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「世界史が動く」(副島隆彦) [現状把握]

今は、奇妙に静まり返って、音無(おとな)しの構えで、世界中が、何喰わぬ顔をして、知らん顔をしている。それでも、この秋からの世界の金融・経済の動きの中心は、このBRICS通貨と、BRICS債券(ボンド)の制度の発足、開始 の発表である。》

BRICSカレンシーの誕生(おぎゃーと生まれる)と 制度発足のことで、すでに新興大国の首脳たちが、一昨日(9日)から続々と、南アフリカ共和国 のダーバンに集まっている。そして、この世界新通貨体制のことを真剣に話し合っている。/これは世界史上の大事件だ。BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南ア)の5首脳に他に、40カ国の、首脳たちが、「私の国もBRICS に 入れてくれ。この歴史的な大変動に、私も加わりたい」と、どんどん集まってきている。それを、日本のテレビ、新聞は、意図的に、報道しようとしない。「プーチンは、指名手配の犯罪容疑者だから、南アに来れない。代わりにラブロフ外相が来る。プーチンは、オンラインで参加する」という枝葉末節の記事ばかり報道する。》《あまりにも恐ろしいテーマだから、西側(ザ・ウエストG7体制)側の金融評論家や学者たちは、ほんの僅(わず)かも、触れることができない。世界中の金融、経済の予測が、凍りついた状態になっている。猛暑のさ中で、「みんな、世界中、夏休みだー」で、胡麻化(ごまか)している。 こういう時にこそ、世界史が動くのである。》《このBRICSカレンシー(通貨)の始まり、が、どれほどの影響を世界金融体制にもたらすかは、今のところ予測の範囲を出ない。》

BRICS通貨という、紙の紙幣(ペイパー・マネー)が、直(ただ)ちに、BRICS加盟国によって発行されるのではない。その代わりに、BRICS債券(ボンド、bond )という、今の各国の国債(こくさい。国家債券。ナショナル・ボンド。アメリカでは、財務省証券 TB、ティー・ビー。 トレジャリー・ビルと言う)に近い債券(証券)の形で発行される。》いつまでも、「このまま、アメリカ様(さま)にしがみついて、くっついていれば、日本は安泰(あんたい)だ、大丈夫だ」と考えている、愚か者の日本の金持ち層は、もうすぐ落ちこぼれていくだろう。いや。彼らも馬鹿ではない。彼らは、金持ち層だから、生来、物事(ものごと)を、正しい間違い、正義か悪か、好きか嫌いか、などの女、子供の理屈で判断しない。金持ち層は、常に、お金のことを中心に動いて、冷静で、ずる賢(がしこ)い。だから、「ありゃ。どうも中国やロシアの方が強くなって来たなあ」と思い出して、自分の考えを、微妙に変化させ、変更して、「どうやら、形勢がアメリカとイギリスに不利になってきたなあ」と判断したら、コロリと態度を変えるだろう。いつの間(ま)にか、周(まわ)りに、悟られないように、ササッこれをやる。 だから、日本の金持ち層も、やがて、日本でも販売されるようになる、BRICS債券(ボンド)を進んで買うようになるだろう(笑)。》《ロスケ(ロシアのこと)、チャンコロ)(中国のこと)、チョーセン人と、軽蔑して、毎日のように、悪口を言っていたのに、コロッと態度を変えて、何喰わぬ顔をして、「そうかい。いよいよ、BRICS通貨の時代か」と、まるで、自分は、昔から、何でも知っていたかのような態度を取る。》

米国債を中国政府他が、市場で1割でも売却すると、米国債は、大暴落する。このことは、そのまま長期金利の、金利の急上昇を意味する。今の「10年もの米国債」の金利(イールドyield)の、年率4.02%が、急上昇して、6%、8%、10%になることが、アメリカ政府は、死ぬほど恐いのだ。米国債の暴落とは、すなわち、ドルの暴落である。/これが起きると、アメリカのNYとシカゴの金融市場全体が、機能マヒを起こして、市場停止になる。 それは、他の為替市場と、株式と、不動産市場と、商品先物(しょうひんさきもの)市場などにすぐに撥ね返る。 そして、この9月に強く予想されている、アメリカの中堅の地方銀行(地銀。ちぎん。リージョナル・バンク。regional banks 全米50州の各州を代表する地銀たち)の経営破綻とも関わる。》

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[3571]8月22日に、BRICS通貨の世界通貨体制が始まる。それと9月10日の、私の金融セミナーのお知らせ
投稿者:副島隆彦
投稿日:2023-08-11 05:54:16

副島隆彦です。今日は、2023年8月11日(金)です。

金(ゴールド)の世界価格と、日本国内での最新の価格の高値は、以下の通りである。7月31日、「 (1オンス=31.1グラム で) NY金 、小幅高で2009.20ドル、一時2010ドルを上回る」 である。今日の私の文の、一番最後の方に記事を載せる。

8月1日の 日本国内の 卸売り価格(TOCOM、今は大阪市場)は、1グラム=8977円である。小売価格 (田中貴金属、税込み) は、1グラム=9,946円 である。
  もうあと僅(わず)かで、1グラム=1万円だ。 本当は、1グラム1万円を越しているのだが、意地でも、1万円を突破させない。 真実の金(きん)の世界値段は、すでに、1グラム1.2万円である。ロシアとの貿易決済では、この価格で取引している。 米と英の今の世界体制(先進国G7体制)の 動揺が激しいが、それでもまだ、自分たちが、世界の王者だと、精一杯の虚勢を張っている。彼らの時代は、早晩、終わる。

