SSブログ

「相争う世界観の対立」を読み解く [ロシア思想]

世界の黒い霧 1.jpgジョン・コールマン『世界の黒い霧』(2017.3)の「第3章 狙われるロシア 悪魔化されるプーチン」と「第5章 ワンワールド政府のウクライナ介入は世界大戦の号砲」を読んだ。
第5章の結び、著者コールマンもかつて在籍したM16(英国軍事諜報部第6課)出身のアラステア・クロックの発言が今後を見通す上で貴重だ。2015年ごろ書かれたものと思う。
《ウクライナに関しては、われわれは新しい時代に入った。相当な戦略地政学的紛争が起ころうとしている。しかしそれは事実上、アメリカとロシアによる金融地政学的戦争である。原油価格は崩壊した。通貨戦争もある。ルーブルの不自然な「不足」ー空売りーもある。これは金融地政学的な戦争だ。そして、そして、この金融地政学的戦争の結果として今われわれが目にしているものと言えば、何よりも先ず、これがロシアと中国との緊密な同盟をもたらしたということである。/ 中国は、ロシアが最初のドミノだということを理解している。ロシアが倒れれば次は中国だ。この二つの国家は、ともに欧米の金融システムに縛られない、これと対応する金融システムを作り上げるために動いている。/ しばらくは、国際秩序は国際連合と一連の国際法を中心に構築されていた。しかし欧米は、国際秩序を維持するために設計された制度としての国連を迂回して、代わりに経済制裁によって一部の国に圧力をかける傾向をどんどん強めている。今はドル基軸の金融システムであり、ドルの取引すべてをコントロールするという立場ゆえに、アメリカは外交と国連という古いツールを迂回して、自国の目的を追求することができている。/ しかしこのところ、こうした準備通貨の独占状態がアメリカの一方的なツールとなり、国連での多国間行動に取って替わる傾向が強まってきた。アメリカは、世界のあらゆる場所でのあらゆるドル建て取引について管轄権を主張している。そして、世界のビジネスと貿易取引は大半がドルで行われている。これは事実上の世界秩序である。国際秩序は、以前のような国連ではなく、アメリカ財務省と連邦準備制度銀行による支配が強まっているのである。》
この後、コールマンの言葉が続く。
《金融戦争、非対称戦争、第四世代戦争、宇宙戦争、情報戦争、核戦争、レーザー戦争、化学戦争、生物戦争ーーアメリカは伝統的な通常兵器の範囲を超えて、その武器庫を拡張してきた。目的はもちろん、ソヴィエト連邦が崩壊した1991年後の世界秩序を保ち、全面的な支配を維持することだ。モスクワを先頭とする多極的な世界秩序の出現は、継続的な支配をめざすワシントンの計画にとって、唯一最大の脅威となっている。この二つの相争う世界観が最初に大規模にぶつかるのは、ウクライナ東部でのことになるだろう。》そして《神よ、われらを救い給え。》の言葉でこの章を閉じる。
さらにその前に、プーチン顧問セルゲイ・グラジェフの論文が紹介されている。「ロシアvsウクライナ」を大きな時代の変化の中で理解することができる内容なので下に全文写した。以下は大意。
いま世界は、新たなシステムに向かって動いている。その新たなシステムは、本質的に人道的なもので、それゆえ戦争を回避することができる。なぜなら、この波長での最大の牽引役は、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、認知テクノロジーによって基礎づけられた)人道的なテクノロジーだからだ。》という。これこそがプーチンの狙いであり、それはいずれ《ユーラシア全体の全面的開発圏が生まれることになる。》
しかし、それは必然《アメリカの覇権への挑戦》を意味する。自分たちの指導的地位を維持するために、アメリカはヨーロッパで戦争を始めようとしている。》《ウクライナ国民は、この戦争の絶好の武器であり、使い捨ての兵士となる。》そのためにアメリカは、ソ連=ロシアを標的として、ウクライナのナチズムを育ててきた。》《ヨーロッパの政治家は、自分が何をしているかと疑問に思うことすらないままに、アメリカに追随した。彼らは、ナチズムを呼び起こして戦争を挑発することで自らを苦しめている。ロシアとウクライナが、アメリカの扇動する今回の戦争の犠牲者だということはすでに述べた。しかしその点ではヨーロッパも同様だ。この戦争がヨーロッパの高福祉をターゲットにしたものであり、ヨーロッパの不安定化を狙ったものだからである。アメリカは、ヨーロッパの資本と頭脳が引き続きアメリカに流入することを期待している。だからこそ、ヨーロッパ全土を戦場にしようとしているのだ。》そして最後をこう結ぶ。私たちは、彼ら(ヨーロッパの政治家?)がウクライナ・ナチズムのなかに見ている、この歴史的な記憶を呼び覚まさなければならない。今キエフで権力を握っているのは、ステパーン・バンデラやロマン・スヘヴィチといったナチ協力者を信奉している連中なのだ。この真実を広げていくことで、ヨーロッパを戦争の脅威から救い出さなければならない。
*   *   *   *   *
●世界経済の構造的な変化は、往往にして、大規模な経済危機と戦争が先駆けとなる
 現在の世界は、一連の重大な危機が重なり合った中を歩んでいる。最も深刻なものはテクノロジーの危機で、これには経済発展の波長の変化が伴っている。私たちは、経済がその構造を変えつつある時期を生きている。過去30年にわたって経済成長の原動力となってきた基本構造はすでに力を出し尽くした。今は、新しいテクノロジーシステムに移行する必要がある。しかし不幸なことに、この種の移行はつねに戦争を通じてやってくる。1930年代がまさにそうで、あのときには大恐慌が軍拡競争に道を開き、第二次世界大戦へとつながった。
 冷戦期も同様で、宇宙空間での軍拡競争によって複雑な情報通信技術が発達し、それが技術的な基本構造となって過去30年の世界経済を動かしてきた。今日の私たちも同様の危機に直面している。世界は新たなテクノロジーシステムへとシフトしつつある。

