6月28日の日経日曜版NIKKEI THE STYLE、「恋の文」がテーマ、茂吉と永井ふさ子二人並ぶ写真と茂吉の永井ふさ子にあてた手紙に惹きつけられた。『斎藤茂吉・愛の手紙によせて』は高くて手が出ない。茂吉に焼くように言われて最初の30通ぐらいは焼いたものの、残った120通ぐらいを収録した本。いずれ図書館で見ることにした。永井ふさ子著『あんずの花』」(送料とも1406円)が昨日届いた。


藤岡武雄という人の25ページにわたる巻末解説「斎藤茂吉と永井ふさ子」を一気に読まされた。永井ふさ子の文章があった。浅草での逢引の場面、《「・・・伸びかかった冬の日も昏れがたになっていた。先生はよく来られる所と見えて足早に一軒のうなぎ屋に入り、さっさと二階に上がってゆかれた。広い二階はがらんとして、幾つかの衝立で仕切った席は、他の一組の客がいるばかりであった。やがて鰻と酒が来て、先生は鰻の上に盃の酒をたらして、『こうするとうまいんだ』と言って私の分にも注がれた。僅かばかりの酒で、先生は上気した顔をかがやかし、食卓の下に伸ばした足を、恰も子供が喜ぶ時のしぐさの様にばたばたさせて、いかにも楽しそうであった。あまりの無邪気さに私は少なからず面食らった。・・・」》その後外に出てはじめての接吻を交わすが、巡査に見つけられて調べを受けるという、茂吉らしいおまけもつく。