  次に、来たる 9月10日(日)、1か月後、に開かれる、私、副島隆彦 の「予言者金融セミナー」(第6回)が、東京で開かれる。その詳細は、この文の 終わりの方でお知らせする。時間とお金に余裕のある人は、参加してください。

副島隆彦です。今日は、いよいよ、8月22日(火)に発表されるであろう、BRICS(ブリックス)通貨(カレンシー)のことを書く。
今は、奇妙に静まり返って、音無(おとな)しの構えで、世界中が、何喰わぬ顔をして、知らん顔をしている。それでも、この秋からの世界の金融・経済の動きの中心は、このBRICS通貨と、BRICS債券(ボンド)の制度の発足、開始 の発表である。

「 BRICS currency (ブリックス・カレンシー) が、今の米ドルに取って替わる、新しい世界通貨になる」という噂が、さらに広がっている。

  その発信源で、震源地(エピセンター)は、日本では、私、副島隆彦が、この件について、7月11日に、この下 ↓ にある、重たい掲示板「3562番」 に載せた、ジム・リカーズ氏の論文の記事と、私の解説文である。これは、以後、歴史に残る文となるだろう。
私は、まさしく、この「BRICS通貨が、8月22日から始まる。それは、1971年8月15日の、“ ニクソン・ドル・ショック” 以来の、世界通貨体制の大変動である。

 今から52年前の “8.15の ニクソン・ショック”とは、「アメリカ政府は、金(きん)とドルの交換を停止する(もう出来ない)」というドル防衛策の発表だった。これで、現在もまだ一応、続いている、IMF世界銀行体制(ブレトンウッズ体制。1944年7月、開始) が、この日をもって、終焉(しゅうえん)、終了して、世界(すなわち人類)は、次の新しい世界通貨体制(ニュー・ワールド・カレンシー・オーダー new world currency order )に変わる、ということである。

 このことを、私は、この重たい掲示板の7月11日に載せて、詳しく書いて説明した。この情報を、世界中に一気に広めたのは、ジム・リカーズという人物だ。この人のことについて、このあと説明する。

(転載貼り付け始め)

〇 「BRICSによる 金(ゴールド)を裏打ちとする 新通貨が、8月に登場する」
デイリー・レコニング 誌  2023年6月6日  筆者 ジム・リカーズ

(ジム・リカーズ氏の顔写真をここに貼る)

〇  (原文) BRICS Gold-Backed Currency Coming in August
Tuesday,  6/13/2023   Daily Reckoning   by James G. Rickards
http://dailyreckoning.com/rickards-drops-bombshell/

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。 このBRICSカレンシー の誕生(おぎゃーと生まれる)と 制度発足のことで、すでに新興大国の首脳たちが、一昨日(9日)から続々と、南アフリカ共和国 のダーバンに集まっている。そして、この世界新通貨体制のことを真剣に話し合っている。

 これは世界史上の大事件だ。BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南ア)の5首脳に他に、40カ国の、首脳たちが、「私の国もBRICS に 入れてくれ。この歴史的な大変動に、私も加わりたい」と、どんどん集まってきている。それを、日本のテレビ、新聞は、意図的に、報道しようとしない。「プーチンは、指名手配の犯罪容疑者だから、南アに来れない。代わりにラブロフ外相が来る。プーチンは、オンラインで参加する」という枝葉末節の記事ばかり報道する。

 西側(ザ・ウエスト the West )のG7の先進国体制(米と英が主導。日本も入っている )にしてみれば、自分たちが、世界支配の根拠、土台を失い始めるのだから、不愉快で仕方がない。だから、「BRICSで、世界新通貨が発表される」を、西側メディアには、報道管制、規制を掛けて、報道させない。

 そのあと、22日から開会される、BRICSの年次総会で、発表される。本当に、このBRICSカレンシーが、今の基軸通貨(key currency キー・カレンシー あるいは、reserve currency リザーブ・カレンシー。準備通貨)である米ドル の地位を脅かして、もうすぐ、その地位を奪い取り、取って替わるか。この試練の時が、一気に近づいている。このことについて、私がさらに説明する。

 ジム・リカーズ氏が、6月6日に、DAILY RECKONINGデイリー・レコニングという情報紙に載せた記事から 後、世界中の、どこにも、ほとんど新しい情報が発表されていない。

 あまりにも恐ろしいテーマだから、西側(ザ・ウエストG7体制)側の金融評論家や学者たちは、ほんの僅(わず)かも、触れることができない。世界中の金融、経済の予測が、凍りついた状態になっている。猛暑のさ中で、「みんな、世界中、夏休みだー」で、胡麻化(ごまか)している。 こういう時にこそ、世界史が動くのである。

 私、副島隆彦は、その後、ジム・リカーズのThe Coming Shock to the Global Monetary System 「ザ・ カミング ・ショック・ トゥー・ ザ・ グローバル・ マネタリー・ システム」「世界通貨体制 に向かって襲い来る衝撃 」という副(ふく)表題のこの論文以外のものを探したが、ロシア政府とRT(エルティ。ロシア・トゥデイ)というロシア政府広報紙以外に、この「BRICSカレンシーの開始」に言及している記事や表論文は見当たらない。ジム・リカーズ論文 以上の内容以上のものは、どこを探してもまだ出て来ない

 それなのに、8月22日(あるいは24日までに)に予定されているBRICSカレンシーの誕生の発表、導入、開始の噂(うわさ)が、世界中を駆け巡っていて、日本国内でも、嗅覚(きゅうかく)の鋭い、金融人間や、博奕打(ばくちうち、ギャンブラー)たちの間では、ひそひそと語られている。 

