現金給付が現実化しつつある。こういう形でベーシックインカムへの道が開かれるとは思わなかった。新型コロナウイルスが新しい世界を開きつつある。

「移ろうままに」で最初にベーシックインカムについて言及したのは12年前、「置賜地域の合併ビジョン私案――目指せ、経済的・精神的な貧困のないまち『NON-POOR CITY 置賜』――」でだった。「米沢日報」の目安箱に寄稿した文章だ。以下、『NON-POOR CITY 置賜』への戦略と戦術。

≪戦略≫
 「棒杭の商い」精神による地域づくり
(1) 豊かな置賜の歴史に根ざす「地域共同体」としての再生。
(2) 農業生産を重視した地域内自給(千人共働き→置賜24万共働き)。
(3) 「助け合い」「譲り合い」をキーワードに損得感情の超克。
≪戦術≫
地域通貨(藩札)の活用によるベーシックインカム(基礎的所得保障)の導入。
(1) 最低時給保障(時給格差の是正)による農林業等保護。
(2) 最低生活保障(高齢者への一律配布)。自主返納制。
(3) 期限付き地域通貨。使用税徴収による財源の確保などがある。
「棒杭の商い」:上杉鷹山公の時代の無人販売所。街道の途中に暮らしや旅の必需品が棒杭に下げてありました。鷹山公の善政は人心をも立て直し、いつも金額はぴったり合ったという。旅の人もこの地に入ればおのずとそれに倣ったとのこと。
※ 「千人共働き」:「昔から千人人がいればお互い助け合いながらなんとか生きてゆけたもんだ」という古老のことばが強く心に残っている。
そして言う、《ベーシックインカムは、「働くことで所得を得る」のではなく「生きているから所得を得る」という考えに基づく。そのことで、「金にならない仕事はやらない」という考えから解放される。「仕事」とは本来「人のために役に立つこと」だったのではなかったか。目先にこだわらない本来の「仕事」が息を吹き返す。
完全な実現には程遠いが、地域通貨の活用でその考えを取り入れることは可能になる。》

たしか当時の安部三十郎米沢市長に直接提言した記憶がある。

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