新・mespesadoさん講義(186)「ゼニカネ感覚」に貶める「日経感覚」 [mespesado理論]
《日経の論調は、企業が大株主に乗っ取られて収益を大株主が吸い上げた結果、一般国民の給料が下げられて、大株主階級と一般庶民階級の間に格差が生じたのを、階級が生じた根本の仕組みを直すのではなく、この格差を生む構造を残したまま、給料が下がった分を株主になって配当収入で補えばいいじゃん。あ、株で失敗しても自己責任ね、という弱肉強食を是認する大株主至上主義を、松下幸之助の権威を使って正当化して庶民を洗脳しようとしているだけなのですね。》要するに、ゼニカネ第一主義なのです。西洋合理主義の行き着いた先です。そうではなく、”持ってナンボの経済”から”使ってナンボの経済”への大転換。ロシアがウクライナに攻め込んで以来、ロシアの射程はそこまで及んでいると考えています。(「プーチンが挑む「金融的果たし合い」」https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-04-25)
最近、ドゥーギンを知りました。→「プーチンの思想的背景」ttps://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-09-26-2。そこから派生して『トランプ時代の魔術とオカルトパワー』(ゲイリー・ラックマン ヒカルランド2020)を読んでいます。《ドゥーギンは来るべき大変動の姿を描き出す。それは、西洋の「ミーイズム」の拡散の終焉か完全勝利のいずれかをもたらすであろう。後者の場合、最終的に「グローバライズ」された世界は、物だけでなく現実まで売りに出す、巨大なショッピングモールとなる。・・・西洋人は「存在忘却」を患っており、合理主義、科学技術、そしてそれらにともなう消費主義によって・・偽りの世界に立ち往生させられている・・・西洋は虚無主義(ニヒリズム)の時代へと突き進んでおり、・・存在の歴史は「爆発でなく値札で」終わるであろう・・・/・・・ドゥーギンは、世界を誕生時の混沌に戻すような出来事を、プーチンが起こしてくれることを期待している。/・・・わたしたちの日常の経験を特徴づけるーそして西洋形而上学の基盤でもあるー主体/客体の二元性が、個人的にではなく、集団的に解体される状態を達成しようとしている。そうすれば、ハイデガーが呼ぶところの「現存在」(Dasein)、すなわち「ここにいる」という状態に戻れるだろう。これは、西洋の合理主義が「あらゆるものの尺度」として理性的自我を採用する以前の、「この世界に存在する」というわたしたちの直接的体験である。》(278-280p)
松下幸之助の目は、とことん《わたしたちの直接的体験》、すなわち「日々の暮らし」そのものに注がれてあったのです。それを「ゼニカネ感覚」に貶めてしまう「日経感覚」という、いま大転換が迫られている根本問題についてのmespesadoさんによる重大指摘です。
* * * * *
900 名前:mespesado 2022/10/11 (Tue) 18:25:38
>>899
例のMaltWhisper氏が最新のエントリーで、松下幸之助の「一億総株主」について、日経がこの名言をとんでもない我田引水していることを嘆いて記事にしています↓
NISA恒久化/産業資本家・松下幸之助の「一億総株主」が想定していない金融資本家の暴走
https://maltwhisper.com/national/
> NISA恒久化の本質的な問題を理解せず、松下幸之助を引用して政策の正
> しさを訴求する日経新聞や、業界重鎮の発言を残念に思います。松下幸
> 之助的「一億総株主」の理念は、ナショナリズムの枠組みの範囲に企業
> 活動がある場合です。岸田政権がウォール街やシティに約束するのは、
> 国民全体を「株主第一主義」の価値観に染め従属する支援者とすること
> です。
松下幸之助のいう「一億総株主」とは
> 社会全体がより豊かになれば、それだけ売上げも増えるということにな
> ります。だから、多くの人びとは本来の仕事を通じての収入も向上し、
> また一方で株主としての配当収入もあることになりますね。そういう姿
> が社会全般にできてくれば、そのことは同時に人心の安定化をももたら
> します。
という意味であったはずなのに、日経の記事で述べられているのは
> 「国民のすべてがどこかの会社の株主であるというようなところまでも
> っていければ、これにこしたことはない」。幸之助氏が「一億総株主」
> の理想を説いたこの論文を読むと、なぜ日本の家計が「貯蓄から投資へ」
> とシフトする必要があるのかがよく分かる。
>
> なぜ法人中心の株式保有構造を変え、株を個人の元へと戻す必要がある
> のか。幸之助氏は、国民が仕事からの収入以外に株主として配当を得る
> 状態が「国民全体の安定と繁栄を生み出す一つの道」と説いた。
>
> 幸之助氏はまるで現代の格差問題を予見していたかのようだ。資本家と
> 労働者の間で広がる格差を是正する有効策は、国民がみな投資家になる
> ことである。「貯蓄から投資へ」を進めることで分厚い中間層を育み、
> 格差拡大に歯止めをかける必要性を見抜いていた。
幸之助の名言を、世の中に格差が生じたのを株主配当で補うことで是正すべきだという主張の根拠にしようとしている。何とひどい誤解・曲解でしょうか。松下幸之助の言わんとしていることとは全く関係ない。ズレまくっています。
