ロシアの金準備に対する米国の脅威は、通貨のリセットが差し迫っていることを意味する理由がここにある
Here’s Why US Threats Against Russian Gold Reserves Mean a Monetary Reset Is Imminent
internationalman.com
「複数の準備通貨があることは可能だ」
これは誰の言葉かというと、米連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長の最近の言葉だ。これは、現在の世界の準備通貨である米ドルを最も支配している一人からの驚くべき発言ともいえる。
マイク・タイソンが「複数のヘビー級チャンピオンがいてもいい」と言うのと同じほど馬鹿げている発言でもある。
つまり、万事休すだ。
連邦準備制度理事会の議長でさえ、もはやドルの覇権を維持するという茶番劇に賛成することができなくなっている。…そしてあなたがたもそうすべきではない。(これは貯蓄に深刻な結果をもたらすが、いずれ記す)
パウエル氏のこのコメントは、歴史上最も近視眼的で自己破壊的な行為の 1つであることが証明される可能性のある米国政府のロシアに対する経済戦争の流れの中で発生する。
ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、米国政府はこれまでで最も積極的な制裁キャンペーンを開始した。
イランや北朝鮮をも超えて、ロシアは今や世界で最も制裁された国となった。
元アメリカ財務省当局者のピーター・ピアテツキー氏は「これは金融核戦争であり、歴史上最大の制裁事象です」と述べている。
彼は続けて、「ロシアは 2週間足らずで、世界的な制裁により世界経済の一部と金融からの排除の最大の目標となりました」と述べた。
そして、米国と欧州の政府は、ロシアの米ドルとユーロの準備金、つまり国の累積貯蓄を凍結した。それは約 3,000億ドル (36兆円)の価値がある。
ロシアの銀行は、国際電信送金システムである SWIFT から追い出された。欧米の多くの企業がロシアを去り、ロシア市民が彼らのプラットフォームを使用することを禁止した。
人気のある暗号通貨取引所 Coinbase は、ロシアにリンクされた 25,000を超えるアカウントをブロックした。 Visa、MasterCard、American Expressは、ロシアをネットワークから切り離した。
以前は中立だったスイスでさえ、制裁に加わった。
これらは、ロシアが米国が支配する世界的な金融システムからどのように切り離されているかのほんの一例だ。
もちろん、これはすべてロシア人にとって驚くことではない。彼らは、中国とともに長年にわたってこのような制裁に備えてきた。中国共産党は、米国がプーチンを倒すことができれば、次は米国の標的は中国になることを理解している。そのため、中国がロシアとの戦略的パートナーシップを放棄する可能性は低い。
したがって、ロシアは米国の圧力に屈服する代わりに、米ドルと米国が管理する金融機関を迂回するための代替案を「即座に」実施した。ロシアと中国には、国際金融取引を促進するための SWIFT の代替手段がある。米国のクレジットカード会社がシステムからロシアとの関係をブラックリストに載せた後、ロシアの銀行は支払い処理の多くを中国銀聯にシームレスに切り替えた。
銀聯は、中国の国際決済処理ネットワークだ。
Visa、MasterCard、American Expressと同じように機能するが、米国政府の優遇措置に依存しない点が異なる。米国の金融システムとは独立して運営できる。
中国銀聯は世界中で急速に成長している。140カ国以上の加盟店と ATM がそれを受け入れている、現在、世界最大の支払い処理業者の 1つとなっている。
さらに、中国、インド、イラン、トルコは、とりわけ、米ドルではなく現地通貨でロシアと取引を行うことを発表したか、すでに行っている。これらの国々の人口は 30億人を超える人々の市場であり、相互に取引するために米ドルを使用する必要がなくなった。
