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複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ (田中宇) [ロシア]

ロシア軍 5.26.jpg今朝の日経、《ロシアがウクライナ東部地域で攻勢を強めている。ロシア軍はルガンスク州のセベロドネツクなどで攻撃を強めており、ウクライナ国防省は24日、ロシアの侵攻が一段と激しくなっているとの見方を示した。2月24日の侵攻開始から3カ月を超えて長期化する中、ロシア軍が膠着打開に向けて進軍を急いでいるとみられる。・・・英BBCによると、ゼレンスキー大統領は「ドンバスの状況は極めて厳しい」と演説で述べた。ウクライナへの重火器の供給が世界の安定維持につながると指摘、欧米諸国などからの一層の武器支援を求めた。・・・ロシアは戦争の長期化をいとわず、東部の支配地域拡大を進める考えとみられる。パトルシェフ安全保障会議書記は24日に公開されたロシアメディアでのインタビューで「我々は期限にこだわっていない」と強調し、侵攻の長期化もあり得るとの立場を示した。ロシア通信などによると、ショイグ国防相も24日、任務が完了するまで作戦が続くとの見方を示した。》https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR253VL0V20C22A5000000/マリウポリ要塞陥落後、ロシアはさらに勢いづいています。
田中宇氏は、この戦争は、ウクライナを戦場とするドンパチにとどまらず、食糧、エネルギー、プロパガンダ(情報)そして本丸の金融まで、世界中を巻き込む「複合戦争(Hybrid War)」と指摘します。プーチンの最終的な狙いは「世界金融システムの大転換」です。次の2節が、今回の論考のキモです。
《ウクライナ開戦で決定的になった米国側と非米側の対立において、世界の石油ガス鉱物や穀物など資源類の多くは非米側が持っている。米国側はカネだけ持っているが、このカネは大膨張した金融バブルであり、そのバブルはウクライナ戦争と並行して進んでいる米連銀のQE終了・QT(過剰造幣事業の収縮)によってバブル崩壊を引き起こすことが必至になっている。QE終了・QTによって、米国覇権の根幹にあったドルのバブルがこれから劇的に崩壊していくことが予測されたので、プーチンは勝てると気づいてウクライナに侵攻した。プーチンのウクライナ侵攻は最初から世界金融システムの大転換と連動しており、その意味で複合戦争だった。金融面のウクライナ複合戦争は、ロシアが勝つというより、米国側がQE終了・QTによって自滅的に金融崩壊して負けていく。 》
米国側は金融崩壊してドルの力が低下していく。人類が日々必要とする石油ガス穀物など資源類の多くは非米側が持っている。当然ながら、資源類のドル建て価格が上昇していく。インフレや食糧難が世界的にひどくなる。こうした「穀物戦争」の分野も、ウクライナ複合戦争の一部である。金融も石油ガス穀物も、米露だけでなく全世界を巻き込んでいる。今起きているのは単なる複合戦争でなく「複合世界大戦」、世界が米国側と非米側に二分されて勝敗がついていく「複合大戦」である。
アタリ 2022.5 1.jpg人口削減論者ジャック・アタリ氏のインタビューが『東洋経済』最新号に載りました。「核戦争すらありうる 最悪の事態に備えよ」の大見出しで、「サバイバル精神が最強の外交となる」の副見出しがついています。
《ーーエネルギー資源の大部分を海外からの輸入に依存する日本の供給構造は脆弱です。日本はどのようにエネルギーの安定供給を確保すればよいでしょうか。
 発想の転換が必要だろう。最良のエネルギー政策は、エネルギーの消費を減らすことにある。日本の課題は、化石エネルギー、さらには他国への依存を減らす社会をつくり出すことだ。/ 例えば、医療、教育、健全な食などの分野を軸に、情報テクノロジーを活用する社会を構築するしかない。歴史を振り返ると、こうした社会は日本文明の美徳と見事に合致している。》
やはり昭和20年8月15日正午のあの一瞬に立ち還ってやりなおすしかない、そういう世の中になりそうな気がします。
・『神やぶれたまはず』再々読(7) https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-05-17-5
・石原莞爾『最終戦争論』(2)石川理紀之助 https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-05-10
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