●プーチンは新たな世界経済(ニューグローバルエコノミー)への移行を容易にするために自由貿易圏を推進している
  新しいシステムは本質的に人道的なもので、それゆえ戦争を回避することができる。なぜなら、この波長での最大の牽引役は人道的なテクノロジーだからだ。これには、バイオテクノロジーを基礎とする医療・製薬業界も含まれる。ナノテクノロジーを基礎とする通信技術もこれに含まれるだろう(ナノテクノロジーは今まさにブレークスルーを起こしつつある)。さらには認知テクノロジーも、人知の新たな総体を定義するものとして関係してくるだろう。もし、プーチン大統領が一貫して推進しようとしているような、開発のための相互プログラムで合意ができれば、リスボンからウラジオストックに至る特惠貿易体制を伴ったユーラシア全体の全面的開発圏が生まれることになる。ブリュッセル[EU本部]と合意ができて共通の経済空間が創設されれば、それによって、健康から宇宙的脅威の払拭まで、十二分な数のブレークスループロジェクトが動きだし、科学的・技術的なポテンシャルが十全に発揮されて、国家からも着実な需要が創出されるだろう。そしてそれがまた、新しいテクノロジーシステムをさらに加速するのではないだろうか。

●ワシントンは、覇権を維持する最善の道はヨーロパでの戦争だと考えている
  しかしアメリカは、これまで通りの道を選択した。彼らは自分たちの世界支配を維持するために、ヨーロッパで新たな戦争を引き起こそうとしている。彼らは、ヨーロッパとロシア(旧ソ連)で500万人を殺した第二次世界大戦を「善い戦争」とまで呼んでいる。なぜなら、アメリカは、この戦争によって、世界をリードする超大国へとのし上がったからだ。たしかに、彼らにとっては善い戦争だったのである。冷戦はソ連邦の崩壊で終わったが、あれも彼らにとっては「善い戦争」だった。こんどもアメリカは、ヨーロッパを犠牲にして自分たちのリーダーシップを維持しようとしている。中国の急速な台頭によって、アメリカの指導的立場が脅かされているからだ。
 今日の世界はまた新しいサイクルに移ろうとしている。今回は政治的なサイクルだ。このサイクルは数世紀にわたって続き、世界規模での経済規制制度を伴ってくる。そして今は、アメリカへの資本蓄積のサイクルからアジアへのサイクルへと移行が進んでいる。これは新たな危機であり、アメリカの覇権への挑戦である。
 隆盛する中国などのアジア諸国との競争に直面しつつ、自分たちの指導的地位を維持するために、アメリカはヨーロッパで戦争を始めようとしている。彼らはヨーロッパを弱体化させ、ロシアを解体して、ユーラシア大陸全体を従属させようとしているのだ。狙いは、プーチン大統領が提唱しているような、リスボンからウラジオストックに至る発展圏の代わりに、この地域で混沌とした戦闘を始めること、そうしてヨーロッパを戦争に巻き込み、ヨーロッパの各首都の価値を落とし、自分たちの公的債務を帳消しにすることだ。
 すでに莫大な債務を背負って崩壊しつつあるアメリカは、これでヨーロッパとロシアへの借金を帳消しにしつつ、ヨーロッパとロシアの経済空間を従属させて、広大なヨーロッパ大陸の資源に対する支配を確立しようというのである。彼らは、これが自らの覇権を維持し、中国を倒す唯一の道だと信じ込んでいる。
 不幸なことに、今展開されているアメリカの地政学は19世紀のものと酷似している。彼らは大英帝国の地政学的闘争という視点から考えている。すなわち、「分割して統治せよ」である。ある国を別な国と対立させ、紛争に巻き込み、世界大戦を始めるーー残念ながらアメリカは、この古臭いイギリス流の政策を継続することで自分たちの懸案を解決しようとしている。ロシアはこの政策の犠牲に選ばれた。一方のウクライナ国民は、この戦争の絶好の武器であり、使い捨ての兵士となる。
