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田中宇《ブレジンスキーがあの世でニンマリ》? [コロナ危機]

田中宇の国際ニュース解説http://tanakanews.com/。今回の「◆米国の暴動はコロナ愚策の都市閉鎖が主因」は会員限定です。なので全文転載は控えます。田中氏による要旨↓

【2020年5月31日】「極悪な保守派の白人警官が、正義のリベラル派の黒人市民を不当逮捕して絞殺した」という喧伝されている構図は、ミネアポリス暴動の主因でない。暴動の主因は、コロナに対する愚策である都市閉鎖である。民主党左派は、国家体制を社会主義に近づけるため、政府の権限や財政の肥大化を好むので、都市閉鎖や、経済を当局の資金で支えるQEやMMTをやりたがる。左翼であるミネソタ州のワルツ知事は都市閉鎖に積極的で、3月末から5月18日まで都市閉鎖・外出禁止・経済停止の策が行われた。外出禁止が解かれた1週間後の5月25日に起きた、黒人のフロイドが白人警官に殺された事件を機に、都市閉鎖でたまっていた貧困層の不満が爆発するかたちで暴動が起きた。都市閉鎖による経済停止は失業を急増させ、貧乏人ほどひどい目に遭う。金持ちは大して困らないが、貧困層はとても窮乏させられる。》

以下は本文からの抄出。

ランプと極左が組んで米国を破壊していく。これまで米国と世界を支配してきた中道系の軍産エスタブは弱体化させられていく。》

民主党の知事は都市閉鎖をやりたがり、共和党(小さな政府主義者が多い)の知事はやりたがらない。・・・都市閉鎖や外出禁止、失業急増でたまっていた貧困層の不満が爆発するかたちで暴動が起きた。》《暴動は、都市閉鎖の愚策性の発露》

トランプは、中国敵視策によって中国を強化している。》

そして、《ブレジンスキーがあの世でニンマリしている。》とあって、世界的な政治覚醒を扇るアメリカhttp://tanakanews.com/081224awakening.htmがリンクされています。リーマンショック時の2008年12月24日に書かれたものです。これは会員以外も読めます。稀代の戦略家ブレジンスキーの戦略を田中氏が読み解くすごい内容です。

多極化の目的は、ブレジンスキーも書いているように「植民地支配や帝国的支配によって抑制されてきた、文化的な尊厳や経済成長の機会を求める動きが、世界的に勃興する」ことだ。経済的には、これまで宗主国や欧米によって経済成長を抑制され、産業革命前の状態に置かれてきた発展途上国が、政治的覚醒によってナショナリズムに基づいた産業革命や高度経済成長を実現できる。ゴールドマンサックスが予測していた「2020年に世界の中産階級が20億人に急増する」という、国際資本家にとっての夢の実現である。(関連記事)/ また多極化は、国際政治的には、軍産英複合体が、英米イスラエル中心の世界体制を維持するため、諜報力を駆使して世界中を不安定にして、各地で戦争を誘発してきたこの50年間の悪弊を止め、世界を安定させる。多くの日本人は、英米ではなく、中露やイスラム主義こそ世界を不安定にすると思っているが、これは冷戦型のプロパガンダを軽信した結果の、非現実的な概念である。国際情勢を詳細に見ていくと、世界を不安定化する戦略を展開しているのは、多くの場合、英米イスラエルであるとわかる。英米イスラエルの挑発がなければ、反米イスラム主義は勃興しなかった。》《米国が傲慢で抑圧的に振る舞うほど、イスラム世界や中南米などの人々が反米感情を募らせ、世界が反米主義で結束し、バラバラだった中東や中南米に新たな政治的な「極」が生まれ、BRICなどとも相互に連携し、多極的・非米的な世界体制を作る。これは、米英中心の既存の覇権体制を壊し、世界を安定的な多極型へと転換しうる。》《ブッシュの単独覇権主義は全崩壊し、オバマ新政権はブレジンスキー流に、表向きは「強い米国の復活」を掲げるが、MGI報告書などでは多極化を容認する姿勢を強めている。おそらくオバマ政権は、日本に対し、97年論文にあるような、日中の接近による米中日三角戦略の再生を隠然と求めてくるだろう。/ 米国の促しに応え、日本が中国との関係を強化し、ロシアとの関係も改善して、多極型の新世界秩序に即した国家姿勢に転換していくなら、それがブレジンスキーの言う「中国と日本の台頭によって、大西洋諸国の世界支配が終わる」ことになる。逆に、もし日本が、中国との関係強化を拒否し、従来の対米従属のみに固執した場合、オバマの米国は日本を軽視する傾向を強め、米中2国のみで太平洋を協同支配する態勢を強めるだろう。》

