『米中AI戦争の真実』(深田萌絵 育鵬社 2019/12)を読んだ。

隣国中国は、国内の情報遮断、自国「防衛」のために築き上げた「グレート・ファイアーウォール(GFW/中国防火長城)」を他国「攻撃」ツールに転化しようとしている。その最前線を担ってきたのがファーウェイ(華為)だ。先般台湾のTSMCにつづき、韓国サムスンもファーウェイからのチップ製造依頼を拒否したとの報道があった。ファーウェイのスマートフォン生産は危機的状況に陥る。任正非CEO「会社は戦時状態に入った」との危機感を示したという(亜州ビジネスChina 6/19)。 熾烈な「戦い」の現実がある。

《米中が繰り広げるAI戦争の実態は、「監視」と「言論統制」だ。/世界中の人々の通信や家庭での会話を監視し、不穏分子をAIで予測して事前に取り除き、AIで言論・情報統制を行い、民主主義国家の有権者の投票行動をコントロールしていこうという流れが世界的に起こっている。》(22p)しかし、《AI軍事革命をめざす中国の隣国であるにもかかわらず、我が国はあまりにも対応が遅れている。》(39p)日本はゆるい。《民主主義の根幹、有権者の投票行動がAIに制御され始めている。/デジタル全体主義の幕は開いた。》(39p)この現実を直視せよ。「あとがき」にはこうあった。《インターネットの情報が統制されることで、私たちの意識に事実が浮び上らなくなっていく。そして、AI戦の現実は技術が進化したぶんだけ小説よりも残酷だ。》(222p)