 アメリカはまずウクライナに照準を定め、ロシアから離反させることにした。この戦術はビスマルクが元になっている。伝統的な反ロシア感情に狙いを絞ることでロシアを紛争に巻き込み、ヨーロッパ全土を呑み込んでしまおうというこの戦略は、ビスマルクが最初に口にし、それをイギリスが採り上げ、最終的にアメリカ最高の政治学者だったズビグニュー・ブレジンスキーが練り上げた。ブレジンスキーは「ロシア(当時はソ連)はウクライナ無しでは超大国になれない。ロシアとウクライナを反目させればアメリカと西側の利益になる」と、ことあるごとに語っていた。
 過去20年、アメリカはソ連=ロシアを標的として、ウクライナのナチズムを育ててきた。第二次世界大戦時からウクライナ独立運動を指導したステパーン・バンデーラの遺物をアメリカが保管しているのは有名な話だ。戦後期を通じて、何万人ものウクライナ・ナチス党員がアメリカに連れてこられ、注意深く培養され、育てられた。これが移民の波となってソ連崩壊後のウクライナを襲った。「東部パートナーシップ」という理想が餌に使われた。最初はポーランドが表明し、それをアメリカが採り上げ、グルジア(現ジョージア)が最初の犠牲となった。
 そして今はウクライナ、次はモルドヴァが、じきにロシアとのつながりを断ち切られるだろう。周知のように、今のヨーロッパは連合を築き、ベラルーシからカザフスタンに至る共通経済圏をつくり上げようとしている。キルギスタンとアルメニアもまもなく加わるだろう。ウクライナは昔からのパートナーだ。とはいえ、ウクライナはまだロシアとの協定の批准段階にある。ウクライナの誰ひとりとして、これを解消したわけではない。ウクライナはわれわれの経済圏の一部として、また一世紀にわたる絆と協力のゆえに、今も大切な存在だ。われわれの科学・産業複合体は全体として機能している。したがって、ウクライナがわれわれのヨーロッパ統合に参加することは、極めて自然かつ重要なことなのである。
 東部欧州パートナーシップ(CBC 越境地域協力)がつくられたのは、ウクライナがユーラシア統合プロジェクトに参加するのを防ぐためだった。CBCの意味は、EUとの連合協定をつくることだったのである。親露派政権で要職を歴任し、2014年6月に第5代大統領となったペトロ・ポロシェンコがヨーロッパの指導者たちと署名した協定は、いったい何だったのかーーあれはウクライナを植民地に変容させるものだった。連合協定に署名すればウクライナは主権を失う。貿易、税関、技術・金融面での規制、さらには公共部門での調達も含めて、すべての支配権がブリュッセルに移ってしまうのである。

●ウクライナ・ナチスの軍事政権はアメリカの政策の道具
 ウクライナは、その経済と政治において主権国家ではなくなっている。連合協定で、ウクライナはEUのジュニアパートナーだと明記されているのだ。ウクライナはEUと共通の防衛・外交方針に従わなければならない。EUの指導下で、地域紛争の決議に参加する義務がある。つまり、ポロシェンコはウクライナをEUの植民地にし、弾避けとして対ロシア戦争に引きこみ、そこからヨーロッパでの戦争に火をつけようとしていたのである。連合協定の目的は、地域紛争を解決するなかで、ヨーロッパ諸国がウクライナを支配することにあった。アメリカの政策の目標は、可能な限りの犠牲者を生み出すことだった。ウクライナ・ナチスの軍事政権はこの方針の道具となっていた。情け無用の虐殺を実行し、都市部への空爆を繰り返して一般市民や婦女子を殺害した。彼らは故郷を離れざるを得なかった。すべてはロシアを挑発し、ヨーロッパ全体を戦争に引き込むためだ。それがポロシェンコに与えられた使命だったのだ。だからポロシェンコは、あらゆる和平交渉を拒絶し、すべての平和条約を妨害したのである。彼は、紛争をエスカレートさせないようにというワシントンの声明を、すべて逆の意味に解釈していた。国際レベルで和平に向けた話し合いがあるたびに、また新たな暴力が吹き荒れるのだ。
 相手はナチ国家であることを理解しなければならない。彼らは断固としてロシアと戦争する構えで、すでに全国民を対象とした徴兵制を宣言している。18歳から55歳の男性すべてが兵役の対象だ。拒否した者には15年の懲役が待っている。このナチ犯罪権力は、ウクライナの国民すべてを犯罪者にしてしまう。