 このBRICSカレンシー(通貨)の始まり、が、どれほどの影響を世界金融体制にもたらすかは、今のところ予測の範囲を出ない。

 私が、7月11日に載せた、ここ ↓ の文で、ジム・リカーズの英文原文に手を入れて、分かり易い、説明文の翻訳文にした。いろいろな箇所で手を入れて、私が、加筆した、この文をしっかり読んでください。この下 ↓ の文を、きちんと読みもしないで、あれこれバカなことをあっちこっちで言いふらして回るのをやめなさい。

 出来れば、その後ろに載せた英語の原文もしっかり読みなさい。英文は読めないよ、俺(おれ)、馬鹿だからさー。学校時代に、勉強が出来なかった」という人は、正直に、そのように、周りの人に言って、少しでも自分より、頭のよさそうな人に、これを読ませて、乾燥、解説をして貰(もら)いなさい。・・・誰も出来ないから。日本(人)は、その程度の、みっともない国民だ。そのように、敗戦後のこの78年間で、洗脳されたのだ。学校教育その他で。

 私、副島隆彦によるジム・リカーズ Jim Rickards 論文の 翻訳と解説抜きで、日本国内で、これから、新しい世界通貨になるであろう、そして、現在のドルによる世界支配を打ち壊す、新通貨(しんつうか)の誕生という大きなテーマについて、あれこれ言うことは無駄である。

 ここで、唐突(とうとつ)に、解説おくが、この新しく誕生するBRICS通貨は、表面上は、今のドルの紙切れ体制と同じく、fiat moneyフィアットマネーである。すなわち、「金にいつでも 兌換(交換)してもらうことはできない、紙切れの新通貨」である。

 BRICS通貨という、紙の紙幣(ペイパー・マネー)が、直(ただ)ちに、BRICS加盟国によって発行されるのではない。その代わりに、BRICS債券(ボンド、bond )という、今の各国の国債(こくさい。国家債券。ナショナル・ボンド。アメリカでは、財務省証券 TB、ティー・ビー。 トレジャリー・ビルと言う)に近い債券(証券)の形で発行される。

  それをインドやブラジル、そして中国、ロシアの新興大国の金持ち層の人たちが、競って、どんどん買い始めるのである。例えば、今の中国は、政府(財務省)による、中国国債なるものを発行していない。ずっと発行してこなかった。だから、中国の金持ち層は、株式(ストック、シェア)か、不動産への投資しか、投資手段がなかった。そこへBRICS債券が登場すると、ものすごい勢いで、これを中国人の投資家と富裕層が、買うだろう。インドとブラジルでも、それがすぐに起きる

 そして今回は、南アフリカも、ラマポーザ大統領が、一所懸命に音頭(おんど)を取って、このBRICS通貨と、BRICS債券(ボンド)の両方を、自分が所属するアフリカ会議の54カ国のアフリカ諸国に対しても、「積極的にこれに加わるように」と、説得している

 分かり易く言えば、「君たちも、こっちに来なさい。こっちに来なさい」で、「これまで、200年間、イギリスとフランスとベルギーとかの西ヨーロッパの大国と、アメリカに、私たちアフリカ人は、酷(ひど)い目に遭ってきたのだから」という、世界政治の駆け引きが、この場で行われている。南アがアフリカ代表だ。だが、アフリカ諸国は、まだまだ桁違いに貧しい。

 それで、実は、BRICsのSは、最近まで、小文字で書かれて、5番目のサウス・アフリカなののだが、最近は、このSが、サウジアラビアのS を指すようになっている。サウジアラビアと、インドネシアと、トルコの経済成長が著(いちじる)しい地域(ちいき、リージョナル regional )大国たちを、筆頭にして、彼らを前面に押し立てて、さらに40カ国の新興国が、我も我もと、「私の国も、BRICSに入れてくれ」という動きになっている。世界の政治勢力の様子は、まさしく、大きく変わりつつある。 欧米先進国が中心の世界は、急激に終わりつつある。

  いつまでも、「このまま、アメリカ様(さま)にしがみついて、くっついていれば、日本は安泰(あんたい)だ、大丈夫だ」と考えている、愚か者の日本の金持ち層は、もうすぐ落ちこぼれていくだろう。いや。彼らも馬鹿ではない。彼らは、金持ち層だから、生来、物事(ものごと)を、正しい間違い、正義か悪か、好きか嫌いか、などの女、子供の理屈で判断しない。金持ち層は、常に、お金のことを中心に動いて、冷静で、ずる賢(がしこ)い。だから、

 「ありゃ。どうも中国やロシアの方が強くなって来たなあ」と思い出して、自分の考えを、微妙に変化させ、変更して、「どうやら、形勢がアメリカとイギリスに不利になってきたなあ」と判断したら、コロリと態度を変えるだろう。いつの間(ま)にか、周(まわ)りに、悟られないように、ササッこれをやる。 だから、日本の金持ち層も、やがて、日本でも販売されるようになる、BRICS債券(ボンド)を進んで買うようになるだろう(笑)。

 日本(人)は、どうあがいても、帝国(大国)には、どうせなれない。だから、世界政治での、大きな力の変化があれば、それにずるずるとひきずられて、いつの間にか自分の考えや、態度を変えているだろう。ここでは、「いつの間にか」というコトバが大事だ。

 ロスケ(ロシアのこと)、チャンコロ)(中国のこと)、チョーセン人と、軽蔑して、毎日のように、悪口を言っていたのに、コロッと態度を変えて、何喰わぬ顔をして、
「そうかい。いよいよ、BRICS通貨の時代か」と、まるで、自分は、昔から、何でも知っていたかのような態度を取る。

