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多極化の不可逆性を決定づける文書漏洩(田中宇) [現状把握]

田中宇の国際ニュース解説https://tanakanews.com/会員版、「単独覇権とともに崩れゆく米諜報界 」。その要旨、《欧日など米同盟諸国はこれまで米諜報界の多極主義的な傾向に見てみぬふりをしてきた。米覇権の崩壊が加速しているのに、同盟諸国はいまだに見てみぬふりだ。米諜報界の多極派は、見てみぬふりの同盟諸国を困らせてやろうと最近、米国が同盟諸国をスパイしていることを示す国防総省の機密文書の束を意図的に漏洩させ、騒動を作り出している。》

以下、ダイジェスト。

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《2001年の911テロ事件は、米諜報界のCIAが、当時とても親しかったサウジアラビア諜報機関の力も借りて、サウジ人らのエージェントたちに計画実行させていた可能性が高いことが、最近の米国の機密公文書の開示で明らかになった。これらのことは以前から指摘されていたが、今回はグアンタナモ監獄にとらわれている人々の裁判記録の機密解除というかたちで示された。この記録では、実行犯のうちの主犯格だった2人のサウジ人(Nawaf al-Hazmi と Khalid al-Mihdhar)が1年半かけてテロを計画して実行犯メンバーを募集する過程について、CIAがずっと行動を監視していたことが明らかになった。》《CIAとサウジの諜報界が配下の要員たちにテロを計画させているうちに、FBIがこの事態に気づいて捜査を開始した。外国の要員絡みの話なのでCIAに何度も問い合わせたが、CIAは「知らない」の一点張りで、FBIに捜査をさせなかった。そのうちにテロ事件が発生した。》《当時のサウジの諜報機関はCIAの下請けにすぎなかった。サウジ側は、CIAが自作自演の大規模テロをやらかすとは思わず、何かのおとり捜査に協力していると思っていたかも知れない。全容を知っていたのはCIAだけだ。22年後の今や、サウジの方が米国を見限って中露の側に転向し、911の話はどうでも良くなった。911は、米国が世界中で幻影的なテロ退治の戦争を引き起こす体制を作り出し、米国は各地で大失敗の戦争をやらかし続けて自滅していった。ウクライナ戦争がとどめとなった。》
米諜報界は、米国が覇権国になった終戦前後に創設されて以来、建前的には米国の覇権を守るための集団だ。だが当初から諜報界は、米国が国連を通じて多極型の体制を実践していこうとする多極派(ロックフェラー系)と、冷戦を起こして国連の多極型体制を破壊して米英単独覇権体制に塗り替える単独覇権派(英国系)とが内部分裂して暗闘が続いてきた。冷戦終結は多極派の勝利だったが、冷戦後に対米自立するはずだったEUは米傀儡のままで、中露も弱かったので多極化は起こらず、諜報界の自作自演だった911テロ事件によって世界は再び「アルカイダとの新冷戦」の構図を持つ単独覇権体制に戻るかに見えた。しかし、米諜報界と大統領府に入り込んだ隠れ多極派によって、イラク戦争からウクライナ戦争までの自滅策が次々と打たれ、米国がへこんで中露サウジなど非米側が台頭する多極化が誘発された。》
欧日など米同盟諸国はこれまで米諜報界の多極主義的な傾向に見てみぬふりをしてきた。米覇権の崩壊が加速しているのに、同盟諸国はいまだに見てみぬふりだ。フランスのマクロン大統領が訪中して非米側に転向する感じを見せたが、これも米国側のマスコミではきちんと報道されず重要性が無視されている(フランスのいつもの裏切り、みたいな歪曲話になっている)。米諜報界の多極派は、見てみぬふりの同盟諸国を困らせてやろうと最近、米国が同盟諸国をスパイしていることを示す国防総省の機密文書の束を意図的に漏洩させ、騒動を作り出している。》《同盟諸国の政府はいずれも「そんな事実はない」と強く否定し、漏洩したとされる機密文書自体が偽物であると言ったりしている。米大統領府自身が、漏洩文書は本物だと認めてしまったが、同盟諸国はそれを無視している。同盟諸国は、米単独覇権体制のもとで長く安住してきたので、まだまだそこから出たくない。米覇権はこれまで何度か崩壊しかけた(ベトナム戦後など)が、その後蘇生しており、今回もまた延命するかも知れない、と同盟諸国は期待している。だが今回は違う。中露がどんどん多極型の新覇権体制を作り、米覇権は押しのけられて領域が狭まっている。今回の多極化は不可逆だろう。だからマクロンは訪中し、対米自立して中国と組むことにした。しかし、日本を含む多くの同盟国では、まだこの事態が理解されていない。》

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めい

4月11日の米ゼロヘッジより
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《流出した書類に含まれる14 の主要な啓示》

・世界の指導者たちの非公開の会話にアクセスできる人間のスパイ養成に焦点を当てた CIA の採用活動の場所についての詳細。

・ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループは、NATO 加盟国である トルコから武器を入手しようとした。また、ワグネルの内部の計画のいくつかは明らかに米国の諜報機関に知られている。

・ロシア軍を追跡するために使用される機密衛星技術の詳細が示されている。
 LAPIS 時系列ビデオという高度な衛星システムとして説明されているが、これはこれまで厳重に守られた機密だった。

・国防総省が作成したウクライナの戦場評価の詳細。

・あるスライドは、NATO 加盟国であるフランス、アメリカ、イギリス、ラトビアからの 100 人未満の特殊作戦要員からなる小さな派遣団が、すでにウクライナで活動していたことを示唆している。

・CIA、NSA、国防情報局、法執行機関、国家偵察局 (NRO) による情報収集活動の詳細の説明。

・ウクライナのドンバスの戦場状況に関するレビューでは、ロシアによる「消耗戦」が「膠着状態に向かっている可能性が高く、2023 年にこの地域全体を占領するというロシア政府の目標を妨げている」と予測。

・米国の諜報機関は、ロシア軍とその指揮官たちに深く入り込んでおり、攻撃に先立ってウクライナに警告し、ロシア軍の長所と短所を確実に評価することができる。

・リークされた情報の 1ページから、米国の諜報機関は、ロシア国防省が 2月の特定の日に 2か所のウクライナ軍陣地を攻撃する計画を送信したこと、およびロシアの軍事計画担当者が12か所で攻撃を準備していることを知っていたことが明らかになった。

・CIA のワールド・インテリジェンス・レビュー (上級政策立案者向けの日刊紙)の分析の要約によると、中国政府はロシア領土の奥深くでのウクライナによる攻撃を「NATO を侵略者と見なす機会」と見なす可能性が高いと述べている。
 攻撃が「重大」であると感じた場合、ロシアへの支援を強化する。

・ウクライナの強力なソビエト時代の防空システムは、これまでのところロシアの航空機の侵入を最小限に抑えてきたが、今後数週間で弾薬が不足する可能性がある.

・CIA の情報更新と称されるものでは、「イスラエルのモサドが、ネタニヤフ首相の最高裁判所改革計画に対する抗議行動を支持した」と主張している。

・ある報告書によると、韓国当局者は、米国の備蓄を補充するために砲弾を米国に引き渡すよう要請されたが、それがウクライナに行き着くことを懸念して、内部での議論の中で慎重になっている。

・報告によると、西側の同盟国によりウクライナの軍備を強化しなければ、ウクライナの防空は危険にさらされる

https://bit.ly/41esXMg
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by めい (2023-04-15 05:53) 

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