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mespesadoさん講義(127)戦後日本俯瞰文 [mespesado理論]

白井聡著『永続敗戦論』については6年前に書いていました。ほとんど長谷川三千子女史礼賛になっていますが。
・白井聡著『永続敗戦論』を読んで(1)自覚なきシニシズム https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2014-02-20
・白井聡著『永続敗戦論』を読んで(2)長谷川三千子氏の「思想力」 https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2014-02-23
・白井聡著『永続敗戦論』を読んで(3) 長谷川三千子(本来日本)vs.落合恵子 https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2014-02-25
・白井聡著『永続敗戦論』を読んで(番外) 長谷川三千子氏のまっとうさこそ学ぶべき 
https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2014-03-01
今回のmespesadoさんの議論、まとめの文章がすごいです。まさに戦後日本の諸問題の肝心要(太い動静脈)、日本の政治経済を一望のもとに収めるような濃厚な一文です。
《新自由主義も、外国勢力による日本の搾取も、すべては金本位制下での制約条件に過ぎない「貨幣は作れないものだ」という洗脳によって、高度成長が終わって貨幣が増えなくなったのに、これを国債発行で人為的に増やすのは正しい政策だ、という発想がないからこそ、自分が豊かになるためには他から奪取してこなければならない、という発想になるわけで、高度成長期の「豊かさ」が無くなり、「隷米時代の不満」が世の中に蔓延するようになったのも、すべての根幹はそこに起因するわけです。だからこそ経済に対する正しい理解は何よりも大切なのです。》
*   *   *   *   *

785:mespesado :2020/09/01 (Tue) 08:21:38
 亀さんの最新エントリー↓
http://toneri2672.blog.fc2.com/blog-entry-1804.html
から。

>【追記02】
>【1】安倍政権の7年余りとは、日本史上の汚点である
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020082800004.html

> 上掲記事の筆者・白井聡氏は政治学者とのことだが、これほど政治の本
> 質を分かっていない政治学者も珍しい ( ̄□ ̄;)!!

 野次馬根性で読んでみましたよ。まあ酷い文章ですね。
 で、ちょっとコメント欄を読んでみたんですが、これ、朝日新聞系の雑誌のサイトだからかもしれませんが、賛同する意見が結構あり、反対する意見と明確に分かれていましたが、私の感想として「こりゃ、賛成派と反対派が仮に一堂に会して議論しようとしても会話にならず、罵倒合戦になるだけだろうな」と思いました。なぜなら、賛成派も反対派も賛成する理由・反対する理由が一切書いてないからです。おそらく双方とも、自分でもその理由がきちんと言語化できるレベルに達していないのではないか。
 で、この白井聡という人の過去記事を探してきたのですが、興味深いのはこれ↓
永続敗戦からの展望
https://news.yahoo.co.jp/byline/shiraisatoshi/20140317-00033618
白井聡 | 京都精華大学人文学部専任講師(政治学・社会思想)
2014/3/17(月) 7:00

 丁度民主党政権が倒れて安倍政権による経済復調があり、その経済効果がそろそろ切れ始めて来たかな~という時期です。
 この頃にタイムスリップしたとして、この文章を読むと、実はさほど違和感がありません。だって、米国はまだDSに支配されており、国防も、中国の脅威がさほど顕在化しておらず、米国戦争勢力が日本の自衛隊を「利用」しようとしていた時期ですから、反米的な意見はそれほど違和感がないわけです。
 さて、この2014年の記事では、意外にも、最初に引用した最新の記事のような安倍総理に対する罵倒は全くありません。実は、この結構長い記事の中で、「安倍」という名前が出て来るのは、意外にも次の箇所の2回だけです↓
> 最初に挙げたいのは、2月の安倍首相訪米である。迎えたオバマ大統領の
> 冷遇ぶりは際立っており、ほとんど嫌悪感を隠さなかったと言ってよい
> だろう。『永続敗戦論』において私は、安倍の掲げる「戦後レジームか
> らの脱却」が本気で追求されるならば、米国は「傀儡の分際がツケ上が
> るのもいい加減にしろ」という強烈なメッセージを送ってくることにな
> るだろうという趣旨のことを書いたが、果たしてその通りとなった。

 つまり、日本は戦後米国による支配から抜け出すことができず、安倍総理のいう「戦後レジームからの脱却」なんてできてないじゃないか、また、できるわけないじゃないか、という文脈で出て来ているだけです。
 私は白井氏の思想はこの頃と今とでさほど基本的に変わってないと思います。彼は現在何が不満かというと、その隷米時代の不満の根本が、長い安倍政権が終わろうとする今になっても何も解決していないではないか、ということだと思うのです。最初の記事の副題で「公正」だの「正義」だの言っていますが、所詮は後付けの理屈です。モリカケや、果ては伊藤詩織事件までダシにしてますが、これも「解決していない」ことへの怒りの矛先が時の為政者に向かっただけの単なる安倍氏本人に対する八つ当たりに過ぎない。
 この白井氏のような代表的なアベガーな人の本質的な本心は、「政治がまともな世の中を目指していない」という意識にあると思うし、それは確かにそのとおりだと思うのです。ただしその原因は安倍政権や、まして安倍氏本人の「悪意」にあるわけではなく、単に「大多数の庶民にとって善いこと」を実施されると困る連中が強大な政治力を持っているからに他ならない。そしてアベガーな人たちは、例外なく政治のマキャベリズムを解していない。だから、理想を実現するためには、彼らに潰されないようにするために、迎合しなければならない所は妥協せざるを得ないことが見えない。そして更に言えば、安倍政権の支持者も大半はこのマキャベリズムを理解していない。彼らは単に安倍総理が第一次内閣で露骨に打ち出した「正直」な「戦後レジームの脱却」案を保守派の立場から支持した人たちと、安倍政権発足直後の円高不況からの復帰による経済の復調を支持した人が大半なのだと思います。だから、反安倍論者と安倍支持論者は全然違う論点で支持したり批判したりしてるから、議論が全然かみ合わないんですね。そしてそこに、戦後日本の最大洗脳である「緊縮脳」と「WGIP」それぞれについて、洗脳されてない人と洗脳されたままの人が入り乱れ、これが更に事態を複雑化させてグチャグチャになっている。
 だから、反アベな人とアベ支持な人を共通の土俵で議論できるようにするには、まず上で挙げた論点を整理したうえで、各論者に自分の立ち位置がこれらのカテゴライズのどこに位置するのかを自覚してもらった上でないと、意味のある議論はできないような気がします。こういう人たちにとって、安倍総理は詰将棋の人云々といった高度な話はそれらが全部整理されたうえで初めて意味がわかる話で、大半の人は、未だそれよりはるか以前のレベルに留まっているような気がします。

