してきたのは中国だ。ロシアが北朝鮮との関係を強化したのはウクライナ開戦後だ。ロシアは、米国側から非難されるので中国がやれなかった大胆な北朝鮮との関係強化を進め、中国に代わって北朝鮮を安定させている。/中露は、うまく役割分担して北朝鮮を支援し、極東の安定を維持している(米国側の北朝鮮敵視は極東を不安定にしている)。》

中国は、ロシアがリスクをとってくれている見返りとして、ロシアから石油ガスなど資源類をどんどん買っているし、国際社会での議論でロシアを擁護している。中国とロシアは二人三脚で、米国が不安定化した世界を再安定化している。/非米諸国は、こうした動きを見ているので中露を支持している。米国側では、こうした状況が無視ないし歪曲報道され続けている。》

米国は同盟諸国を脱獄不能な監獄に入れている。先進国は豊かだが不自由で哀れだ。そのうち豊かですらなくなる。途上諸国の方が自由で将来展望もある。米国側より非米側の方が幸せだ。》

豪州も欧州も日本も、中国と貿易しないと食っていけない。敵視策の米国側に対し、中国は安全性問題などいろんな「別の理由」をつけて製品の輸入を止め、隠然とした経済制裁策をとってくる。経済大国である中国は、経済を使って他国に影響を与えられる。中国はすでに覇権国である。》

中国政府は福島原発からの排水を強く非難したが、それは日本国内での誇張や間違った推論を積極的に援用している。中国がなぜそんなことをしたかというと、それは世界に原発を売り込んでいる中国にとって、日本の原発がライバルだからだ。
中共は、自国の原発をうまく世界に売り込むため、ライバルである日本の原発がいかにダメかということを強調(誇張)する策として、福島排水問題で日本を猛烈に非難した。/複数の原発建設を計画しているトルコでは、日本やフランス、中国、ロシア、韓国が受注競争を展開していたが、日本とフランスは脱落し、次の契約は中国が最有望になっている。今後世界が非米化するほど、世界への原発輸出競争は、中露が優勢になり、日仏韓は不利になる。》

欧米日の反原発派も、阻止妨害できるのは欧米日の原発だけで、中露の原発に対しては無意味に文句を言うだけで止められない。「気候危機」もインチキで、温暖化対策は米国側だけを経済自滅させる。非米側は対策をやると言いいつつやらない。 /米国側の市民運動は、隠れ多極派や中露の(うっかり)傀儡になっている。軽信しやすい左翼リベラルを動かしているのは米諜報界の隠れ多極派だと考えられる。》

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