北町遺跡の意義については、以前書いたことがある。→「北町遺跡がすごい!「縄文のタイムカプセル」」https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2019-09-21 おおざっぱに理解していたことを今回専門的にかなりつっこんで講義していただいた。聴いただけでは素通りなので報告書の完成を待ちたい。前山形考古学会長で市民大学運営委員長の佐藤庄一君が山形大学の学生だった昭和43年、たまたま子どもたちが石蹴りして遊んでいた石が石器であることに気づいたことが北町遺跡発見につながった、という質問タイムでの話も貴重だった。
- 地元の歴史
《福井県にある国の名勝、三方五湖は、日本海と山を隔てて5つの湖が繋がりながら広がる絶景だ。その一つ、水月湖の湖底の堆積物が「年縞」と呼ばれるものだ。それは幾つかの奇跡的な条件が重なり、一年に明暗一対の縞模様が形成され、合計7万年分の縞が乱れることなく、積み重なっているのだという。この縞の重なりはなんと45メートルにも及ぶ。 この世界的にも珍しい年縞は2012年にその価値が世界的に証明され、今にわかに注目されているのだ。1年ずつの年縞が7万年前までしっかりと残されているということは、過去の気候変動や自然災害など、7万年間の地球の歴史を「一年ごと」に知る重要な材料となる、ということ。/さらにこの年縞は45メートル分、そっくりとボーリングされ、その実物が特殊加工されて、昨年度オープンしたばかりの「年縞博物館」に展示されている》《実は水月湖の年縞は偶然に発見されたものだと(年縞博物館の)今川さんが教えてくれた。別の調査のボーリングで発見され、調べてみると、非常に珍しい堆積物であるいうことがわかったのだという。1991年のことだ。/英語でvarve(年縞)という言葉はあったものの、それまで日本では「年縞」と言う訳語もなかったそう。やがて日本人の研究者をリーダーとする国際研究チームの成果によって、水月湖の年縞は世界でも類い稀なものだということが解明され、この博物館も建てられたのであった。》《水月湖の年縞は途切れなく堆積しているため、縞の数を数えればいつの年のものかほぼ特定できるし、さらに年縞に含まれる葉の化石の炭素14を測定することでその年代の炭素を正確に測定することができるようになった。これによって世界中で測られた放射性炭素年代は水月湖のデータと対比することで、水月湖の何枚目の縞に含まれた葉の化石に相当し、いつの年代のものなのか? ということが詳しくわかるようになった》《水月湖の年縞は自然科学の分野だけでなく、人類史や考古学など人類の歴史を解明するさまざまな分野の学問にも、大きな影響を与えることになった。年縞の強みは気候の変動と年代がわかることだ。そして気候変動は人類の足取りを解明する大きな手がかりでもある。》《これまで人類学や地質学では、誤差が数百年どころか数千年あることも多かった。しかし水月湖の年縞のおかげで、数万年前の出来事であっても、年代がほぼぴったりと、より高い精度と確度で特定できるようになったのである。これは水月湖の年縞が見つかるまではほぼありえなかった、驚異的なことなのだ。》
福井県はこの遺産をフルに活かしている。実は白竜湖も年縞発見の可能性があるという。そうでなくともこれまでの調査経過から北町遺跡のタイムカプセル性は疑いようもない。質問タイムに「南陽市として最低限なすべきことと、さらに夢を広げるとすれば」と聞いた。長野先生の答えは「まずは文化財指定すること。将来的には白竜湖を望むタワーのある博物館ができればいい」と語られた。
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⑴ボーリング調査において、 ( 白竜湖 )への層序的な連続性と縄文時代草創期文化層に比定される 変化を確認した。土壌の年代測定で かな層序対比が課題。
⑵ などの古環境を復元するうえで重要となる有機質
も認められた。
⑶ヤンガードリアス直後の人類の環境適応