日本最古の棟札(池黒皇大神社) [地元の歴史]
12月25日清野春樹氏来訪。ちょうどその日発刊の『山形歴史探訪4 平清水・宮内・赤湯・上郷・長井の秘密』を持って来られたのだった。1,500円ということで即求め、さらに佐野書店さんに置いていただくよう佐野さんに連絡した。
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清野さんの話で、池黒皇大神社の話に惹きつけられた。皇大神社の棟札が県内最古どころか日本最古の棟札であること。その棟札には「木刻師韓志和」の記載があり、韓志和とは、飛騨の高山に韓志和(木鶴大明神)像が立てられたほどの飛騨の匠の代表的人物とのこと。皇大神社にある御神像は韓志和の作かもしれないこと。
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皇大神社には平成25年と30年に見学させていただいたことがある。古い棟札とはお聞きしたが「日本最古」との認識は私にはなかったので驚いた。あらためて『南陽市史』(上巻515p)を見ても「県内最古」とはあるが「日本最古」とはない。「日本最古の棟札」で検索したら獅子宿燻亭の渋谷さんの記事が最初にあって驚いた。最近(2019.10.23)の記事だった。《朽ち果てた一片の木片の様だが、合祀されている羽黒神社の古い棟札である。今年、専門家に赤外線カメラにて撮影し鑑定すると「応徳三年(1086年)出羽神 輿麿 敬白/韓志和(からしわ)鍛治三条小門宗近(かじさんじょうこもんむねちか)」と記名があった。/公に日本で最古の棟札は岩手県中尊寺の保安三年(1122)で、それより36年も遡る事になる。/韓志和という人物は飛騨の匠、彫刻の名手で平安時代初期に自作の木鶴に乗り唐土(中国)へ渡った。飛騨の高山市中橋公園には韓志和を木鶴大明神の銅像にして残されている。》(最古の棟札 http://samidare.jp/shishi7/sp/note?p=log&lid=477613 右の写真もコピーさせていただきました)また、手元に25年に撮影した錦三郎先生の報告書があったので写しておきます。ただ解読内容の別紙がないのが残念。今はネットによって即座に判断できるが、錦先生も「日本最古」とは考えてはおられなかったのではないか。あらためて東北歴史資料館に確認せねばならないと思う。
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池黒皇大神社所蔵「応徳三年棟札」調査報告書
報告者 南陽市文化財保護審議会長 錦 三郎
平成七年二月八日、東北歴史資料館に標記棟札を持参し、赤外線カメラによるビデオ映写による長時間にわたる綿密な調査により、棟札名を左記の通り解読することができた。
記
一、御指導いただいた先生
東北歴史資料館 副館長 千葉景一先生
〃 学芸部長 戸村正昭先生
学芸部保存科学研究科科長 手塚 均先生
二、棟札銘文の解読
別紙の通り
付記
1.解読銘文は、銘文についてはじめて記載された「山形県金石文集」に近いものになったといえる。
一七四六 応徳三年七月十五日 棟札
応徳三年丙寅七月十有五日 当山別当職 出羽神輿磨敬白
梵(カン不動)奉再立天照皇大神宮国家安泰如意祈願
木刻師□□鍛治三條小□宗近
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東置賜郡漆山村池黒別所皇大神社
東北歴史資料館 副館長 千葉景一先生
〃 学芸部長 戸村正昭先生
学芸部保存科学研究科科長 手塚 均先生
二、棟札銘文の解読
別紙の通り
付記
1.解読銘文は、銘文についてはじめて記載された「山形県金石文集」に近いものになったといえる。
一七四六 応徳三年七月十五日 棟札
応徳三年丙寅七月十有五日 当山別当職 出羽神輿磨敬白
梵(カン不動)奉再立天照皇大神宮国家安泰如意祈願
木刻師□□鍛治三條小□宗近
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東置賜郡漆山村池黒別所皇大神社
2.皇大神社の銘文記録が、いつなされたか不明なのが残念であるが、該記録は原銘にきわめて忠実に記録したものと思われた。原銘に 照 を としてあるのをそのまま記録しているし、梵字の書体も忠実に記録している。
三、今後の対応
1.写真(カラースライドなど)撮影して保管する。
2.棟札の保存方を所蔵者にお願いする。防虫剤を入れるとか。
3.東北歴史資料館からいただいたフィルム(二本)の現像とそのプリント作製をし保管する。
4.当棟札は平安時代後期、「後三年の役」のあった時期の貴重な棟札として市の文化財に指定し将来に残すことが望まれる。
三、今後の対応
1.写真(カラースライドなど)撮影して保管する。
2.棟札の保存方を所蔵者にお願いする。防虫剤を入れるとか。
3.東北歴史資料館からいただいたフィルム(二本)の現像とそのプリント作製をし保管する。
4.当棟札は平安時代後期、「後三年の役」のあった時期の貴重な棟札として市の文化財に指定し将来に残すことが望まれる。
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