結び部分のみ転載します。

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▼日本人が覚醒しうる好機

 今後予測されるこのような政治転換の中、日本人は、どこかの時点で「そもそも日本の対米従属は、米国が圧倒的に強い覇権国だったから採用していた戦略だ。米国が弱くなり、経済的にも軍事的にも日本が対米従属する利点がなくなった以上、日本は対米従属をやめた方がいいのではないか」という思いにとらわれるだろう。このような思いが日本人の中に広がっていくと、国民の間で「ならば日本はどうすべきか。世界の中でどう振る舞いたいか」という考察が始まる。

 これは、ブレジンスキーがいうところの「政治的な覚醒」となる。日本人は、戦後60年間、自分たちを拘束してきた対米従属の呪縛から解放される機会を得る。対米従属の呪縛は、戦後の日本が再び対外野心的な戦略をとらないようにするための「瓶のふた」だったが、すでにこの「ふた」は破れかけ、裂け目から青空がのぞいている。日本人にとっての「アメリカ以後」が迫っている。

 日本は、米英との戦争に大敗北したから、戦後は対米従属した。戦前の日本は、国際的な野心の強い国だった。日本人は勝手に「自分たちは戦後、全く変わったんだ」と思い込んでいるが、もしかするとそれは、過去を簡単に忘れる民族的特技を持つ日本人の幻想でしかなく、ブレジンスキーは日本人自身より良く日本人のことを知っていて「米国の覇権が崩壊したら、中国と日本が台頭して世界支配に乗り出す」と書いたとも考えられる。(関連記事

 日本は、対米従属をやめた後は、対中従属するという未来像もあり得るが、日本人のほとんどは、中国に従属するなど真っ平だろう。日本人は、敗戦しなければ対米従属すら望んでいなかったはずだ。中国に従属するぐらいなら、中国に負けないように必死で頑張った方が良い、と多くの日本人が考えるはずだ。

 従来の日本は、対米従属することで冷戦型の中国包囲網の一翼を担っていることになるという、お気楽な対中戦略をとっていた。米国覇権衰退後の日本には、そんな贅沢なお気楽さは存在しない。独自の力で、中国の台頭に対応せねばならない。

 しかし、悲壮感にさいなまれる必要はない。中国は日本と同様、経済的な繁栄を維持することで、国を安定させており、この先20年ぐらいは、この状態は変わりそうもない。中国が日本と戦争したら、中国の経済繁栄は失われ、不安定になる。中国は日本と戦争してもメリットがない。日中は対立関係を続けるかもしれず、小競り合いぐらいはあるかもしれないが、全面戦争にはなりにくい。日中とも安定重視である以上、折り合いをつけて安定的な日中関係を模索する可能性の方が大きい

 そして、米国の覇権が衰退している中で、いったん日中で話がつけば、次は日中協同でアジアや世界の安定化を模索しようという話になるかもしれない。「欧米の支配は終わり、日中が世界を支配する」という、今はまだ奇異に感じられるブレジンスキーの予測は、意外に先々の現実に即したものかもしれない。

 2009年から日本でも大不況が深刻化し、当分は失業したり減給したりして、日本人の生活も大変になるだろうが、この不況は日本人を対米従属から解き放ち、政治的覚醒につながりうる。日本にとって敗戦以来の大転換となりうる、政治的な好機がやってくる。


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