  こらー。そういう金持ちども。お前たちも、私が、ガーガー、5時間、喚(わめ)き続ける、9月10日の 東京の日比谷公園の南側の、イイノホールで開かれる、「副島隆彦の予言者金融セミナー」に、そろそろ、頭を丸めて、聞きに来なさい。別に、私が、取って食う、という訳(わけ)ではないのですから。

 これまで、一度も、私の金融セミナーに、来たことがない人たちに、訴えます。一度、顔を出して、実物の副島隆彦を見て置きなさい。私だって、いつまでも生きているわけではありません。 

 「オレはいいよ。お前の本を読むからさ」と、はっきり言いきれる、生来の頭のいい人間なら、それでいいのだが。本当は、ほとんどの人は、本を読む力がない。一冊の金融本を、しっかりと読むのは、大変なことなのだ。私たち、プロ(pro- )の物書き、言論人でも、大作の、世界で評価のある本を一冊、きちんと読むのは大変なことなのだ。 だから、私の話を、直接、聞き(聴き)に来なさい。

  この「人間は、いつの間にか態度と考えが変わっている」というのが、ミソである。私、副島隆彦は、いつも、この辺りのことを凝視(ぎょうし)している。私は、いつも、自分の目の前にいる人間に対して、「この人は、いつ自分の考えをコロリと考えを変えるのかなぁ」という目でまじまじと見ている。私は、恐ろしい人間なんだぞ。


ジム・リカーズ

  このジム・リカーズという特異な人物について、説明する。彼は1951年生まれ(私、副島隆彦よりも2歳、年上だ)で、今、72歳である。1973年に、ジョンズ・ホプキンズ大学を卒業。ここは、首都ワシントンDC(ディ・シー)となりのメリーランド州にある。

 このあと、ポール・ニッツェ・スクールという政治学の大学院を出ている。彼は、思想家のノーマン・ポドーレツから指導を受けている。ノーマン・ポドーレツこそは、アメリカのネオコンサヴァティブ(ネオコン neo - conservatives )の思想の産みの親の一人だ。

 したがって、故ヘンリー・“スクープ”・ジャクソン上院議員(戦略爆撃機を作っているボーイング社が資金を出した。ランドRand研究所も)の系統に属する。

  これらアメリカの現代の政治思想の系譜、流派のことについて、そろそろ本気で勉強する気があったら、私、副島隆彦の主著である、『世界覇権国アメリカを動かす 政治家たちと知識人たち』(初版1995年刊)をしっかり読みなさい。この本が読めないようなら、今の日本で頭のいい人(学歴は関係ない)と言えない。

 日本土人の国の、土人知識人としてさえ通用しない。私が馬鹿にしている、今の東大教授どもであっても、50歳代から下は、全員、この本を読んでいる。

だが、「俺はお金(資産を増やすこと)のことしか興味がないよ。政治思想なんか、かんけーねー」という人は、それはそれでいい。別に頭が良くなくったって、鋭い嗅覚さえあれば金儲けはできる。

 ジム・リカーズは、このあとシティバンクの投資部門に勤めていた。政治的にはネオコン(新左翼崩れ)だから、強硬な反ソビエト思想を持っている。そして、リカーズは、金融戦略家として、有名な、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のルー・カイザーの教え子でもある。 

 ただし、ジム・リカーズは、2009年に書いた本で、「アメリカを筆頭に世界は、いよいよ、ハイパーインフレに突入する」と書き過ぎて、未来予測を外したという悪口の評価を受けた。だが、リカーズの方が、大きく正しい。

 なぜなら、この同じ時に、2008年9月15日に起きた“リーマン・ショック”を、正確に予言して当てた私、副島隆彦と同じことを、主張しているからだ。
この日本土人の国の言論、出版業界でも、私の本はたくさん売れた。けれども、私への冷静な客観評価は全くなく、無視された。私は、今もずっと怒っている。

 私の墓碑銘(ぼひめい。epitaph エピタフ 死んだ後に、石に刻んで残す言葉)は、 「あーあ、こんな国に生まれちゃったよ」である。この私の墓碑銘は、2000(平成12)年に、弟子たちとの会議で決定してから、変えることはない。

  ジム・リカーズは、日本の、私、副島隆彦と同じで、激しい、近(きん)未来予測の言論を行う。だが、それでも、ネオコン(新左翼くずれ)であるから、アメリカ国防総省(ペンタゴン)やアメリカ財務省も、彼の言論を注視し、高く評価している。つまり超一流の言論人だ。 今回、リカーズが、「BRICS通貨が、誕生する。これが新世界通貨になるだろう。それは8月に登場する」と、6月6日に、ぶち上げて、書いたことで、世界中を震え上がらせてた。

 まー、カンタンに言えば、私は、日本のジム・リカーズのようなものだろう。向こうは世界基準(ワールド・ヴァリューズ)だ。それでも、今では、日本国内言論は、あらゆる場面で、私、副島隆彦の発言を抜きでは動かない。そのようになっている。

 もうすぐの、再(さ)来週の、8月22日に、BRICS通貨と、BRICSボンドの発表 があって、世界中が大騒ぎになる。いや、日本国内では、極力この報道をせずに抑え込んで無視するということも考えられる。そんなことは、もう無理だろうに。

 ここで大事なことは、このBRICS通貨の発足の発表があった後、アメリカ政府として、どうしてもそれに対応し、反応しなければ済まない。その役割(役目)を、一体、誰が演じるか、である。