米ドルは世界有数の準備通貨であるため、莫大な権力を獲得している米国政府にとって、これはすべて大きな問題だ。ドルという準備通貨があるからこそ、米国は偽のお金を無から印刷し、実際の商品やサービスのために世界中に輸出することができてきた。これは他の国にはない特権だ。
ドルはまた、人々と企業に同様に圧力をかけるための途方もない力を与えてきた…しかしそれは、代替案の開発あるいは使用がされない場合に限る。
しかし、まさにそれが起こっている。
ロシアとその貿易相手国を孤立させることにより、米国政府は結果的に人類のほぼ半分が、ドルに代わるものを見つけるように動機付けているのだ。言い換えれば、米国は自身のシステムを弱体化させ、前例のない規模での脱ドル化を促進しているということをしてしまっている。
これは、北朝鮮、シリア、イランのような比較的小さな国がドルから切り離されるのとはまるで意味が異なる。ロシア、中国、およびその「友好国」に代表される何十億人もの人々がドルの使用をやめると、それは非常にダイナミックなことになる。
これらの歴史的な出来事は現在、急速に展開しており、すぐに転換点に達する可能性がある。
金(ゴールド)市場の最近の動向は、何か大きなものが差し迫っていることを示す巨大な点滅する赤いサインだ。
米国の制裁から身を守るための戦略の一環として、ロシアは世界最大の隠し場所の 1つに 2,300トン以上の金を蓄積してきた。
その金のすべて(執筆時点で 1400億ドル以上の価値がある)はロシア国内で保有されている。つまり、米国は軍事的侵略がなければそれに触れることはできない。
さらに、ロシアの金鉱業は世界の生産量の約 10%、つまり年間約 200億ドルを占めている。その金のほとんどは、ロシア政府の財務省に流れ込んでいる。
ロシアの金は、カウンターパーティリスクのない非政治的な中立的な形のお金へのアクセスを提供するため、大きな問題だ。
金は、価値の保存と交換に適した独自の特性があるため、2,500年間以上にわたって人類の最も永続的な貨幣の形だった。金は耐久性があり、分割可能で、一貫性があり、便利で、希少であり、最も重要なのは、すべての商品の中で「最も生産が難しい」ことだ。
言い換えれば、金は(既存の備蓄と比較して)「生産が最も困難」であり、したがってインフレに対して最も耐性のある商品の1つだ。
だからこそ、金は米ドルの真の金銭的代替物であり、ロシアにはそれがたくさんあることになる。ロシアはその金を使って国際貿易に従事し、おそらくルーブルを支援することができる。ロシアの金は、中国の金とともに、米国の支配の及ばない新しい通貨制度の基盤を形成する可能性がある。
そのような動きはドル支配の棺桶の最後の釘であり、最近の出来事はそれらが差し迫っている可能性があることを示唆している。
米国と同盟国は、ロシアがこの分野で動きを見せようとしていると感じているようだ。ロシアはすでに西側の金融システムから切り離されており、数千億の資金が凍結されているため、これはロシアにとって論理的な次のステップとなるだろう。
言い換えれば、ロシアはゴールドカードをプレイすることで失うものは何もなく、得るだけだ。
そして、米国とその同盟国はこれを知っているように思われる。
それが彼らがロシアの金準備を標的にしようとする前例のない措置をとった理由だろう。
最近、米国とその同盟国は、ロシアをロンドン金塊市場協会から追い出した。また、米国の上院議員のグループは、ロシアの金を売買する人を制裁することを目的とした法案を提出した。
これらの措置は、米国の一方的な制裁に従う可能性が低い巨大なアジアおよび中東市場と相互作用するロシアの能力にほとんど影響を与えない。
いずれにせよ、米ドルの無敵の支配の時代はすぐに終わりに近づいていることは明らかだ。FRB議長でさえ公然と認めていることだ。
つまり、私たち(アメリカ人)は歴史的な金融大地震の危機に瀕している可能性が高い……。
米国の方向性を永遠に変え、私たちの生涯で最大の経済的事象を示すことができるような大地震。
ロシアの金準備をターゲットにする動き、そして金価格の高騰は、それが差し迫っていることを示唆している。