786:mespesado :2020/09/01 (Tue) 08:48:03
>>785
長谷川羽衣子@uikohasegawa
> 白井先生の論考、全てごもっともであり情熱のこもった名文だ。そして、
> これほど左派・リベラルが「永続敗戦」に甘んじる理由がはっきり現れ
> た論考もない。

> 「己の知性と倫理の基準からして絶対に許容できないものを多くの隣人
> が支持している」のがなぜか、を問わないからだ。

↑アベガー側のツイートの典型ですが、ここに名著『財政破綻論の誤り』を出した朴勝俊氏が、やや逆説的とも解釈できる賛否でリプを付けている↓
Park SJ バラ朴勝俊 Anti-Austerity 財政破綻論反対、反原発、いずれはベ
ーカム!@psj95708651
> ほんとにそう。白井聡先生にも支持者の方々にもこれを読んでほしい

> 2020-07-08
> 新型コロナ禍の今こそ積極的経済政策が必要である -歴史から学ぶ反
> 緊縮政策-
https://parkseungjoon.hatenadiary.com/entry/2020/07/08/091416

 このリンク先の記事、とても大事な視点です。前発言で、そもそもなぜ
「大多数の庶民にとって善いこと」を実施されると困る連中が強大な政
> 治力を持っている

のか、という理由の根源を探すと、それは結局は経済問題が根っこにあることをよく説明していると思うのです。
 新自由主義も、外国勢力による日本の搾取も、すべては金本位制下での制約条件に過ぎない「貨幣は作れないものだ」という洗脳によって、高度成長が終わって貨幣が増えなくなったのに、これを国債発行で人為的に増やすのは正しい政策だ、という発想がないからこそ、自分が豊かになるためには他から奪取してこなければならない、という発想になるわけで、高度成長期の「豊かさ」が無くなり、「隷米時代の不満」が世の中に蔓延するようになったのも、すべての根幹はそこに起因するわけです。だからこそ経済に対する正しい理解は何よりも大切なのです。

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めい

mespesadoさんにフォローしていただきました。

   * * * * *

789 名前:mespesado
2020/09/01 (Tue) 18:58:22
 私の >>785 >>786 の書き込みに対して、はぐらめいさんが自身のブログ
https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2020-09-01-2
で直ちに反応していただき、かつて白井聡著『永続敗戦論』を読んだときの 感想と、その本を紹介していた新井俊介氏のブログで長谷川三千子氏の発言に対する批判的観点から白井氏の著が紹介されていたことが述べられ、そこで2014年の左翼系の女性による会合の様子がYoutubeに上げられていて↓
https://www.youtube.com/watch?v=1_tuXKn6Tyw

その中で、保守系の長谷川三千子氏が聴きに来ていて意見を述べたときの模様を、めいさんが貴重な文字起こしをしてくれています↓
・白井聡著『永続敗戦論』を読んで
(1)自覚なきシニシズム
https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2014-02-20
・白井聡著『永続敗戦論』を読んで
(2)長谷川三千子氏の「思想力」
https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2014-02-23
・白井聡著『永続敗戦論』を読んで
(3)長谷川三千子(本来日本)vs.落合恵子
https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2014-02-25
・白井聡著『永続敗戦論』を読んで
(番外)長谷川三千子氏のまっとうさこそ学ぶべき
https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2014-03-01

 文字起こしは (2) と (3) の部分にありますが、長谷川三千子氏の発言が実に深い。一読の価値があります。

by めい (2020-09-02 01:43) 

めい

亀さんにも。

   * * * * *

797 名前: 亀さん
2020/09/02 (Wed) 05:01:44
>>789は、mespesadoさんの投稿ですが・・・

はぐらめいさん、長谷川三千子女史の一連の玉稿、有り難うございました。長谷川三千子著『神やぶれたまはず』については、未だ山浦嘉久さんが健在な頃のまほろば会で話題になったことがあり、確か、天童竺丸編集長は長谷川女史との交流があり、同女史の『神やぶれたまはず』を高く評価していたのを思い出します。
https://oshosina.blog.ss-blog.jp/2014-01-04

『神やぶれたまはず』は今でも自宅の書架に眠っていますが、まほろば会で同書が話題になったのは、確か、まほろば会に参加するようになってから間もなくのことで(十年ほど前)、当時は自分の人脈が国際派から民族派へと、大きくシフトしようとしていた時期と重なっていたこともあり、今回、はぐらめいさんの記事を一読したことにより、改めて『神やぶれたまはず』を再読すれば、また新しい世界が広がるのではと確信しております。

有り難うございました。

亀さん@人生は冥土までの暇潰し

by めい (2020-09-02 15:30) 

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