井上正康著『本当はこわくない 新型コロナウイルス』(方丈社2020.10)、チャンネル桜の【討論】ウイルス感染の真実を問う[桜R3/2/15]https://www.youtube.com/watch?v=dybhsdHtlisにパネラーとして登場する著者を知り求めた。昨日、3時間の討論を聴いた後読み始めて一気に読み終えた。

非常にていねいでわかりやすく、新型コロナについて理解しておくべきいちばん基本的なところがきっちり肚におさまった。《すでに集団免疫力を獲得している日本では、MERSのような猛毒新型変異株が誕生しない限り、大惨事にはならないと考えられます。社会的影響力の大きな大学教授や医学研究者には特に俯瞰的な視野が強く求められます。》(172p)この文章に著者の新型コロナに対する立ち位置が要約されている。すなわち、幸運にも初期の弱毒性段階で集団免疫を獲得した日本においてはそう心配したものではない。しかし事態は常に進行しており、いつ何が起きるかわからない。したがって、《政府や専門家は、世界と日本での発症状況を注意深く観察しながら、危険を増したら素早く対処できる科学的体制を構築することが大切です。国民もインフォデミック(情報混乱)に振り回されて過剰反応せず、”正しく恐ること”を学ぶ必要があります。》(178p)著者はコロナの騒ぎが始まって以来、毎朝最新の研究成果等世界中の情報に接することに時間を費やしているという。それゆえの信頼感が一冊の隅々から伝わってくる。「正しく理解し正しく恐れよ」、それが結論。各章ごとの「まとめ」も簡明的確でありがたい。手元に置いて事あるごとに参考にしたい本。おおいにおすすめです。