大きく時代は動いています [田中宇]
田中宇氏の「国際ニュース解説」、1日に2本というのははじめてです。大きく時代は動いています。
《570:堺のおっさん :2023/03/16 (Thu) 14:31:28 はいはい、次はクレディ・スイスです。/アラブ筋が前面に出てます。》とありましたが、田中宇氏:《クレディスイスの最大手の株主は9.9%を保有するサウジアラビアのナショナル銀行だ。同銀行は、クレディスイスから追加の金融支援を頼まれたが断った。この断りは、クレディスイスにとって最期の一撃になったかもしれないと言われている。本当にそうなのかどうか、1-2週間以内にわかる。》田中氏の判断は、《サウジやイランなど産油国や、インドやブラジルなど大市場の国が次々と中露主導の非米側に入っている。米国側と非米側は断絶しているので、米国側の金融危機が非米側にあまり波及しない。サウジの銀行はクレディスイスの大株主として大損するが、サウジ全体はこれからの非米化と多極化で安定と繁栄を得る。そちらの利益の方がはるかに大きい。》
会員版なので、一部ピックアップ ↓
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リーマン以上の危機の瀬戸際
《ステルスQEと共同預金策によって、SVBの破綻に始まった今回の銀行危機はいったん沈静化するかもしれない。いずれ危機が再燃するが、それまでは延命できる。預金の流出が止まっても、融資先の企業群の業績は金融の収縮と不況で悪化しており、銀行の本業が改善されることはない。資金不足の危機が、経営健全性低下の危機に置き換わるだけだとの指摘もある。だが、私から見ると、銀行も各種企業群も、経営の健全性はかなり前から失われている。》《米経済は1990年代から金融バブルの膨張に乗って拡大し続けており、実業界の利益の多くは金融に由来していた。本業の健全性は失われて久しい。リーマン危機後の15年間は、金融自体の錬金術すら消失し、連銀など中銀群が続けるQEがバブル膨張の唯一の原動力になった。当局が発表する経済指標もインチキだらけだ。経済指標のインチキに乗って儲けてきたJPMの銀行家自身が、指標はインチキだと指摘している。世も末だ(経済新聞の読者だけが気づいてない)。米欧日の経済の健全性の全体が、この四半世紀、どんどん低下してきた。いまさら健全性を問題にするのは茶番でしかない。あとはいつまで延命するのかという話しか残っていない。》
《クレディスイスが破綻するかどうかわからないし、習近平がウクライナ戦争の和平を提案しても簡単には実現できない。しかし、クレディスイスは脆弱化が進んであり、今回でなくても近いうちにいずれ破綻する。戦争はウクライナと米欧の負けが決まっており、それがいつ具現化するかという話だ。米国は、永遠に戦争する姿勢だが、それも自国の覇権が続く限りという前提だ。クレディスイスが破綻したら、それは米覇権の根幹にある債券金融システムの破綻になり、米覇権が終焉する。米国はウクライナ戦争を続けられなくなる。米国側の姿勢が劇的に変わる。そこに習近平がやってきて、和平をしましょうと提案する。ドルが使えなくなっても人民元は使えます、米覇権がなくなると思って多極型の世界体制を用意しておきましたよ、と言う。プーチンがとなりで含み笑いしながら、困っているようだから石油ガスも売ってあげますよと言う。ゼレンスキーが画面の向こうから、私も了承しましたと言う。どんなもんだろう。》《この手の先の話はどうなるかわからない。習近平の訪露目的はプーチンと多極化の話をするだけで、停戦和平の提案は目くらましかもしれない。しかしどちらにせよ、すでにロシア政府は「米欧がどんな金融危機になっても、ロシアには波及してこない。なぜなら、ウクライナ戦争を理由に米欧がロシアの銀行界を米国側から完全に断絶してくれているからだ。どうもありがとう(笑)」みたいなことを言っている。以前は、1990年代末のアジア通貨危機も、2008年のリーマン危機も、ロシアの金融と経済に大打撃を与えていた。だが今回は違う。ロシアは中国と協力して、ドルや債券の金融システムに替わる、金地金と石油ガスなどの金資源本位制の通貨システムを考案している。米英勢による金相場の上昇抑止もかなり弱まっている。米国では著名な投資家が、間もなく米経済が破綻すると警告している。「ブレトンウッズ3」が近づいている。》
《サウジやイランなど産油国や、インドやブラジルなど大市場の国が次々と中露主導の非米側に入っている。米国側と非米側は断絶しているので、米国側の金融危機が非米側にあまり波及しない。サウジの銀行はクレディスイスの大株主として大損するが、サウジ全体はこれからの非米化と多極化で安定と繁栄を得る。そちらの利益の方がはるかに大きい。》
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