NHK『おちょやん』も最終盤、ずっと気になっていた浪花千栄子の「唯一の著書にして自伝」という『水のように』を買って、ドラマのシーンを思い出しながら一気に読んだ。ドラマ以上に壮絶だった。

小学生の頃、月曜の夜7時半から9時まで、NHKラジオ第一放送を聴くのが楽しみだった。宮田輝アナウンサーの「三つの歌」、アチャコと浪花千栄子の「お父さんはお人好し」、そしてクイズ「私は誰でしょう」。立って手が届く高いところにあったラジオの下で1時間半、じっと聞き入っていた自分の姿が思い浮かべることができる。ドラマの筋などは何も記憶にないが、その時からアチャコと浪花千栄子の2人は私の中でごく親しい。「さえこお姉ちゃん」が好きだったのに、キャスト一覧の中にその名が見当たらないのが腑に落ちないのだが・・・。

「おしん」もそうだが、明治生まれの子供たちは、今ではとても考えられないいっぱいいっぱいの暮らしがごく普通にあった。私の身近でも、おそらくそういう経験とともに育ったであろう人の顔が何人も思い浮かぶ。そういう人が年を重ねてどうなったか。自ずと身についた頑なさのようなものが、浪花千栄子とも多く重なる。われわれ世代にはもう持ち合わせない強固な感覚を得難く思いつつ、それにつけても今の「豊かさ」を有り難く思うべきなのだ。あらためて昨日の記事。→「「豊かさ」平等享受社会」https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2021-04-10-1  そしてこの記事にリンクするのが著者が出会った大事な人として登場する松下幸之助。