 その人物は、すでに決まっている。それは、現在のSEC(エス・イー・シー。 証券取引委員会。 ストック・エクスチェインジ・コミティ)の委員長である、ゲイリー・ゲンスラー Gary Genslerである。彼が、アメリカ政府を代表して、この緊急時谷、体を張って、矢面に立って、対応しなければいけない。

 そして、このゲイリー・ゲンスラーが、来年、2024年に起きる、激動のアメリカ金融市場の崩壊(ほうかい。collapse コラプス)の時、責任を取らされるだろう。今から15年前の、2008年9月の“ リーマン・ショック”の10倍ぐらいの、金融恐慌が、NY(ニューヨーク)で起きる。


SEC委員長のゲイリー・ゲンスラー

 だから、この8月末までには、ゲイリー・ゲンスラーSEC委員長が、「アメリカの今後の金融政策を発表する」として、連邦議会に呼ばれて説明することが、すでに決まっている。
その時、このBRICS通貨の誕生、出現、発足に対して、アメリカ政府としての態度を表明する。そのように決まっているのである。

 去る 7月7―9日に、ジャレット・イエレン財務長官(あの、どうしようもない、チビでふんわり真白髪の婆さん。前はFRB議長だった。アメリカもディープステイトには、人材がいないのか)が行った。 イエレンは中国の首脳たちとの会談の前後で、異様なまでにペコペコと、あのチビな体で頭を下げていた。見苦しい限りだった。まるで日本の政治家のようだった。あそこまで、米財務長官が、ヘコヘコするとは、と、皆が驚いた。 一体、アメリカ政治に、本当は何が起きているのか、だ。

 イエレンは中国に、何をしに行ったのか。それは、ただ一点。「お願いだから、ニューヨークの債券市場(ボンド・マーケット)で、中国政府が持っている米国債を売らないでください 」 を、必死になって、言いに行ったのである。アメリカ財務省としては、ここで、米国債が暴落する、のが死ぬほど恐い。

  財務長官のイエレンも、ボケ老人のバイデン大統領も、このことで、自分が責任を取る気がない。全く無い。誰も相手にしていない。だから、ゲイリー・ゲンスラーが、アメリカの財政と金融の手綱裁(たずなさば)きの、最後の大物として、矢面(やおもて)に立つ。アメリカの大人の男たちは、指導者(リーダー)である、このゲンスラーの発言に、耳を澄ます。

 まさか、ゲンスラーが、「アメリカは、もう駄目(だめ)です。諦(あきら)めましょう」と、言う筈(はず)はない。

  だが、コトバの端々(はしばし)で、そのように、言うかも知れないのだ。 アメリカ国民と言うのは、開拓農民の 幌(ほろ)馬車隊の、隊長(リーダー)の言うことを聞く、と育てられた人間たちだ。だから、BRICS通貨が誕生した後の、このゲイリーゲンスラーの発表(議会証言)が、物凄く重要なのだ。

 中国は、公表されている、表面の外貨準備(フォーリン・リサーヴ)の1000億ドル(140兆円)の米国債を保有しているとする統計数値は、ウソである。中国は、その20倍ぐらい(20兆ドル、2800兆円)ぐらいの米国債を持っている(華僑系の中国人の資産も含む)。

 だから、この米国債を中国政府他が、市場で1割でも売却すると、米国債は、大暴落する。このことは、そのまま長期金利の、金利の急上昇を意味する。今の「10年もの米国債」の金利(イールドyield)の、年率4.02%が、急上昇して、6%、8%、10%になることが、アメリカ政府は、死ぬほど恐いのだ。米国債の暴落とは、すなわち、ドルの暴落である。
 
 これが起きると、アメリカのNYとシカゴの金融市場全体が、機能マヒを起こして、市場停止になる。 それは、他の為替市場と、株式と、不動産市場と、商品先物(しょうひんさきもの)市場などにすぐに撥ね返る。 そして、この9月に強く予想されている、アメリカの中堅の地方銀行(地銀。ちぎん。リージョナル・バンク。regional banks 全米50州の各州を代表する地銀たち)の経営破綻とも関わる。 

 米の有力地銀、30行から40行が、連鎖破綻しそうだ、と言われている。今、これらの銀行の預金の減少と、株式の下落と、発行済(すみ)の債券の下落が、起きている。 

 このことについては、私、副島隆彦は、「お金も、倉庫に、寝かして置くと、劣化する、腐(くさ)るのである。古米、古古米になる」理論として、これからも、ガンガン説明する。この前の、私の最新刊の 『米銀行破綻の連鎖から 世界大恐慌(世界大恐慌)の道筋(みちすじ)が見えた』(徳間書店、2023年6月末刊)でも書いたのだが、どうも、この「他の商品と同じく、お金も腐るのだ」を、うまく説明できなかった。

  アメリカは10月1日からが、財政の新年度( fiscal year フィスカル・イヤー)である。だからそれまでの、9月中に、激しい変動がどうせ起きる。小中高と大学も、アメリカの新年度は、10月からだ。だから、それに合わせて、その前に、世の中の変動が起きる、と決まっているのである。 

 今から15年前の 2008年の、リーマン・ショックは、9月15日に勃発した。その前年の、2007年の7月18日に、その予兆(よちょう)であり、前哨戦であった、サブプライム・ローン崩れ(貸してはいけない、超低収入のサブ・ヒューマンたちにまで、住宅ローンを貸した)であった。だから、この9月に、15年ぶりの大変動が起きる。

 だからアメリカ政府代表(ゲイリー・ゲンスラーSECチェア )が、どの程度の激震で、これを食い止められるかが、現在の焦点である。FRB(米中央銀行)のジェローム・パウエル議長も、この世界通貨体制に関わる経済変動については関わりたくない。イエレンも、どうせ逃げ回って責任を取らない。