松下幸之助は、すべての国民が企業の株主になることで、国民が企業を所有する、つまり、国民が企業より上位に来ることで、国民が企業の行動の手綱を握って国民のために活動するように持っていく。そして企業が上げた利潤は、企業が国民の所有物である以上、国民に還元されるべきで、それが配当収入だ、という趣旨だと思うのですが、日経の論調は、企業が大株主に乗っ取られて収益を大株主が吸い上げた結果、一般国民の給料が下げられて、大株主階級と一般庶民階級の間に格差が生じたのを、階級が生じた根本の仕組みを直すのではなく、この格差を生む構造を残したまま、給料が下がった分を株主になって配当収入で補えばいいじゃん。あ、株で失敗しても自己責任ね、という弱肉強食を是認する大株主至上主義を、松下幸之助の権威を使って正当化して庶民を洗脳しようとしているだけなのですね。
トランプやプーチンの自国ファーストというのは、「国」の観点から見た一般人尊重の考え方ですが、「企業」の観点から見た自国ファーストに該当する概念が、松下幸之助の本来の意味での「一億総株主」ではないかと思うのです。
私はかねがね「自国ファースト」も、それに対立する「グローバリズム」も、どうもその名称が本質を表していないのではないかという不満を持っていましたが、「すべての人間の人生を尊重する主義」対「自分とその仲間とみなす一部の人間の欲を満たすことを第一に考える主義」という方が本質を表していると思うのですが、これをもっと短い言葉で表す標語的なうまい表現がないものでしょうか。
>>899
例のMaltWhisper氏が最新のエントリーで、松下幸之助の「一億総株主」について、日経がこの名言をとんでもない我田引水していることを嘆いて記事にしています↓
NISA恒久化/産業資本家・松下幸之助の「一億総株主」が想定していない金融資本家の暴走
https://maltwhisper.com/national/
> NISA恒久化の本質的な問題を理解せず、松下幸之助を引用して政策の正
> しさを訴求する日経新聞や、業界重鎮の発言を残念に思います。松下幸
> 之助的「一億総株主」の理念は、ナショナリズムの枠組みの範囲に企業
> 活動がある場合です。岸田政権がウォール街やシティに約束するのは、
> 国民全体を「株主第一主義」の価値観に染め従属する支援者とすること
> です。
松下幸之助のいう「一億総株主」とは
> 社会全体がより豊かになれば、それだけ売上げも増えるということにな
> ります。だから、多くの人びとは本来の仕事を通じての収入も向上し、
> また一方で株主としての配当収入もあることになりますね。そういう姿
> が社会全般にできてくれば、そのことは同時に人心の安定化をももたら
> します。
という意味であったはずなのに、日経の記事で述べられているのは
> 「国民のすべてがどこかの会社の株主であるというようなところまでも
> っていければ、これにこしたことはない」。幸之助氏が「一億総株主」
> の理想を説いたこの論文を読むと、なぜ日本の家計が「貯蓄から投資へ」
> とシフトする必要があるのかがよく分かる。
>
> なぜ法人中心の株式保有構造を変え、株を個人の元へと戻す必要がある
> のか。幸之助氏は、国民が仕事からの収入以外に株主として配当を得る
> 状態が「国民全体の安定と繁栄を生み出す一つの道」と説いた。
>
> 幸之助氏はまるで現代の格差問題を予見していたかのようだ。資本家と
> 労働者の間で広がる格差を是正する有効策は、国民がみな投資家になる
> ことである。「貯蓄から投資へ」を進めることで分厚い中間層を育み、
> 格差拡大に歯止めをかける必要性を見抜いていた。
幸之助の名言を、世の中に格差が生じたのを株主配当で補うことで是正すべきだという主張の根拠にしようとしている。何とひどい誤解・曲解でしょうか。松下幸之助の言わんとしていることとは全く関係ない。ズレまくっています。
松下幸之助は、すべての国民が企業の株主になることで、国民が企業を所有する、つまり、国民が企業より上位に来ることで、国民が企業の行動の手綱を握って国民のために活動するように持っていく。そして企業が上げた利潤は、企業が国民の所有物である以上、国民に還元されるべきで、それが配当収入だ、という趣旨だと思うのですが、日経の論調は、企業が大株主に乗っ取られて収益を大株主が吸い上げた結果、一般国民の給料が下げられて、大株主階級と一般庶民階級の間に格差が生じたのを、階級が生じた根本の仕組みを直すのではなく、この格差を生む構造を残したまま、給料が下がった分を株主になって配当収入で補えばいいじゃん。あ、株で失敗しても自己責任ね、という弱肉強食を是認する大株主至上主義を、松下幸之助の権威を使って正当化して庶民を洗脳しようとしているだけなのですね。
トランプやプーチンの自国ファーストというのは、「国」の観点から見た一般人尊重の考え方ですが、「企業」の観点から見た自国ファーストに該当する概念が、松下幸之助の本来の意味での「一億総株主」ではないかと思うのです。
私はかねがね「自国ファースト」も、それに対立する「グローバリズム」も、どうもその名称が本質を表していないのではないかという不満を持っていましたが、「すべての人間の人生を尊重する主義」対「自分とその仲間とみなす一部の人間の欲を満たすことを第一に考える主義」という方が本質を表していると思うのですが、これをもっと短い言葉で表す標語的なうまい表現がないものでしょうか。
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