習近平の中国をどう見るか(田中宇) [田中宇]
会員版です。◆多極型世界は中国覇権なのか?
要旨:《【2024年6月30日】中国は隠然と、米国に取って代わる世界覇権国になろうとしているのか?。そうではない。アフリカへの関与の仕方を見ると、中国は覇権国を目指していないと感じられる。中国は、かつての英国のようにアフリカを分割して弱めて支配するのでなく、逆に、アフリカ連合を支援し、アフリカの自立や団結を強めている。習近平は、セコセコ覇権を拡大する必要などない。発展途上国のために動いているだけで、中国は新しくできる非米世界から大きな利益を得る。すでに世界の資源類の大半が非米側にある。》
要旨:《【2024年6月30日】中国は隠然と、米国に取って代わる世界覇権国になろうとしているのか?。そうではない。アフリカへの関与の仕方を見ると、中国は覇権国を目指していないと感じられる。中国は、かつての英国のようにアフリカを分割して弱めて支配するのでなく、逆に、アフリカ連合を支援し、アフリカの自立や団結を強めている。習近平は、セコセコ覇権を拡大する必要などない。発展途上国のために動いているだけで、中国は新しくできる非米世界から大きな利益を得る。すでに世界の資源類の大半が非米側にある。》
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「西洋的覇道」に対して「東洋的王道」→「王毅氏へー王道アジア主義こそ」(坪内隆彦) https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2023-09-16-2
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以下、抄出。
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中国は隠然と、米覇権衰退後の世界における覇権国になろうとしているのか??。私の分析では、中国は、世界的な覇権国になろうとしていない。それは、たとえばアフリカに対する中国の関与の仕方を見ると、感じられる。
これまでアフリカに対して最も強く覇権を行使したのは英国だ。英国は、フランスなど他の列強を誘ってアフリカを無数の小さな植民地に分割して支配し、植民地が悪いものになった戦後は、アフリカを無数に分割された状態のまま個別に独立させた。
これまでアフリカに対して最も強く覇権を行使したのは英国だ。英国は、フランスなど他の列強を誘ってアフリカを無数の小さな植民地に分割して支配し、植民地が悪いものになった戦後は、アフリカを無数に分割された状態のまま個別に独立させた。
英国主導のアフリカ分割は、アフリカを弱体化させておき、永久に英国(やその仲間たち)の支配下に置くために行われた。覇権(隠然)であれ植民地支配(顕然)であれ、他国が弱いほど、支配がやりやすくなる。だから英国はアフリカを分割した。
(中国とアフリカ)
・・・・・・中国はアフリカを借金漬けにしたと米国側が批判するが、実のところ借金漬けは、むしろ米国側がやってきたことだ。中国は、債務者を結束させて返済拒否に導いている。・・・・・
(アフリカの非米化とロシア)
(アフリカの非米化とロシア)
中国の習近平は昨年、長年対立してきたイランとサウジアラビアを仲裁して和解させた。従来、シーア派のイランとスンニ派のサウジアラビアとの不仲を扇動し、中東を分割支配してきたのは英国系だ。
英国系は、対立を扇動し恒久化しておいて「シーアとスンニは仲良くできないものなのだ」と学術界やマスコミの権威に書かせる「ウソの真実化」までやる周到な極悪性を発揮してきた。テロ戦争から地球温暖化人為説やコロナワクチンまで、この手口だ。
(サウジをイランと和解させ対米従属から解放した中国)
だが、永久に仲良くできないはずのイランとサウジが、習近平の仲裁で、簡単に和解してしまった。完全な和解でなく、対立する事項を棚上げし、合意できる部分だけで合意してニコニコ握手する演技をしただけだ。
齟齬が一つでもある限り永久に和解できないと言って怒り顔で対立させられ続ける英米式と、短期の具体的内容としては大差ない。
英国系は、対立を扇動し恒久化しておいて「シーアとスンニは仲良くできないものなのだ」と学術界やマスコミの権威に書かせる「ウソの真実化」までやる周到な極悪性を発揮してきた。テロ戦争から地球温暖化人為説やコロナワクチンまで、この手口だ。
(サウジをイランと和解させ対米従属から解放した中国)