  ゲイリー・ゲンスラーは、1957年生まれで、66歳だ。私、副島隆彦よりも4歳下だ。彼は、ゴールドマン・サックスの重役を務めた、インベストメント・バンカー(金融投資のプロウ)だ。 この男が、最終的に責任を取らされて首を切られる係だ。

 ゲンスラーは、何と、32歳で、CFTC(シー・エフ・ティー・シー。 商品先物=しょうひんさきもの=取引委員会 ) の委員長になった男だ。まさしく2008年のリーマン・ショックの後である。ゲンスラーは、このときは、グラム=ラドマ=ンホリンクズ法(アクト)による、金融上界への法規制が正しいと発言した。

 その前にCFTC委員長だった女性の、ウェンディ・グラムにとって代わった。彼女は、たしか米議会の重鎮のフィル・グラム上院議員 の一族の女だ。 ゲンスラーは、そのあと、MIT(マサチューセッツ工科大学)のスローン・スクール(経営大学院)の教授をしていた。父親は、ピン・ボール業界(日本で言えば、大手のパチンコ業者。セガサミーだ)の大物だ。フィラデルフィア州出身のユダヤ人である。 

 ゲンスラーは、血筋としても、十分に泥臭い金融市場の実態も、よく知っている男だ。今のアメリカの金融業界の、まさに重鎮(アンカー)である。業界人たちから尊敬されている。だから、ゲイリー・ゲンスラーがBRICS通貨とボンドに対して立ち向かって闘う最前線司令官となる。

 私たちは8月22日からの激動の世界金融情勢を見るときには、このゲイリー・ゲンスラーSEC委員長の発言を注視しなければいけない。
今日は、もう、これぐらいにしましょう。

  そこで、来る9月10日に以下のとおり、第26回の副島隆彦の“予言者”金融セミナーが行われる。


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「副島隆彦(そえじまたかひこ)の“予言者”金融セミナー 第26回」
*会場:イイノホール&カンファレンスセンター 東京都千代田区内幸町2-1-1
*日時:2023年9月10日(日) 
 開場・受付=11:00~ 
 開演=12:00~
 終了=17:30 (予定)
*受講料:15,000円(税込)/ホール(指定席) または オンライン
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「ホール受講」または「オンライン受講」を選択し、
ショッピングカートに入れてください。
副島先生への質問は「備考欄」に入力してください。
申し込みは、コチラから ↓↓↓
https://soejimayogen.cart.fc2.com/

副島隆彦です。これまで書いてきたとおり、8月22日を区切りにして、世界の金融体制は変わる。私の本を、きちんと1ページずつ読んで、赤線を引っ張って、自分の頭に詰め込む、のは、とても出来ない人を、中心に、この金融セミナーに来てください。

 私が徹底的にわかりやすく、今日、ここまでに書いたことを含めて、これからの大きな金融経済の動きを予言も含めて解説します。5時間、ずっと、大声で、しっかりと、(最近、加齢、老化で、かすれ声になって来ました)話します。

  最後に、はっきり書く。金(ゴールド)の値段は、今の3倍になる。以下に記事を載せるとおり、先週、7月31日に、1オンス(31.1グラム)=2010ドルまで行った。ところが、日本国内の発表では、その日の終値は、1960ドルとなっている。国内価格では、8月1日に、卸値(TOCOM価格 )が、1グラムが8977円で、田中貴金属が発表して小売り価格は9,946円である。ほんの、あと少しで1万円である。

 ところが、何が何でも絶対に、1グラム=1万円の大台には乗せさせたくない、という、強い政治的な力が働いている。 だが、実質的な金(きん)の世界値段は、すでに 1オンス= 2,700ドルになっている。私の言うことを信じて、まだまだ、金を今からでも、買いなさい。

(転載貼り付け始め)

● 「NY金 、小幅高で2009.20ドル、一時2010ドルを上回る」
2023年8月1日 フィスコ
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/9205c79ed883ceeeb198b0fc75b0e4cffa044061

 NY金先物12月限は小幅高(COMEX金12月限終値:2009.20 ↑9.30)。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、前営業日比+9.30ドルの2009.20ドルで通常取引終了。

 時間外取引を含めた取引レンジは1986.70ドル-2010.90ドル。ロンドン市場の序盤にかけて1986.70ドルまで売られたが、米長期金利の低下を想定した買いが入ったことで米国市場の序盤にかけて2010.90ドルまで買われた。
 ただ、その後は伸び悩み、通常取引終了後の時間外取引では主に2004ドルを挟んだ水準で推移。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝 
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リカードが爆弾発言

今日から約2ヶ月半後の8月22日、1971年以来の国際金融における最も重要な進展が発表される。

それは、世界的な決済におけるドルの役割を弱め、最終的には米ドルを主要な決済通貨および基軸通貨として置き換える可能性のある、主要な新通貨の登場である。

わずか数年で実現する可能性もある。

このようなことが起こるプロセスは前例がなく、世界はこの地政学的な衝撃波に対する備えをしていない

この金融ショックは、BRICSと呼ばれるグループによってもたらされる。

BRICSとは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字をとったものだ。

このBRICSによる世界基軸通貨の地位獲得劇は、世界貿易、海外直接投資、投資家のポートフォリオに劇的かつ予期せぬ影響を与えるだろう。

BRICSシステムにおける最も重要な進展は、BRICS加盟国の拡大に関するものである。このため、拡大した組織にBRICS+という名称が非公式に採用された。

現在、正式に加盟を申請しているのは8カ国で、その他17カ国が加盟に関心を示している。正式な申請国は以下の8カ国である: アルジェリア、アルゼンチン、バーレーン、エジプト、インドネシア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦。