●ワシントンは自分たちの利益のためにヨーロッパを戦争に突き落とそうとしている
 わたしの計算では、アメリカから強要された対ロシア経済制裁によるヨーロッパ経済の損失は1兆ユーロにのぼる。莫大な金額だ。ドイツの損失は約2000億ユーロになる。バルト諸国の友邦の被害が最も大きいだろう。エストニアの損失はGDPを上回ってしまったし、ラトヴィアもGDPの半分を失った。しかし、それでも経済制裁は止まらない。ヨーロッパの政治家は、自分が何をしているかと疑問に思うことすらないままに、アメリカに追随した。彼らは、ナチズムを呼び起こして戦争を挑発することで自らを苦しめている。ロシアとウクライナが、アメリカの扇動する今回の戦争の犠牲者だということはすでに述べた。しかしその点ではヨーロッパも同様だ。この戦争がヨーロッパの高福祉をターゲットにしたものであり、ヨーロッパの不安定化を狙ったものだからである。アメリカは、ヨーロッパの資本と頭脳が引き続きアメリカに流入することを期待している。だからこそ、ヨーロッパ全土を戦場にしようとしているのだ。そんなアメリカにヨーロッパの指導者が追随しているのは、全く奇妙なことだ。

●ドイツは今も占領国である
 このまま手をこまねいていても、ヨーロッパの指導者が独自の方針を打ち出すと期待することはできない。同じヨーロッパでも、アメリカの命令に縛られない、新しい世代の指導者と手を組む必要がある。
 今の政治家は、すべて自国の利益に反して行動している。理由としては、ヨーロッパの成長の原動力であるドイツが今も占領国だという点が大きい。アメリカ軍は今もドイツに駐留し、アンゲラ・メルケルを含む歴代のドイツ連邦首相はアメリカへの従属を誓約して、アメリカの後追いばかりしてきた。この世代のヨーロッパの政治家には、アメリカの占領という軛を投げ捨てる覚悟ができていないのである。

●再びナチズムが勃興する
 もうソヴィエト連邦は存在していないのに、ヨーロッパの政治家はいまだにワシントンの後追いに熱をあげ、NATOを拡大して新たな領土を支配下に入れようとしている。東ヨーロッパ諸国のEU加盟にはすでに「アレルギー」があるというのに、である。
 ヨーロッパの「連合」はすでに綻んでいるのだが、だからといって旧ソ連領への侵略的な拡大が止む気配はない。わたしは、新しい世代はもう少し功利的ではないかと希望を抱いている。直近のヨーロッパ議会の選挙を見ると、誰もがこの親米反露プロパガンダにーヨーロッパ大陸を襲う一貫した嘘の波にー騙されているわけではないことがわかる。
 このところは、ヨーロッパ議会の選挙があるたびに、各国の既存政党が勢力を失っていっている。われわれがもっと真実を語っていけば、さらに大きな反応があるだろう。なにしろウクライナで起こったことは、ナチズムの再来なのだ。ヨーロッパは、第二次世界大戦の教訓から、ファシズム復活の兆候を感じ取っている。
 私たちは、彼らがウクライナ・ナチズムのなかに見ている、この歴史的な記憶を呼び覚まさなければならない。今キエフで権力を握っているのは、ステパーン・バンデラやロマン・スヘヴィチといったナチ協力者を信奉している連中なのだ。この真実を広げていくことで、ヨーロッパを戦争の脅威から救い出さなければならない。


nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 2

めい

コーカサスで和平が進む意味(会員版)
2022年3月23日  田中 宇 

   * * * * *
《今回のウクライナ戦争は、米国の覇権低下が昨年後半から加速したのを受けて、ロシアが影響圏を蘇生するために起こした。ロシアは、米英に無茶苦茶にされていたウクライナを、武力も使いながら、主に政治謀略によって安定させつつある。ウクライナだけでなくコーカサスでも連動して昨年後半から、米覇権低下を受けた紛争終結の動きが進んでいる。米国がロシア敵視の掛け声を強めても、コーカサスは呼応しない。ロシア敵視が強かったグルジア(ジョージア)でさえ、ウクライナ戦争に際して沈黙している。世界は、米国のロシア敵視に呼応しない。欧日が呼応しているのは、対米従属だから仕方なくやっているだけだ。ロシア敵視をガンガンやっているのはマスコミやネット大企業など、国家でなく米諜報界の傀儡であるプロパガンダのネットワークだけだ。》
《これから米覇権がさらに低下していき、米国(米英)が扇動してきたコーカサスなど世界各地の紛争が、和平交渉の再開などによって下火になっていく。紛争があった地域は、中露など非米側の一員になり、中国主導の一帯一路など、非米側の経済発展事業によって発展していく。これが多極化のシナリオであり、米中枢にもこのシナリオを望んできた人々(隠れ多極主義者)がいる。彼らは米中枢にいながら、同じ米中枢にいて世界中の非米地域の紛争を扇動する英国系の勢力(軍産複合体)に、いつもしてやられてきた。今回ようやく、彼らの間(多極vs軍産)の形勢が逆転している観がある。》
《ウクライナ戦争の本質も「ロシアの悪行」でなく「米国の覇権低下とロシアなど非米諸国の台頭」である。》

by めい (2022-03-23 21:26) 

めい

2022.03.24
「ゼレンスキー大統領が挑発しなければ、こんなことになっていなかった」日本一のロシア通・鈴木宗男の激白
宗男が吠える(後編)
田原 総一朗, 鈴木 宗男
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/93644?page=3

◆プーチンの個人資産凍結は悪手だった

鈴木宗男 3月1日、日本はプーチンさんの個人資産を凍結する制裁措置を決めました。これは岸田首相が「我が国はプーチン大統領とは付き合いません」と宣言したに等しい措置です。日本のほうから「お前とはつきあわん」というカードを切るべきではありませんでした。こんなことをすれば、これからの北方領土交渉も平和条約交渉もありません。

3月9日、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官が「Sputnik」(スプートニク)というロシアのラジオ局でこう言いました。

「残念ながら、日本はこの西側のメインストリームに最も積極的な形で加わり、すべての指示を従順に遂行している」
「彼らは見たところ、自分たちの国益に関してどれほど破壊的な行動を取っているかを単に理解していないようだ」

田原 欧米の経済制裁強化に同調すれば、日本の国民に非常に迷惑がかかる可能性がある。それでも日本は全面的に同調すると、岸田首相ははっきり示したわけですよね。

鈴木 日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4カ国は、「Quad」(クアッド)という安全保障の枠組みを結んでいます。そのインドは、3月2日の国連総会でロシア非難決議を棄権しました。インドの隣国パキスタンは核保有国です。パキスタンとの関係を考えるならば、インドがロシアとぶつかって良いことなんて何ひとつありません。ならばアメリカやインドと軍事同盟を結んでいても、インドは非難決議を堂々と棄権するのです。

ロシアとの平和条約交渉と北方領土問題さえなければ、日本がアメリカと組んでロシアとぶつかってもいいと思いますよ。しかし日本の国益を考えるならば、ここは強かに出口を目指した対応をするのが日本の賢い外交です。日本はバイデン大統領にもプーチン大統領にも意見を言える立場ですし、日本政府はウクライナに累計3100億円もODA(政府開発援助)を拠出しています。これだけカネを出しているのだから、ゼレンスキーにモノを言える立場です。

田原 それを言わずに日本はゴマカシてきた。それを言う覚悟をもつかどうかが今問われている。

鈴木 日本には日本の事情があると言いつつも、日本の立ち位置を明確にして「ここは話し合いだ」と強いメッセージを打ち出すべきです。日本がエネルギーをもっていれば、他国のいざこざにいちいち介入しなくてもいいのかもしれません。でも日本は、天然ガスの1割をロシアからの輸入に頼っています。

サウジアラビアで王制が崩れれば、3割も輸入を頼っている油が止まってしまうわけですよ。そうなれば、50年前のトイレットペーパー騒ぎどころではありません。天然ガスも油も豊富なロシアとのパイプを、日本から断ち切るべきではないのです。地政学的に恵まれた条件であるロシアとのパイプをうまくつなぎながら、日本の国益を追求しなければなりません。

by めい (2022-03-24 16:37) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。