「経済問題」が、世の中が資源不足から生産過多に「相転移」してから、正しい経済政策が180度変わってしまったのと同様に、「外交問題」についても、正しい外交というものの意味が180度変わってしまったことを正しく認識する必要があると思います。》すなわち、外交に期待されるのは、すべての国の元首が自国の国益を最大化しようとしていることを前提にしたうえで、各国にメリットを齎すものでなければならない。つまり、それぞれの国に外交上の問題が発生したときに、それを円満に解決する知恵を出すことに秀でた人が重宝されるということであり、その役割を果たす能力を持つことが、すなわち今日の「外交力」だと思うのです。》

mespesadoさんの講演「本当のオカネと経済の話」には「〜MMT(現代貨幣理論)と経済環境の”相転移”について〜」の副題がついていました。https://www.youtube.com/watch?time_continue=4&v=xVJ-PuxWxF4&feature=emb_logo

戦後日本の経済環境は三相に分けて考えられます。第1相は1950年代から1970年代の「高度成長期」、第2相は1970年代後半から1990年頃の「安定成長期」、第3相は1990年頃から現在までの「デフレ期」です。高度成長期から安定成長期への変化(相転移)は、需要力に見合うだけの供給力が達成されたことで起こりました。安定成長期からデフレ期への変化は、供給力が需要力を上回るようになって企業活動が縮小(借金しない=オカネが出回らない)することでの相転移です。企業活動の縮小分は、本来財政出動(国債発行=オカネが出回る)で補わなければならなかったのですが、財政と家計を同じに考える「財政規律(PB プライマリー・バランス)」という間違った考えに支配されて、それを怠ることになりました。その結果、日本経済の成長は世界各国に比して著しく遅れをとることになってしまったのです(右グラフ「各国の成長率ランキング 1995-2015」クリック拡大)。「反緊縮=財政拡大」が喫緊の課題になっているゆえんです。

日本の経済環境に起きた第1相から第2相への相転移は、世界の経済環境でも起きつつあります。世の中が資源不足から生産過多に「相転移」してから、正しい経済政策が180度変わってしまった》と並行して、外交のあり方も「分捕り合い」から「知恵を出し合い円満解決」の方向に変わったのです。いちはやく経済の相転移を経験していた日本の安倍総理は、まさにこれからの外交のあり方を率先垂範して世界に示したのです。「晋三によって米国との関係はこれまでで最高のものとなった。いずれ日本史上最高の首相と認められる特別な男!」とのトランプ大統領の言葉は、外交辞令ではなくそのまま本音です。

mespeasadoさんの「外交における相転移」、目からウロコです!

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