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遺伝子ワクチンの原理は日本発? [コロナ危機]

昨日の厚労省ワクチンの接種後の副反応について検討する厚生科学審議会 、2/17から7/2まで、ワクチン接種後死亡事例、6/23発表の356人から200名増えて556名。これについて山形新聞も日経も一切触れていない中で、読売新聞のネット記事がありました。
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ファイザー接種後に死亡、「因果関係を否定できない」初報告…厚労省検討会

ファイザー製のコロナワクチン

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mRNAワクチン なぜ効果 抗体 新型コロナに特化…新潟薬科大客員教授 古市泰宏氏

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ふるいち・やすひろ 東京大学大学院薬学系研究科博士課程を修了。国立遺伝学研究所と米ロシュ分子生物学研究所に在籍中、mRNAキャップ構造を発見。日本ロシュ研究所生物工学部門長などを経て現職。米ウイルス学誌の常任審査委員も務めた。80歳。

 新型コロナウイルスのワクチン接種は、国民の2割が1回目を終えた。実用化まで1年足らずというスピード開発だったが、感染や重症化の予防に関して高い効果が報告されている。このワクチンの仕組みや安全性について、開発の源流にあたる研究を行った古市泰宏・新潟薬科大客員教授に聞いた。(医療部長 本間雅江)

ウイルス設計図を利用

 ――国内で接種されているワクチンはどのようなものですか。

 現在、使われているのは、米ファイザー社製と米モデルナ社製です。どちらもコロナ表面に突き出たスパイクたんぱく質の遺伝情報(設計図)を組み込んだメッセンジャーRNA(mRNA)が主成分です。スパイクたんぱく質は、免疫細胞がコロナを攻撃する際の目印になります。ワクチンを使って体内でスパイクたんぱく質を作り、あらかじめこれを攻撃する練習をしておくのです。

 実用化を可能にしたのは、壊れやすいmRNAの安定化や、スパイクたんぱく質を細胞内で作りやすくするなどの技術です。このうち安定化につながったのが、私が46年前に見つけた、mRNAなどの端についている「キャップ」と呼ばれる構造です。これがないとmRNAはすぐに壊れるうえ、たんぱく質をうまく作れなくなります。こうしたワクチン開発に必要な技術が、ちょうど出そろっていたことがスピード開発につながりました。

 ――海外では2回接種で9割以上感染を防ぐなど高い効果が報告されました。

 これまでのワクチンは、ウイルスを丸ごと弱毒化して体内に入れたり、無毒化してたんぱく質の一部を注射したりして免疫反応を起こさせ、異物を排除する抗体を作るのが主流でした。その際、ウイルスが持つ十数種類ものたんぱく質などの全てに対し、それぞれ抗体が作られ、不必要な抗体や有害な抗体ができることがありました。

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 ところがmRNAワクチンは、免疫の標的となるスパイクたんぱく質だけを効率良く細胞に作らせることができます。できたたんぱく質は細胞表面を覆い、細胞をまるで「生きたウイルス」のように見せかけて免疫反応を促します。従来のワクチンや実際のウイルス感染よりも、標的に対する抗体だけが効率良くできるので、感染予防や重症化抑制の高い効果につながり、変異ウイルスにも効果があるのでしょう。最近の論文では、ウイルスに感染して治った人も、変異ウイルスに備えて接種したほうが良いとの報告もあります。

 ――安全性については大丈夫なのでしょうか。

 標的となるスパイクたんぱく質だけを作るように入念にデザインされているので、いろいろなたんぱく質が体内に入るよりも副反応が少ないといえます。ワクチンのmRNAは、細胞内に入ったのち、役割を終えるとすぐに分解されてしまうため、長期的な影響も残らないと考えられます。

 まれに重いアレルギー反応「アナフィラキシー」が起こりますが、化粧品などにも使われているポリエチレングリコールなど、注射液の添加物が原因の可能性が指摘されています。ほかは、接種の際の筋肉痛や軽い免疫反応による発熱などがほとんどのようです。

メッセンジャーRNA(mRNA) 生物の遺伝情報であるRNA(リボ核酸)のうち、細胞が作るたんぱく質の情報を運ぶ役割のもの。遺伝情報にはRNAやDNA(デオキシリボ核酸)があるが、コロナにはRNAしかない。4種類の化学物質(塩基)が連なり、塩基3個1組でたんぱく質のアミノ酸を示す。

変異型 一定程度は防御

 ――ワクチンは実用化されましたが、特効薬はできるのでしょうか。

 エボラ出血熱の治療で使われるウイルスを抑える薬や、肺炎などの炎症を防ぐ薬が、コロナ治療用に認可されましたが、コロナの増殖を劇的に抑える特効薬はまだありません。

 コロナは体内に入ると、〈1〉細胞にとりついて入り込む〈2〉自身の設計図(RNA)に基づいて複製に必要な酵素やスパイクたんぱく質などを作る〈3〉RNAを複製する〈4〉数百個のウイルスが細胞を飛び出し隣接する細胞に感染する――といった感染サイクルを見せます。ここまでにかかる時間はわずか1日。できるまでに2週間近くかかる抗体は間に合いません。細胞は死に至り、集まってきた白血球などの免疫細胞が攻撃を始めて炎症が起こり、細胞の死骸などが血栓症の原因になります。これが広がり肺炎などを発症するのです。

 ウイルスは、細胞の中に入り込んでしまうために、直接、薬で攻撃するのが難しいのですが、方策がないわけではありません。感染サイクルのどこかを効率的に阻害することで、特効薬ができると考えています。

 ――コロナウイルスはいつ収束するのでしょうか。

 簡単には収束しないでしょう。コロナが持っている自身の設計図であるRNAは、基本的に4種類の化学物質でできています。この4種類が特定の配列で約3万個並び、1本の鎖状になっています。

 コロナは複製の際、その順番に合わせて同じRNAを作ります。しかし、3万個もあるので、コピーミスが起こって少しだけ違うウイルスができることが頻繁にあります。そこから増殖能力の高いウイルスが勝ち抜き、我々の前に現れるのです。それが変異ウイルスです。いま話題のインド型(デルタ型)もその一つで、感染力は従来の2倍近くと言われています。

 もし、遺伝情報がDNAなら、同じ情報を持つ鎖が2本セットであるため、互いの情報を照らし合わせて修正できるのですが、コロナウイルスのRNAは、鎖が1本しかなく変異しやすいため、今後も新たな変異ウイルスが生まれてくるでしょう。幸い、これまでに現れた変異ウイルスは、現在のmRNAワクチンである程度防御できることがわかっています。

 人類を脅かす新たな感染症は、コロナ以降も発生するでしょう。直近でも人類は、エイズやエボラ出血熱など多くの新興感染症に脅かされてきました。コロナ禍で開発されたmRNAワクチン技術が今後、未知の感染症や、他の病気の治療に対する強力な武器になることを期待しています。


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