だが、永久に仲良くできないはずのイランとサウジが、習近平の仲裁で、簡単に和解してしまった。完全な和解でなく、対立する事項を棚上げし、合意できる部分だけで合意してニコニコ握手する演技をしただけだ。
齟齬が一つでもある限り永久に和解できないと言って怒り顔で対立させられ続ける英米式と、短期の具体的内容としては大差ない。
だが長い目で見ると、中国式の方が、合意できる部分をどんどん発展できて、双方が対立事項で譲歩しやすくなり、完全和解や地域発展につなげられる。英米式は、恒久的な対立と、断絶による経済難しか生まない(途上諸国の発展を妨害するのが英国系の目的なので、それが成功なのだが)。
(多極化の決定打になる中国とサウジの結託)
(多極化の決定打になる中国とサウジの結託)
中国の全権を握るのは習近平であり、彼は党内の合意も取らず、根回しも説明もせずに、側近群に具体策を発案させる独裁方式で非米的な世界システムを構想し、ロシアなど他の非米諸国と構想をすり合わせて具現化している。世界の非米化は、習近平やプーチンの個人事業であり、公開されている部分が少ない。
非米化や多極化は、習近平やプーチンの個人事業であると同時に、米国上層部の隠れ多極派が昔からやりたかったことでもある。多極派は、以前から中露に入れ知恵していたはずだ。とくに中共中央に対してはニクソン訪中後、キッシンジャーらが入れ知恵し続けてきた。
非米化や多極化は、世界の政治経済体制をめぐる「資本と帝国」の百年の暗闘の一部で、資本の側による大きな謀略である。習近平やプーチンは、その構図を理解したうえで乗って動いている。
(資本の論理と帝国の論理)
中露は、今後何十年も続く、新たな世界体制を創設している。創設者である中国やロシアは長期的に、新体制から大きな利得を受け続ける。米金融はいずれ破綻する。中露はそれを待ちながら、非米経済システムの準備を進めている。米上層部は、こっそり中露の味方である隠れ多極派が席巻している。中露が失敗する可能性は低い。
毛沢東は、文革で中国を変えようとして失敗した。習近平は非米化で世界を変えようとしており、たぶん成功する。
(世界資本家とコラボする習近平の中国)
非米化や多極化は、習近平やプーチンの個人事業であると同時に、米国上層部の隠れ多極派が昔からやりたかったことでもある。多極派は、以前から中露に入れ知恵していたはずだ。とくに中共中央に対してはニクソン訪中後、キッシンジャーらが入れ知恵し続けてきた。
非米化や多極化は、世界の政治経済体制をめぐる「資本と帝国」の百年の暗闘の一部で、資本の側による大きな謀略である。習近平やプーチンは、その構図を理解したうえで乗って動いている。
(資本の論理と帝国の論理)
中露は、今後何十年も続く、新たな世界体制を創設している。創設者である中国やロシアは長期的に、新体制から大きな利得を受け続ける。米金融はいずれ破綻する。中露はそれを待ちながら、非米経済システムの準備を進めている。米上層部は、こっそり中露の味方である隠れ多極派が席巻している。中露が失敗する可能性は低い。
毛沢東は、文革で中国を変えようとして失敗した。習近平は非米化で世界を変えようとしており、たぶん成功する。
(世界資本家とコラボする習近平の中国)
習近平は、セコセコ中国覇権を拡大していく必要などない。発展途上諸国のことを考えて動いているだけで、中国は新しくできる世界体制から大きな利益を得る。すでに世界の資源類の大半が非米側にある。井戸を掘り続ければ、いずれ水が湧く。
覇権の概念を広義にすれば、中国はこれからの世界を動かす力を持つので、今後の世界は中国覇権だ、ともいえる。だが、その場合の中国覇権の力は、従来の米英覇権よりもずっと弱い。
習近平の独裁強化は、共産党内でまだ多い親米派(うっかり米傀儡)に妨害されないようにするためだ。中国人民はこれから長期にわたって世界から利益を得るのだから、しばらく俺の独裁を我慢してろという理屈だろう。
(資源戦争で中国が米国を倒す)
覇権の概念を広義にすれば、中国はこれからの世界を動かす力を持つので、今後の世界は中国覇権だ、ともいえる。だが、その場合の中国覇権の力は、従来の米英覇権よりもずっと弱い。
習近平の独裁強化は、共産党内でまだ多い親米派(うっかり米傀儡)に妨害されないようにするためだ。中国人民はこれから長期にわたって世界から利益を得るのだから、しばらく俺の独裁を我慢してろという理屈だろう。
(資源戦争で中国が米国を倒す)
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