関心を表明している17カ国は以下の通り: アフガニスタン、バングラデシュ、ベラルーシ、カザフスタン、メキシコ、ニカラグア、ナイジェリア、パキスタン、セネガル、スーダン、シリア、タイ、チュニジア、トルコ、ウルグアイ、ベネズエラ、ジンバブエ。

このリストには、今後のBRICS会議の参加人数を増やす以上の意味がある。

サウジアラビアとロシアがともにメンバーであれば、世界3大エネルギー生産国のうちの2カ国が1つのテントの下にいることになる(エネルギー・ビッグスリーのもう1カ国は米国)。

ロシア、中国、ブラジル、インドの4カ国が加盟すれば、国土面積で世界7大国のうち4カ国が地球の乾燥地表の30%を占め、関連する天然資源を保有することになる。

世界の小麦と米の生産量のほぼ50%、世界の金埋蔵量の15%がBRICSにある。

一方、中国、インド、ブラジル、ロシアは、地球上で最も人口の多い9カ国のうちの4カ国であり、合計人口は32億人、地球人口の40%を占める。

中国、インド、ブラジル、ロシア、サウジアラビアのGDPは合計29兆ドルで、名目上の世界GDPの28%を占めている。購買力平価でGDPを測れば、BRICSのシェアは54%を超える。ロシアと中国は、世界3大核兵器のうちの2つを保有している(もう1つのトップは米国)。

人口、国土、エネルギー生産高、GDP、食糧生産高、核兵器など、あらゆる指標から見て、BRICSは単なる多国間討論会ではない。BRICSは、欧米の覇権主義に対する実質的で信頼できるオルタナティブなのだ。

BRICSは共に行動することで、新たな多極化、あるいは二極化する世界の一極となる。

8月に新通貨の発売が発表されたとき、通貨は何もない場所に落ちるわけではない。通貨は資本と通信の洗練されたネットワークに落ちるだろう。このネットワークは成功の可能性を大きく高めるだろう。

BRICSはまた、加盟国を結ぶ光ファイバー海底通信システムの開発も進めている。これはBRICSケーブルという名称で開発されている。BRICSケーブルの動機のひとつは、米国家安全保障局(NSA)による、既存のケーブルネットワークを介したメッセージ・トラフィックのスパイ活動を阻止することにある。

ドルを捨てようとするこの試みの背景には何があるのだろうか?その答えの少なからぬ部分は、米国による制裁を通じたドルの武器化にある。

2007年から2014年にかけて、私は何度も財務省、国防総省、情報機関の米政府高官に、ドル制裁の乱用や濫用は、敵対国が制裁の影響を避けるためにドルを放棄することにつながると警告した。

このような放棄は、制裁の効力の希薄化、米国に課される予期せぬコスト、そして最終的にはドルそのものの信用の崩壊につながるだろう。こうした警告はほとんど無視された。

私たちは今、この予測の第一段階と第二段階に到達し、第三段階に危険なほど近づいている。

長年にわたり、米国はイランのような国々を罰するために制裁を行ってきた。しかし、昨年のウクライナ侵攻後、米国とその同盟国がロシアに課した制裁は、これまでの制裁体制をはるかに超えていた。前例のないものだった。

他の多くの国々は、ある問題でアメリカの逆鱗に触れれば、次は自分たちの番かもしれないという結論に達し始めた。そしてその恐怖は、ドル体制から完全に脱却しようとする動きを大きく加速させた。

この願望は、ロシアなど現在のターゲットに限ったことではなく、中国、イラン、トルコ、サウジアラビア、アルゼンチンなど潜在的なターゲットにも共有されている。

BRICS+は、世界の決済を脱ドル化し、最終的には世界の外貨準備を脱ドル化する現実的な取り組みである。

私は何年もの間、ドルが世界の主要基軸通貨であり続ける期間は、多くの人が考えているよりも長いと主張してきた。

しかし、BRICS+の新通貨が、世界の主要基軸通貨としてのドルの終焉を大きく加速させる可能性がある理由を以下に示す。

私が以前考えていたよりも、なぜこんなにも早く実現できるのだろうか? 続きを読む


世界の通貨システムに迫る衝撃

ジム・リカード著

モノやサービスの国際貿易における交換手段としてのドルから脱却したいという世界的な願望は、今に始まったことではない。しかし、今日、それが極めて短期間のうちに、論点から目新しさ、そして迫り来る現実へと変化している点が異なる。

ドバイと中国は最近、ドバイからの石油輸出の支払いに中国元を受け入れるという取り決めを結んだ。その代わり、ドバイは人民元を使って中国から半導体や製造品を購入することができる。

サウジアラビアと中国は、同様の石油と人民元の取り決めについて議論しているが、決定的なものはまだない。サウジアラビアが長年にわたって米国とペトロダラー取引を行っているため、こうした協議は複雑になっている。

中国とブラジルは最近、貿易において各国が相手国の通貨を受け入れるという広範な二国間通貨協定に合意した。一方、中国とロシアの間には、2つの超大国が共同で米国に立ち向かうという戦略的関係が広がっている。両国間の貿易関係では、ロシアは中国の製造品やその他の輸出品に対してルーブルで支払い、中国はロシアのエネルギー、戦略金属、兵器システムに対して人民元で支払うことができる。

しかし、こうした取り決めはすべて、8月22~24日に南アフリカのダーバンで開催されるBRICS首脳会議で発表されるBRICS+の新通貨によって、まもなく取って代わられるかもしれない。

