一般質問(1)前置き [緊急事態条項]
《昭和20年8月のある一瞬――ほんの一瞬――日本国民全員の命と天皇陛下の命とは、あひ並んでホロコースト(供犠)のたきぎの上に横たはっていたのである。》(長谷川三千子『神やぶれたまはず』)
国民は、その一瞬が過ぎるやたきぎの上からたちまち降り立ち明日から生きてゆくための行動を開始した。薪の上に載った一瞬などその時だけの一瞬に過ぎない。そんな記憶は時間と共にどんどん遠ざかってゆくだけだ。そうしてあっという間に68年が過ぎてしまった。
しかし、国民にとっては「ほんの一瞬」であった 「この一瞬」は、昭和天皇にとってはその後の生を通して背負い続けなければならなかった「永遠の一瞬」だった。
いまあらためてあの一瞬からいままでの時の流れをふりかえるとき、あの一瞬が夢だったのか、はたまたあの一瞬を忘れて過ぎ去った68年の時の流れが夢だったのか。長谷川氏の「神やぶれたまはず」を読んだいま、私には過ぎ去った68年の方が夢だったのかと思えてしまう。
昭和天皇はその間、われわれにとってたちまち過ぎたあの一瞬を夢ではない現実として、たきぎの上から降り立つことのないまま昭和を生きて、平成の御代へとバトンを引き継がれていったのではなかったか。薪の上に在りつづけた昭和天皇のお姿こそが夢ではない現実ではなかったのか。そのことを抉り出してみせてくれたのが、他ならぬ「神やぶれたまはず」であった。民よ、再び薪の上に戻れ。そこで「神人対晤」のかけがえのなさを知れ。確たる現実はそこからしか始まりようがない。さもなくば日本人の精神はとめどないメルトダウンに抗すべくもなし。あの一瞬に目を瞑っての日本再生は、かつて辿った道を遡る道に過ぎない。
* * * * *さらに2月末からの戦争騒ぎ。3月23日のゼレンスキー大統領の日本の国会に向けた演説に、国会議員のほとんどがスタンディングオベーションで応えるというありえない光景を見せつけられるに至って、本議会においても「ロシアによるウクライナ侵略に断固抗議する決議」が3月定例会で私以外の賛成で可決された(https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-03-19)のもやむをえないことなのかと思ったところでした。
しかし、難攻不落と言われていたアゾフスタリ製鉄所地下要塞が陥落した(https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-05-21)5月20日以降、戦争報道も下火になっています。そもそもその地下要塞を拠点にしていた「アゾフ大隊」は、日本の公安調査庁によって国際的テロ組織として認定されていました(https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-03-08-2)。アゾフ大隊が正義の味方のように報道されるようになって、公安調査庁はその部分をそっくり削除してしまっています(https://www.moj.go.jp/psia/ITH/topics/column_03.html)。また、ロシアの仕業として大々的に報じられたキーウ郊外でのブチャ虐殺等々、その後の調査でウクライナ側よるやらせであったことが明らかになっています(https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-04-07)。しかしマスコミは一切訂正することなく、「ロシア悪者 、ウクライナ正義」報道を流し続け、いまだにそれを信じて疑わないのが日本の現実です。
戦争は武器を交えたドンパチだけが戦争ではありません。「情報戦争」はいうまでもなく、今はひとりひとりの脳内まで入り込んで操作しようとする「認知戦争」の時代(https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2021-10-17-1)になっていると言われます。そのレベルで見れば、日本はもうかなりやられてしまっています。
しかし世界の現実はちがいます。4月20日にワシントンで開かれたG20の財務相・中央銀行総裁会議でのロシアの演説に先立ち、G7先進諸国が一斉に席を立ったにもかかわらず、鈴木俊一財務相と黒田東彦日銀総裁は、退席しませんでした。13ヶ国の非白人の新興国と共に最後までロシアの演説を聴いたのです。世界の情勢の変化を察した二人の行動は、情報最先端から高く評価されています。英米の圧力に抗いつつ、世界の潮流をなんとかうまく泳ぎ切らねばならない、それが一歩外へ出て直面する世界の現実です。(https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-06-02-1)
ウクライナに深く浸透していた「アゾフ大隊」によるテロとの戦いに立ち上がらざるを得なかったロシアがほぼ所期の目的を達成しつつある現在、いろいろ紆余曲折はありながらも、大局的には、これまで申し上げてきたような「持ってナンボの経済から使ってナンボの経済へ」、言い換えれば「銭金優先の世の中から人間本来の心豊かな世の中へ」向けた大転換が確実に進んでゆくと私は見ています。バタバタ騒ぎ立てずに、みんな仲良く日々の暮らしを大切にしているのがいちばんいいのです。
ところがそうこうしているうちに「台湾有事」が煽り立てられ、「緊急事態条項」を含む改憲、事前防衛のための軍備費拡張といった声が大きくなりつつあります。二度と戦争は繰り返さないとして再出発したはずの日本が、このままでは再び同じ過ちをくりかえすことになりかねません。それでいいのか、本来なら今回の参院選の最大の争点であるべきなのに、まともな議論が見えてきません。このまま議論のないまま軍備増強勢力が勝利するようなことがあれば、その後国政選挙のない「黄金の3年間」の間に、堂々と戦争できる国へ舵を切ることになってしまわないかと心配でなりません。本来政党を超えて議論すべき重要な問題です。再びアジア人同士戦うような事態になることは必死で避けなければなりません。
クリントン政権時代の高官ジョセフ・ナイによる「対日超党派報告書」があらためて注目されています。上下両院議員に示された対日戦略で、台湾有事を利用して日本を戦争に引きずり込み、そのことで米国が利益を得るというレポートです。今回のバイデン大統領の訪日もその方向で理解できます。増強させられた軍事費の多くが米国を潤すことになるのです。日本人の「対中意識」を考える上でも重要です。「台湾有事」を煽って中国を敵視させるのは英米の策略であることを見抜かねばなりません。「アジア人同士戦わず」を金科玉条とすべきです。(https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-05-24)
まもなく、食糧問題、エネルギー問題、金融危機、さらに、危惧されるワクチンによる健康被害等々、様々な問題が押し寄せて来るはずです。私は、日本人すべからく、今から77年前、昭和20年8月15日の正午、天皇陛下による日本降伏の玉音放送を聴いた時の気持ちに還り、そこからやり直すべきと考えています。その覚悟があれば、どんな事態になっても乗り切れるはずです。そうしてはじめてほんとうに明るい未来が開けてきます。(https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-05-17-5)
実は今回の一般質問、目の前の参院選が、戦争への道へ舵を切るかどうかの分水嶺になると考え、「二度と戦争への道を歩まないために」という、われわれひとりひとりにとって切羽詰まったはずの問題について議論しようとしたのですが、地方議会にはなじまない質問とのことで取り下げたところでした。そのためにいささか長い前置きになったことをご理解ください。
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