《国防の危機は日本が好むと好まざるとにかかわらず、勝手にやってくる》《「国際社会の現実と、日本は向き合うべき」》

83歳の斉藤喜一さん『米中AI戦争の真実』(深田萌絵 育鵬社 2019/12)を持ってきてくれた。中途まで目を通したところでふと「あとがき」を読んで、この書の意味する全体像が見渡せた。《インターネットの情報が統制されることで、私たちの意識に事実が浮び上らなくなっていく。そして、AI戦の現実は技術が進化したぶんだけ小説よりも残酷だ。》時あたかも、台湾のTSMCにつづき、韓国サムスンもファーウェイからのチップ製造依頼を拒否したとの報道がある。ファーウェイのスマートフォン生産は危機的状況に陥る。任正非CEO「会社は戦時状態に入った」との危機感を示したという(亜州ビジネスChina 6/19)。 朝鮮半島情勢もあわせて、熾烈な「戦い」の現実を思わされる。この期にあってのmespesadoさんの「国防」への着眼をタイムリーに受け止めた。

今われわれはどうすべきなのかについての、深田氏の明快さ、潔(いさぎよ)さがうれしい。《中国共産党によって、良心を形成するすべての 神々の存在は否定され、宗教への弾圧は続いている。この攻撃で破壊されていく宗教が多い中で、日本人の良心は最強のアーキテクチャで守られていることに気付いた人はいるだろうか。八百万の神々は一神教のように中央集権的でなく分散型だ。一神教のように攻撃対象となる単一障害点が存在しない。破壊の対象となる偶像もなく、否定しようにも教祖も経典も存在しない。天のために善を尽くしても見返りはなく、ただ、道から外れれば天罰がくだる。/八百万の神々からの善悪の教えはなく、画一的には決められない善悪の判断を常に自分と天の間で問い続ける不確定性が人々の知恵を育てる。広大な暗黙知、不確定性、分散型処理というセキュアなアーキテクチャの中で、日本人の良心は守られていく。私たちは何千年も続いたシステムで、心が守られている。/恐るべきは、悪ではない。/「自分は弱者だ」と良心を説き伏せて、保身に走ろうとする自分自身の弱さだ。》

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