覚悟が問われる深刻な事態です(イスラエルの戦争) [現状把握]
https://sputniknews.jp/20231009/--17351154.html)
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イスラエル・サウジ国交正常化に影 ハマスと大規模衝突
編集委員 岐部秀光
多様な観点からニュースを考える池内恵さん他1名の投稿【この記事のポイント】
・近年の不可解な中東の雪解け、経済利益優先が背景
・ネタニヤフ氏やサウジ皇太子と確執、米仲介に限界
・アラブとイスラエルの和解、パレスチナ無視できず不気味な安定が続いていた中東で暴力が突如として再燃した。パレスチナのイスラム組織ハマスが7日にロケット弾や戦闘員の侵入によってイスラエルへの大規模な攻撃を仕掛け、イスラエルが報復を開始した。有力な歯止め役がみえないなか、衝突が制御不能の混乱に陥るおそれがある。中東の主要国のあいだで進んだ和解の動きすら吹き飛ばしかねない。
「軍事作戦でもエスカレーションでもない。われわれは戦争状態に突入している」。イスラエルのネタニヤフ首相は7日の声明で、ことの深刻さを国民にこう説明した。
分断や対立が広がる世界にあって奇妙なことに中東の主要国が近年、次々と対立を解消し、和解を進めていた。2020年に米国の仲介でイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)が関係を正常化。今年3月には中国の仲介でサウジアラビアとイランが関係の正常化で合意した。
不可解にもみえるこうした雪解けの背景には、産業多角化で外国からの投資を必要としたアラブ指導者の経済利益優先の考え方があった。みかけの安定が広がるなかで過小に見積もられたのは、中東の対立の根っこにあるパレスチナの問題を置き去りにするリスクだった。
列強による植民地支配や第2次大戦の歴史、民族、宗教が複雑に絡み合うパレスチナ問題は戦後の国際政治にさまざまな混乱をもたらした。米国の歴代大統領はその解決に多くの政治資源を振り向けてきた。問題の根深さと波及リスクの大きさを理解していたからだ。
パレスチナのガザ地区を支配するハマスはイスラエルの生存を否定し自爆テロを繰り返してきた組織だ。パレスチナ自治政府はハマスの作戦に加担していないとみられるが、アッバス自治政府議長は「パレスチナ人には自衛の権利がある」と述べ、理解を示した。過激な主張や行動が通りやすい環境が強まっている可能性がある。
悲願であるパレスチナの国家建設に展望が見えないなか、イスラエルとアラブの和解の動きはどんどん広がった。アラブ世界の事実上のリーダーとなったサウジの実力者ムハンマド皇太子は最近の米テレビとのインタビューで、イスラエルとの関係正常化が近いと公言していた。一般のパレスチナ人のあいだにも焦りと憤りがある。
イスラエルとパレスチナは過去にも衝突を繰り広げてきた。今回が深刻なのは従来のような歯止め役や仲介役を果たすことができる人物の姿がみえないことだ。
伝統的に中東地域の盟主として影響力を行使してきた米国は地域からの撤退を進めてきた。バイデン米大統領はネタニヤフ氏やアラブ指導者とのぎくしゃくした関係が指摘される。
機会主義的な利益を追う中国やロシアが長期的な安定へ建設的な役割を果たす期待は薄い。アラブ諸国で構成するアラブ連盟の存在感は近年、大幅に低下している。
イスラエルとサウジなど主要国の和解の動きへの打撃も大きそうだ。
パレスチナの同胞への同情とイスラエルへの憎悪をかかえる民衆の感情を無視してアラブの指導者がイスラエルとの関係正常化の話を進めていくことはむずかしくなるだろう。
イスラエルと対立するイランは、イスラム世界の代弁者としてパレスチナ擁護を鮮明に打ち出すとみられる。パレスチナへの対応をめぐってイランとサウジの対立が再燃する恐れもある。地域全体を巻き込んだ対立の構図が再浮上しかねない。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
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池内恵東京大学先端科学技術研究センター 教授
分析・考察サウジとイスラエルとの国交正常化が近い、という欧米の有力紙の一連の報道は「スピン」あるいは「飛ばし記事」としての性質が色濃いものだった。サウジのムハンマド皇太子自身が、最近のFOXニュースでのインタビューなどで、この期待を煽る発言を行ったことも報道を実態と離れて加熱させた。サウジ側はイスラエルの国交正常化の要請やそれを後押しする米国の動きに対して、「Noとは言わないがYesとも言わない」という姿勢で一貫していた。リップサービスと受諾をイスラエルは取り違えたか、意図的に取り違えたふりをして交渉を進めてきた。ガザのハマースによる越境攻撃に対するサウジの反応は、イスラエルの幻想を打ち砕くものだった。
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鈴木一人東京大学 公共政策大学院 教授
