ところがこの議論に、中野剛志氏が真っ向反論しています。「『コロナ不況を機にゾンビ企業を淘汰』という説が、日本経済を壊滅させる『危険な暴論』である理由」https://diamond.jp/articles/-/236535 です。《「ゾンビ企業」論は、不況の責任を問う声を政府から逸らし、あろうことか、弱っている民間企業へと向かわせるのである。政府からすれば、まことに好都合な論理ではあるが、その結果としてもたらされるものは、不況の深刻化、そして、より非効率な経済構造なのだ。/「淘汰」されるべきは、ゾンビ企業ではない。「ゾンビ企業」論である。》星教授は「ゾンビ企業」の具体例はあげていません。ただ、著書の「開国政策」の中で「農業保護の削減」をあげて、《日本の農業保護の水準は異常に高い。・・・農業部門の付加価値額は完全に補助金によって相殺され、農業の日本の付加価値額への寄与はゼロであることを意味する。・・・土地持ち非農家や自給的農家の増加は、他産業のゾンビ企業と同様に、農業に有害である。生産性の高い農家の拡大を妨げ、新規参入を抑制しているからである。ゾンビ農家の増加は、日本の農業分野における深刻な問題だ。》(『何が日本の経済成長を止めたのかーー再生への処方箋』170p)とあります。農業も「ゾンビ視」されているのですが、それでいいのか。たしかに、中野氏の言う《この「ゾンビ企業」論は、コロナ危機で窮地に立たされている人々を追い詰めるのみならず、「日本経済を壊滅させかねない極めて”危険な議論”である」》に賛同したくなります。
とはいえ身内感覚もあって、別な視点から星教授の深意を読み取ってみることにします。