この通貨は、加盟国間の貿易で使用される商品バスケットに固定される。当初、BRICS+の商品バスケットには、石油、小麦、銅、その他世界的に一定量取引される必需品が含まれる。

おそらく、BRICS+の新通貨は、日常的な取引に使用する紙幣としては利用できないだろう。新しいBRICS+の金融機関が管理する許可制の台帳上のデジタル通貨となり、暗号化されたメッセージ・トラフィックによって、参加当事者が支払うべき、あるいは支払うべき支払いが記録される。(非中央集権的ではなく、ブロックチェーン上で管理されているわけでもなく、承認なしにすべての当事者に開かれているわけでもないため、これは暗号通貨ではない)。

BRICS作業部会からの最新情報では、このバスケット評価方法は、1944年のブレトンウッズ会議でジョン・メイナード・ケインズが遭遇したのと同じ問題に遭遇している。

ケインズは当初、バンコールと呼ばれる世界通貨のために商品バスケット方式を提案した。しかし、どのようなバスケットに含まれる世界商品も、完全にカジタブルではない(原油には粘度や硫黄分などの属性によって70以上の等級がある)。

最終的にケインズは、商品バスケットは必要なく、利便性と統一性の理由から、単一商品である金の方が通貨を固定する目的に適していると考えた。

統一的な価値貯蔵としての商品バスケットは非現実的であることから、BRICS+の新通貨は金の重さに連動することになりそうだ。

これは、BRICSのメンバーであるロシアと中国の強みを生かすものだ。ロシアと中国は世界2大金産出国であり、金準備高100カ国の中でそれぞれ6位と7位にランクされている。

こうした動きや関連する動きは、しばしば「基軸通貨としてのドルの終焉」と喧伝される。このようなコメントには、国際通貨・為替システムが実際にどのように機能しているのかについての理解不足が表れている。

このような分析のほとんどに見られる重要な間違いは、決済通貨と基軸通貨のそれぞれの役割を区別していないことである。決済通貨は財やサービスの取引に使われる。各国は好きな決済通貨で取引することができ、ドルである必要はない。

基軸通貨(いわゆる)とは異なる。基軸通貨は基本的に、貿易黒字によって獲得した主権国家の貯蓄口座である。これらの残高は通貨ではなく、証券の形で保有されている。

アナリストがドルが主要な準備通貨であると言うとき、彼らが実際に意味するのは、各国が特定の通貨建ての証券で準備高を保有しているということである。世界の外貨準備の60%はドル建ての米国債である。外貨準備は実際にはドル建てではなく、証券建てなのだ。

その結果、大規模で発達したソブリン債市場がなければ基軸通貨にはなれない。規模、多様な満期、流動性、決済、デリバティブ、その他必要な機能において、米国債市場に匹敵する国は世界中どこにもない。

つまり、他の通貨を基軸通貨とする真の障害は、準備金が実際に投資される債券市場が存在しないことである。そのため、準備資産として国債を置き換えることは、望んでも難しい。この点でも、世界のどの国も米国の足元にも及ばない。

しかし、ここからが面白い。ドルが主要な準備国としての地位を、これまで考えられていたよりもずっと早く失う可能性があるのはなぜか。

それは、BRICS+の通貨が国債市場を飛び越え、世界の舞台で国債に対抗できるような深く流動性のある債券市場を、ほとんど何もないところから作り出す機会を提供してくれるからだ。

重要なのは、一度に20カ国以上でBRICS+通貨建て債券市場を創設し、各国の個人投資家に債券を買ってもらうことだ。

BRICS+債券は、銀行や郵便局などの小売店を通じて販売される。債券はBRICS+通貨建てだが、投資家は市場ベースの為替レートで自国通貨建ての債券を購入できる。

BRICS+の通貨は金に裏打ちされているため、ブラジルやアルゼンチンのようなインフレや債務不履行に陥りやすい現地通貨建て商品と比べ、魅力的な価値貯蔵手段となるだろう。特に中国人は、海外市場をほとんど禁じられ、不動産や国内株式に過剰投資しているため、このような投資に魅力を感じるだろう。

このような市場が機関投資家にアピールするには時間がかかるだろうが、インド、中国、ブラジル、ロシアなどのBRICS+建て商品への個人投資が同時に大量に発生すれば、BRICS+通貨による世界貿易で発生する余剰資金を吸収することができるだろう。

要するに、即席の基軸通貨を作る方法は、自国民を買い手として即席の債券市場を作ることだ。

米国は1917年に似たようなことをしている。1790年から1917年まで、米国の債券市場は専門家だけのものだった。小売市場は存在しなかった。それが変わったのは、第一次世界大戦中にウッドロウ・ウィルソンが戦費調達のために自由国債を発行したときだ。

すべての主要都市で債券集会やリバティボンドのパレードが開催された。リバティボンドを買うことが愛国者の義務になったのだ。この努力は功を奏し、金融を一変させた。アメリカ国民が個人投資家として株式や債券、証券を購入するようになったのだ。

BRICS+がリバティボンドのような愛国心モデルを用いれば、先進国市場の支援がなくても、BRICS+の通貨建ての国際準備資産を作ることができるかもしれない。

金で裏打ちされた新通貨の導入、決済通貨としての急速な採用、基軸資産通貨としての段階的な使用という一連の流れは、数年の開発期間を経て、2023年8月22日に始まる。

直接の参加者を除き、世界はこの見通しをほとんど無視してきた。その結果、数週間後には国際通貨システムの大混乱が起こるだろう。

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