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ひとこと解説
岐部編集委員の記事を少し敷衍すると、経済的な合理性を優先して進めたアブラハム合意だが、そうした経済的合理性は政治的・軍事的問題によって揺さぶられる。アブラハム合意を結んだ国々はハマスやパレスチナ自治政府に対する影響力を失い、問題を解決する能力を失っている。パレスチナ問題を重視してきたサウジもイスラエルとの国交正常化を意図してきたが、その試みも影響を受けることになった。もう一つは、アメリカの中東における不在が問題の解決を難しくしている。しかもバイデン大統領は今回をテロ行為として位置づけたことで、テロリストとの交渉ができないという足かせを自らかけてしまった。侵攻の規模から見ても今回は調停が難しい。
-------------------------------------2023.10.09ハマスの戦闘員が10月7日、イスラエルを陸海空から奇襲攻撃した。数百人の戦闘員がイスラエル領へ侵入したほか、ガザからイスラエルに向かって5000発以上のロケット弾でテルアビブの北まで攻撃され、約250人が死亡、約1600人が負傷したと伝えられている。この攻撃をイスラエルの情報機関は察知できず、軍は迎撃できなかった。攻撃の目的は「アル・アクサの洪水」という作戦名が示している。
アル・アクサ・モスクは聖地とされる「神殿の丘」にあるイスラムの聖地。今年4月5日にはイスラエルの警官隊がモスク内へ突入、起こったパレスチナ人はガザからロケット弾を発射し、イスラエルが報復としてガザを空爆するという事態に発展した。「ラマダーン」(今年は3月22日から4月20日)を狙っての襲撃だったことから、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は新たな戦争を目論んでいるのではないかと言われていた。
ユダヤ教の「仮庵の祭り」(今年は9月29日から10月6日)に合わせて832人のイスラエル人が10月3日、イスラエル軍に保護されながらアル・アクサ・モスクに押し入っている。イスラエル軍は60歳未満のイスラム礼拝者がモスクへ入ることを禁じた。
こうしたイスラエルのモスク冒涜に対する報復だということをハマスは表明したと言えるだろうが、もうひとつ興味深い話が伝えられている。ハマスが使った武器はウクライナから手に入れたというのだ。アメリカ/NATOがウクライナへ大量に供給した兵器の約7割が闇市場へ流れていると言われているが、そうした武器だというのである。
イスラエルはガザに軍隊を侵攻させるという見方もあるが、そうなると激しい市街戦が展開されることになる。すでにイスラム世界ではハマスの攻撃を支持する大規模なデモが行われている、イスラエルに対する反発はさらに強いものになるだろう。
攻撃するにしても、イスラエル軍は地上軍を侵攻させない可能性が高い。2006年7月から9月にかけてイスラエルの地上部隊がレバノンへ侵攻した際、ヒズボラに敗北しているからだ。イスラエルが誇る「メルカバ4」戦車も破壊されている。
ブーム!トルコがイスラエルとパレスチナの戦いに参戦--米国に「手を出すな」と警告
ハル・ターナー 08 10月 2023
https://halturnerradioshow.com/index.php/en/news-page/world/boom-turkey-enters-israel-palestine-fight-warns-u-s-to-stay-out
トルコの大統領Recyptエルドアンは、公に進行中のHAMAS - イスラエルの紛争でパレスチナ人の支持を表明し、公に紛争から手を引くために米国を警告している。
エルドアンは、自国は「罪のないパレスチナの兄弟たちとともにある」と語り、トルコは「いかなる代償を払ってもパレスチナを守る」と、誰に対しても明確に警告している。
ビデオ
まるでガントレットを投げ捨てたかのようだ。 アメリカに。 イスラエルに。 おそらくNATOも含めて!
エルドアンは、ポーランドが昨日、ポーランド国民を避難させるために軍用輸送機をイスラエルに派遣し、もしその航空機が攻撃されれば、ポーランドはNATO第5条(NATO加盟国の1つに対する攻撃はNATO全体の攻撃とする)を発動し、その結果、31カ国のNATO同盟がパレスチナ人に対する攻撃を行うだろうと述べたばかりであることを知っている!
今日の発表で、エルドアンはポーランドに冷水を浴びせた。そしてNATOもだ。 トルコがノーと言えば、どちらも何もできないだろう。 NATOが軍事行動に出るには、全会一致が必要だ。
このHAMASとイスラエルの件は、あまりに急速に制御不能になりつつあり、私にはそれを把握することさえ難しい。
率直に言って、私の意見では、これは「災難」としか言いようがない。
日本時間午後6時15分更新
ガザ地区からイスラエルに向けて、さらなるロケット弾が発射されている。 これは、そのような発射のビデオである:
by めい (2023-10-09 11:02)